個人がいかに創造的であっても、属する組織が反発想症に冒されていると、能力は発揮されないままに終わります。
その典型は、官僚組織です。
先例主義、新しい試みの拒否、形式主義が蔓延する環境は、発想には最悪の環境です。
かつて役所で仕事をしていたときのこと、決裁を取りに行ったら、「局長の考えをまず聞いて来い」といわれたことがありました。
局長がイエスならイエスだというわけです。
また、日本の大企業の多く(とくに伝統的な産業の企業)は、官庁より官僚的です。
こうした組織が、創造的な日本人の潜在力をなんと無駄にしていることか。
これらのエネルギーが解放されたら、日本は大きく変わるでしょう。
問題は、個人の能力でなく、それを殺してしまう社会制度なのです。
組織の指導者や経営者の最も重要な仕事は、組織をこのような病から守ることです。
多くの日本の組織において問題なのは、失敗が許されないことだ。
日本の官庁では、失敗や判断ミスはありえないことになっている。
だから、「とりあえず試行して、結果を見る。駄目なら修正する」という行動方式がとれないのだ、と野口氏はいう。
こうした環境では、試行錯誤はできず、絶対確実なことしか行われない。
これは、ジャーナリズムの責任も大きい。
アメリカでは、新しく生まれるベンチャー企業の8割は失敗すると言われている。
そして、日本では認められない敗者復活戦もある。
その結果、日本では、小さな失敗を認めないために、知らないうちに大きな失敗を犯してしまうという、笑えない現実がある。
失敗が許される組織、アイデアを生かす組織に…
AI時代、新たな「超」発想が求められている。
(出典)AI時代の「超」発想法|人の心に灯をともす