2019年12月4日水曜日

記事紹介|誰のための就職か:高卒編

学校が就職先とのマッチング図る結果、依然就職率の高さを維持できるものの、一部の生徒にとっては、職業選択の自由を阻む結果になっていることは確か。

学校のための就職率なのか、生徒のための就業機会の確保なのか、社会の変化に照らし、長年続いてきた慣行を見直す時期にきているかもしれません(以下引用抜粋)。


高卒採用が大卒と大きく異なるのは、高校とハローワークが深く関わる点だ。企業はハローワークを通じて高校に求人を申し込み、高校では教師と生徒が相談して応募先を1社に絞る。「1人1社」という1950年代から続くルールで、経済団体と学校側、国の3者による申し合わせだ。

このルールに12年発足の新経済連盟と人材関連スタートアップのジンジブ(東京・港)が異議を唱えた。18年9月に文部科学省と厚労省に見直しを要望。ジンジブは「高卒者が職業選択の自由を確保し、十分な情報を得て企業を選択できると言い難い」と主張する。

1人1社では企業の信頼度や生徒の適性の判断で教師の蓄積を生かせる半面、本人の理解や納得が不十分なまま就職している恐れがある。厚労省の調査では高卒の入社後3年以内の離職率は4割と大卒の3割を上回り、1人1社がミスマッチの一因との指摘が多い。

見直しを求める企業側には、こうした筋論とともに思惑もある。1人1社では、長年の採用で教師と結びついた大手企業や地元有力企業が人材を確保しやすい。その割を食うのは新興企業だ。新経済連盟はITやサービス業の若い企業が多く、1人1社が続けば不利な状況を抜け出せない。

人材サービス会社から見れば、高校とハローワークが担ってきた高卒の就職は入り込めていない市場だ。大卒と同様に求人情報の提供やイベントの開催、就職活動の助言で民間企業の活用が広がる可能性があり、ジンジブは高校生に照準を合わせて市場開拓を狙う。

文科、厚労両省も1人1社が自由な就活を阻んでいるのを無視できず、見直しに着手。20年初めにも結論を出す見通しだ。新たな「金の卵」として高卒の採用熱が高まるなか、半世紀以上続く慣行に変革の波が及ぶ。

(出典)高卒採用、慣行に転機 「1人1社」に新興企業が異議|日本経済新聞 から