本当の進むべき道が判らないまま、超え方だけを人に教わろうとしている。
教科書やテレビやコンピュータ画面ばかりを見て、現実を見ようとしない。相手の現場に立とうとしない。小賢く振舞いながらも、生き方に迷っている。
薪を踏みつけにし、火種を掲げて先を急ぐ。
遠い未来に夢を抱かずに、今日と明日の幸せだけを求めている。
出来ない理由を分かろうとせず、汗を流そうとせずに、結果と豊かさだけを求めている。
力を尽くし、物事に動ぜず、他を受け入れる心の広さ。これは、どんな状況、いつの時代でも必要な心構えだ。
戦後、日本人は、何かを「命がけ」でやることを否定してしまった。覚悟しないで生きられる時代は、いい時代である。だが、死を意識しないことで、日本人は「生きる」ことをおろそかにしてしまってはいないだろうか。(明日葉 No12 2006.10.1 から引用)