これからの大学教育のあり方を考える材料を提供することを目的として、Benesse教育研究開発センターが2011年度までに実施した様々な調査結果の中から、高等教育(学士課程教育)に関連するデータを選択して編集した「
大学データブック2012」から主な要点を引用しご紹介します。
この報告書では、大学教育改革に役立ちそうな調査結果が次の5つの観点から整理されています。
- 高校生の学習・進路選択の状況
- 大学生の学習・生活の状況
- 海外留学の課題
- 就職活動の現状、社会で求められている力
- 大学の内部質保証の課題
第1章 高校から大学へ
2 大学受験・進学
2-1 大学受験に対する意識
5~6割の高校生が「行先がなくなるのは怖い」「できるだけ楽に済ませたい」と回答
2-2 大学進学に対する意識
子どもは親よりも、「大学に行けば社会で活躍するための実力がつく」、親は子どもよりも、「大学に入ったら勉学に力を入れてほしい」と考えている。
2-3 大学を選ぶ際に重視すること
親子とも、「専攻したい学問分野があること」をもっとも重視している。子どもは「入試難易度」「キャンパスの雰囲気」、親は「授業料負担」「就職実績」を重視。
2-4 生徒の進路意識が高まる時期
高校生の進路意識がもっとも高まるのは、高校3年生の6月頃。
2-5 大学入試方式に対する考え
4割強の高校生が、「推薦・AO入試」の利用を決定または関心あり。その理由は、「早く進学先を決めたいから」。
3 大学情報のニーズ
3-1 子どもの進路選択に対する保護者の関与
6割の保護者が「学校の情報を集める(資料の請求やインターネットによる情報収集)」と回答。
3-2 高校生の保護者が求める大学情報
過半数の保護者が、「学費や納付方法」「毎年度の卒業後の就職先(率)、進学先(率)」に関する情報が「大いに必要」と回答。
3-3 高校教員からみた大学の課題
約8割の高校教員が「十分な情報を開示していない大学への進学は勧められない」と回答。
3-4 高校教員が求める大学情報
7割弱の高校教員が「入試科目の内容や合格要件」、6割前後が「毎年度の卒業後の就職先(率)、進学先(率)」が「大いに必要」と回答。
4 高校教員からみた大学の課題
4-1 進路指導をする上での課題
「生徒の基本的な学習習慣が確立していない」「進路を決めきれない生徒が多い」ことが高校での進路指導のネックとなっている。
4-2 高大接続の課題
75%の高校教員が、「推薦やAO入試で早期に進路が決まった生徒に対し、卒業まで勉強させるような仕組みを大学と共同して検討する必要がある」と回答。