2012年5月27日日曜日

「大学データブック2012」から見えてくるもの(2)

前回に続き、「大学データブック2012」から主な要点を引用しご紹介します。

第2章 大学生の学習・生活

1 大学で過ごす時間

1-1 通学日数

1・2年生では7~8割の学生が週5日以上通学。4年生になると文系・理系で大きな差。

大学生の1週間の平均通学日数は4.4日で、週5日以上大学に通っている学生が約6割である。学部系統別には、「医 ・ 薬 ・ 保健」系統がもっとも多く、平均通学日数が5.0日、9割が週5日以上大学に通っている。さらに4つの学部系統に絞って学年別の平均通学日数をみると、1・2年生では学部系統によらずほぼ毎日通学している学生が多いが、4年生になると「人文科学」「社会科学」系統は大きく減っている。

1-2 授業の出席割合

授業の9割以上に出席する大学生が全体の7割。

授業の平均出席割合は、9割以上出席している学生が4学年全体で69.7%で、1年生は79.6%にのぼる。学部系統別では、「医 ・ 薬 ・ 保健」系統の出席割合がもっとも高く、66.4%が10割出席している。一方、「社会科学」系統では10割出席は30.8%にとどまる。学年別には1年生から4年生にかけて出席割合は全体的に低くなっていくが、特に「社会科学」系統で、学年が進むほど、顕著に低くなっていく様子がわかる。

2 授 業

2-1 大学での学びの役立ち感

大学生の約7割が「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」と感じているが、学年があがるにつれ減少傾向。

大学での学びを、「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」と肯定的にとらえている大学生が69.2%(「とてもそう思う」+「まあそう思う」、以下同)、「授業に限らず大学で学んだことは将来役に立つ」については78.1%と、どちらも多くの学生が大学での学びを将来に有用であると考えている。「大学の授業で学んだことは将来役に立つ」について、学年別にみると、1年生で74.4%が肯定しているのに対し、4年生では64.8%と9.6ポイント低くなっている。学部系統別には「医 ・ 薬・ 保健」系統で85.5%と肯定の回答がもっとも高いが、「社会科学」系統では、64.3%ともっとも低く、両者で21.2ポイントの差がみられる。一方「授業に限らず大学で学んだことは将来役に立つ」については学年別、学部系統別にあまり違いはみられない。

2-2 授業に対する選好

約6割の学生が、幅広い分野について学び、授業を通じて将来やりたいことをみつけたい。

大学生に、大学の主に授業に関する選好をたずねた結果、将来やりたいことを決めて授業をうけるより、「授業を通じ将来やりたいことをみつけるほうがよい」(57.0%)、特定の専門分野よりも「幅広い分野の知識や技能を身につけたほうがよい」(59.2%)と考える学生がどちらも半数を超えている。具体的な形式や内容面については、演習形式よりも講義形式の授業を82.0%が好み、応用・発展的な内容より基礎・基本が中心の授業の方を72.9%がよいとし、定期試験やレポートよりも出席や平常点を重視した成績評価を70.0%が望んでいる。やりたいことを見つけるべく幅広く学びたいという傾向とともに、どちらかというと広く浅く学びたいという志向性もみてとれる。中でも学部系統別に違いの大きかった4項目であるが、「人文科学」系統で、「授業を通じて将来やりたいことをみつけるほうがよい」がもっとも高く(66.2%)、カリキュラムの系統性は自由な方を好み(76.3%)、幅広い分野の知識や技能を身につけることを望んでいる率も高い(63.8%)。それとは反対の傾向を示しているのが「医 ・ 薬 ・ 保健」系統であり、職業との関連の明確な学部とそうでない学部で選好の違いが表れている。

2-3 経験した授業のスタイルと評価

プレゼンテーションの機会のある授業がためになったと感じている学生が多い。

大学生に、大学での授業のタイプ別に経験度合いとその評価についてたずねたところ、「プレゼンテーションの機会のある授業」は8割の学生が経験しており(「よくあった」+「時々あった」)、そのうち「とてもためになった」と感じている率が35.1%と高くなっている。次に学生が「とてもためになった」と評価している率が高いのは、「教室外で体験的な活動や実習を行う授業」(31.5%)で、経験している学生の割合は5割程度であるが、経験するとためになったと感じる学生が多いようである。

3 学習時間

3-1 授業の予復習や課題をする時間

半数の大学生は、授業に関する学習が「週1時間未満」。

「授業の予復習や課題」を全くしていない学生が全体の20.2%、1週間あたり1時間未満しかしていない学生も加えると48.7%と約半数がほとんど予復習や課題をしていないことになる。学部系統別では「社会科学」系統で1時間未満の割合がもっとも高く56.9%である。さらに学年 ・ 学部系統別に、週1時間以上勉強している割合をみると、やはり「社会科学」系統で、とりわけ3年生以後の比率の低下が顕著である。

3-2 授業以外の自主的な勉強時間

3割の学生が「授業以外の自主的な勉強」をまったくしていない。

31.7%の学生が「授業以外の自主的な勉強」をまったくしていない。1週間に「1時間未満」しかしていない学生も加えると61.4%と半数を超える。学年・学部系統別で1時間以上勉強している学生の割合を比較すると、「理工」「医 ・ 薬 ・ 保健」系統で4年になると大きく時間が増えるが、一方、「人文科学」「社会科学」系統は3年をピークにして少し下がっている。

3-3 定期試験・レポートの準備期間

定期試験やレポートの準備にかける日数は1週間以内が約半数。

定期試験とレポートの準備にかける期間は、全体では、ともに「1週間前」からとする割合が大きく、定期試験24.6%、レポート26.2%となっている。1週間未満の層を含めると、半数程度が「1週間以内の準備」で定期試験、レポート作成に臨んでいる。このうち定期試験の準備については、学部系統を問わず、1割程度の学生が「前日」または「当日」に準備、もしくは「特に準備しない」状態で試験に臨んでいる。

4 課外活動

4-1 サークル・部活動

半数の学生がサークル・部活動に参加。入学時の満足度と相関。

大学でのサークル活動や部活動については、ほぼ半数(49.0%)が参加している。活動の頻度は週1日が20.4%ともっとも多い。週4日以上と活発に活動している学生(21.6%)と同程度である。また、この状況は入学時の意識とも関連している。この大学に「ぜひ入りたいと思って進学した」との意識をもって進学したグループのサークル・部活動への参加率は56.6%と他を10ポイント以上上回っており、入学段階での高い満足感が、その後の積極的な大学生活へとつながっている様子をうかがうことができる。

4-2 アルバイト・社会活動

アルバイトに力を入れる学生は約8割と多いが、ボランティアなど社会活動に力を入れる学生は2割台にとどまる。

アルバイトをしている学生は全体の6割程度(63.7%)で、頻度は「週に3日」程度がもっとも多い(32.1%)。大学生活を通してアルバイトに力を入れた(「とても力を入れた」+「まあ力を入れた」+「少し力を入れた」、以下同)とする学生(4年生)が79.2%なのに対し、社会活動(ボランティア・NPO活動など)については調査時点の2008年現在で24.2%とさほど多くはない。



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