2013年12月13日金曜日

挑戦と創造の場であり続ける

去る12月6日(金)に学士会館いおいて、国立大学協会主催の臨時学長懇談会が開催され、それに併せて「文部科学省との意見交換会」が行われています。

(参考)文部科学省との意見交換会を開催(国立大学協会)

文部科学省との意見交換会における下村文部科学大臣の挨拶内容が、国立大学協会から各国立大学あて情報提供されていますのでご紹介します。(下線は拙者)


「文部科学省との意見交換会」における下村文部科学大臣の挨拶内容(国立大学協会作成)

【はじめに】

各学長におかれましては、日頃より我が国の高等教育と学術研究の発展にご尽力いただき、感謝申し上げます。

現在、ヒトだけでなく、モノや情報、文化などが国境を越えて流動化し、グローバル化が進展する中、我が国は、少子高齢化により2060年には生産年齢人口が51%まで減少すると予測されており、1人で1人を支える社会へと大きく様変わりしようとしています。

このような我が国をめぐる社会状況を受け止め、国際的な大競争の中で日本社会の活力を維持・向上させていくためには、個人一人一人の付加価値を一層高めるとともに、我が国の文化、科学技術などの分野に潜在する能力を見極め、発掘し、発信していく必要があります。まさにこれから日本は、教育立国を目指していかねばならないという国家的な使命があると考えております。

このような中、大学、とりわけ国立大学の役割は極めて重要です。「大学力」は国力そのものです。大学が変わっていかなければ、大学が地盤沈下するだけでなく、日本そのものが地盤沈下していくことになりかねません。そのため、安倍内閣は今年1 月に教育再生実行会議を作り、第4次提言まで行われ、今、第5次提言に向けて議論をしております。

特に、私は、大学の教育研究の最重要課題は、量的な拡大と質的な向上をともに我が国においては進めていくことが大切であると、その方向性を明確に国も示す必要があると考えています。安倍内閣の最重要課題である教育再生の大きな柱として、大学が常に挑戦と創造の場であり続けるように強化することは、我が国が、再び世界の中で競争力を持ち、付加価値を生み出していくための試金石となります。このため、従来の教育研究の在り方やマネジメントの在り方などを抜本的に見直し、大学改革を力強く進める必要があります。

各大学においては、このような状況を十分御認識いただき、旧来のような状況のままでは、大学運営、そして教育運営、これは厳しい国際社会の中で勝ち抜いていくことは極めて難しいということを改めて自覚していただいた上で、危機感を持って、大学改革に主体的、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

このような観点を踏まえ、本日は、私から4点について申し述べたいと思います。

【国立大学改革プラン】

第一は、国立大学の機能強化についてです。

本年6月に閣議決定した「日本再興戦略」では、国立大学改革を我が国の成長への道筋の一つと位置付けております。その背景には、人材育成や学術研究、産学連携などを通じ、国立大学に我が国の成長と発展への積極的な貢献をしてほしいという社会の大きな期待があります。

国立大学は、こうした社会の期待に対して、スピード感をもって、目に見える形で応えていただきたい

文部科学省では、国立大学の改革を確実・迅速に実行するため、今後取り組むべき改革の方針や方策を示す「国立大学改革プラン」を策定いたしました。

このプランでは、改革加速期間中に、グローバル化イノベーション創出などの機能強化、人事・給与システム改革などを具体的、一体的に進めることとしております。その上で、主体的・積極的に改革に取り組む大学には、重点的に支援をしてまいりたいと考えております。

また、平成28年度から始まる第3期中期目標の設定に向けて、国立大学法人運営費交付金や評価の在り方を抜本的に見直し、自主的・自律的な改善・発展を促す仕組みを構築してまいります。

文部科学省では、このような取組により、世界最高の教育研究拠点を目指す大学はもとより、全国を代表する教育研究の拠点や、地域活性化の中核となる拠点といった、強み・特色を生かした機能強化を各大学に進めていただく方針であります。

同時に各大学の機能強化の取組を積極的に支援し、持続的な「競争力」を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学に進化していくという、このプランの目標を達成してまいりたいと考えております。

なお、人材育成に関しては、大学教育の充実と併せて企業側の協力も不可欠です。このため、学生の学修時間の確保や留学の促進のため、就職・採用活動開始時期の後ろ倒しや採用時における多面的な能力評価、採用後の社会人の大学における学び直し等について、企業側に特段の配慮をお願いしております。

各学長におかれましては、社会の期待に迅速・確実に応えるため、自らの大学の個性を認識し、それをしっかりと発揮していくことのできる組織づくりにご尽力いただきたいと思います。

【ガバナンス改革】

第2は、大学のガバナンス機能の強化についてです。

国立大学に対する社会の期待に応え、各大学の機能強化に取り組むためには、各学長がリーダーシップを発揮できるようなガバナンス改革が重要です。

教育再生実行会議の提言等を踏まえ、中央教育審議会において議論を行っていただき、昨日の組織運営部会におきまして、「大学のガバナンス改革の推進について」最終的な案をお示しいただきました。

その中では、各大学において、学長補佐体制の強化学長等の選考方法の見直し教授会の役割の明確化等といった各大学の自主的・自律的なガバナンス改革を行い、国において効果的な制度改正とメリハリある支援をするよう提言されております。

この審議のまとめについては、今月中にはとりまとめられると伺っておりますので、文部科学省では、この提言を踏まえて、早急に所要の法令改正を行う予定であり、各大学では、法令改正等を踏まえた内部規則等の総点検・見直しを行っていただきたいと思います。

本日お集まりの学長におかれましては、これまでも意欲的な改革を進められていること、また一方で、学内に改革意識が共有されずに御苦労をされているお話も伺っております。

私は、改革に積極的に取り組む学長の後押しをしてまいりたいと考えておりますので、ぜひ主体的なガバナンス改革に向けた取組を推進していただきますようお願いいたします。

【グローバル化・科学技術イノベーションについて】

第3に、グローバル化及び科学技術イノベーションへの対応についてです。

(グローバル化)

まず、社会のあらゆる分野で国際化が進む中、グローバルな視点をもって様々な分野で活躍できる人材の育成の中核を担う大学には、教育・研究環境の国際化学生の双方向交流の拡大などが強く求められています。

国立大学には、日本人研究者と海外の優秀な研究者との国際共同研究の一層の推進海外のトップクラスの教育プログラムや教員等の誘致英語による授業の拡大等に取り組み、人材・教育システムのグローバル化を積極的に進めていただきたいと思います。

文部科学省としても、「スーパーグローバル大学事業」により、徹底した国際化を断行し、世界に伍する大学や我が国の大学のグローバル化を牽引する大学群を重点支援していく考えです。

また、我が国の大学から世界に飛び立つ若者が更に増えていくこと、また、海外の大学から日本の大学に留学し、共に研さんを積んでいくことも必要です。

私は、日本の若者の海外留学へのチャレンジを社会全体で応援するための留学促進キャンペーン「トビタテ!留学ジャパン」を展開しています。15日には、早稲田大学におきまして42大学が集まり、このような「トビタテ!留学ジャパン」について共同で行う予定です。

海外留学支援については、政府だけではなく、民間からも御協力いただき、留学経費の負担軽減を図るとともに、事前・事後研修の実施等、日本人学生等の海外留学をきめ細かく支援する「グローバル人材育成コミュニティ」を作り、産業界や大学等と総がかりで海外留学を支援する仕組みを築き上げてまいります。文部科学省では、私先頭に文部科学省の幹部が企業回りをして、民間ファンドをお願いしている最中であります。

国立大学改革プランでは、2020年までに派遣、受入れともに留学生数の倍増を図ることを目標と掲げておりますが、その達成のためには各大学の取組が不可欠です。大学の教育研究組織の国際化や留学支援といった点について、積極的な取組を進めていただきたいと考えております。

(科学技術イノベーション)

次に、科学技術イノベーションは安倍内閣が掲げる「三本の矢」のうちの一つである成長戦略の重要な柱であり、日本の経済再生の原動力です。また、私は、グローバル社会で我が国が成長を続けるための鍵は、革新的イノベーションの継続的な創出による国際競争力の強化、そして、それを支える人材の育成だと考えます。このため、世界で最もイノベーションに適した国をつくり上げることが重要であり、研究者の独創性に基づいて行われる多様な基礎研究の支援、大学だけでも企業だけでも実現できない革新的イノベーションを創出、実現するための新たな産学連携プログラムの構築イノベーション創出を目指した地域科学技術の振興を図ります。加えて、世界に冠たる研究力を有する大学や研究拠点の形成など、研究環境の整備を着実に進めます。

【入試改革】

第4に、入試改革についてです。

グローバル化、少子高齢化が進み、人材の質を高めることが急務となる中、高等学校教育と大学教育の接続に関する改革は、大学教育及び高校以下の教育をともに変えていく上で極めて重要です。

先般、教育再生実行会議において、「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」(第四次提言)が取りまとめられました。今回の提言を踏まえて、中央教育審議会では、
・アドミッションポリシーに基づく丁寧な選抜など、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換
「達成度テスト(基礎レベル・発展レベル)」の導入、具体的な実施方法や実施体制、
などについて議論をいただき、年度末を目途に方向性を取りまとめていただく予定にしております。

今回の改革に対しては、高校の教育活動への影響や大学の負担への不安といった声もお聞きしていますが、関係者の意見をしっかりとお聞きしながら、十分な周知期間をおきつつ、一方で着手可能なものから必ず実現をしてまいりたいと考えております。

国立大学の中には、既に改革の趣旨に沿った丁寧な選抜を実施している大学や検討に着手している大学もありますが、今後、各大学に対する支援方策も併せて積極的な検討してまいりますので、改革の先進事例となる取組を更に進めていただきますようお願いします。

【おわりに】

以上、私の考えを述べさせていただきました。

今、社会から求められているのは、国立大学改革の「実行」です。この点、松本会長からは、国立大学への強い期待の表れと受け止め、改革を着実に実行していく決意を何度もうかがっております。

各大学におかれましては、この時機をしっかりと捉え、社会の変化や国民の皆様のニーズに機敏に対応し、中長期的な姿を見据えた各大学の改革のシナリオを描いていただき、それに基づく全学的な機能強化を実行に移していただくことをお願い申し上げます。

文部科学省では、各国立大学としっかりと議論し、各大学の強み・特色に応じた支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。

最後になりますが、各国立大学法人・大学共同利用機関法人の今後ますますの発展を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。


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