◇
魅力あるもの、綺麗な花に心を惹かれるのは誰でもできる。
だけど、色あせたものを捨てないのは努力がいる。
色のあせるときに本当の愛情が生まれる。 遠藤周作
この言葉に関連する素敵なお話をご紹介させていただきます。
地球村という環境団体を作って活動されている高木善之さんの話です。
彼の家では、子どもにあまり新しいものを買い与えないそうです。
娘さんが使っている筆箱も、お母さんが小学校時代に使っていた古い革製の筆箱でした。
この筆箱を娘さんにあげるときにお母さんが、
「これはお母さんが小学校の時から大切に使っていた宝物なの・・・。
これを買ってくれたお父さん、あなたのおじいさんは、お母さんが小学生のときに亡くなったの。
お母さんは、これをお父さんの形見としてとても大切にしていたのよ。
あなたが大切に使うのならあげようか?」
と娘さんに話したそうです。
ある日、娘さんが使っていた筆箱がクラスで話題になりました。
ある男の子が娘さんに、
「お前の筆箱、古いやないか、僕のはこんなやで」
と娘さんの筆箱をばかにしました。
ほかの子も一緒になって娘さんの筆箱を指差してからかいました。
そのとき、娘さんが、
「ねっ、古いでしょ! いいでしょ!
これはお母さんが子どもの頃から大切に使っていたんだって!
おじいちゃんの形見なの。
私も大事に使って、私の子どもにこれをあげるの」
と行ったそうです。
周りの子ども達は一瞬シーンとなりました。
しばらくして男の子達が、
「ふーん、ええな」
と言ったそうです。
◇
新しいとか見た目がいいとかではなく、
どんな想いが込められていて、
それを大切にしようと思う気持ちが添えられて、
物事は本当に輝いて行くのですね。