2011年6月20日月曜日

国立大学法人の改革推進状況(5)-管理運営組織の改革、戦略に基づく法人内資源配分の実現

管理運営組織の改革

1 戦略的経営体制の効果的運用(全学的な経営戦略の策定、学長のリーダーシップを高める取組)
  • 平成20年度に10年後の山形大学のあるべき姿を念頭に置き、「山形大学の将来構想」を策定して5つの基本理念と第2期中期目標期間の中期計画を含む今後の進むべき方向を定めるとともに、学長行動指針「結城プラン」で策定した課題について、各理事を中心に改革・改善に取り組んでいる。【山形大学】

  • 総長が経営戦略上、特に重視したいと考える項目を「東京大学アクション・プラン2005-2008」として平成17年度に提示し、「自律分散協調系」と「知の構造化」をキーワードに、活力ある大学モデルの構築を積極的に推進するとともに、毎年度、達成状況を検証・反映する体制を定着させている。また、平成21年度には、新総長の就任に伴い、大学としての運営の基本姿勢等を総合的に示した、『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』を策定・公表している。【東京大学】

  • 平成16年度に「人事計画のグランドデザイン」を策定して、人員削減計画と活力ある人事政策を全学的に明確化し、「政策定員」を確保している。平成19年度には中期的な教職員の削減数とそれに係る凍結解除・削減等に関する基準を定めた「東京学芸大学の今後の人事計画について」を作成し、人件費の削減と学長のリーダーシップによる戦略的人員配置を可能としている。【東京学芸大学】

  • 平成18年度に策定・公表した「神戸大学ビジョン2015」を実際に展開するための具体的施策として、20の政策と50の実施項目を設定し、各年度の重点的行動計画を策定している。平成20年度からはビジョン推進経費を創設するなどビジョンの達成に向けた取組を推進している。【神戸大学】

  • 山口大学憲章の理念を踏まえ、中長期の将来像として、「明日の山口大学ビジョン」を策定している。また、「山口大学の学術研究推進戦略の在り方(研究推進プラン2007)」に基づき、重点的に推進する研究の選定、評価及び支援方法等のシステムの企画・立案を行っている。【山口大学】

2 管理運営組織のスリム化・効率化 
  • 産学連携の機能を創立60周年記念会館「コラボ弘大」に集約配置することで、産学連携・地域貢献のワンストップサービス実現に向けての体制を整備している。【弘前大学】

  • 管理運営コストの削減に向けて、法人化を契機に89の委員会等を16の委員会及び22の専門委員会に統廃合し、国際戦略本部、広報戦略室、CIO室等の委員会制度に代わる機動的・戦略的な運営組織を編成するとともに、全学の情報化推進体制の確立のため、情報化統括本部及び情報基盤センターを設置し、情報化推進体制を整備している。【一橋大学】

  • 学内委員会について、教育研究評議会及び経営協議会に審議機能を集中し、効率的かつ機動的な運営を行っており、関連性のある委員会のさらなる見直し、課長補佐をはじめとする10ポストの削減、重複業務の整理等を行い、業務運営の効率化に努めるとともに、全学的な重要課題については、必要に応じて室等の教職協働体制を組織し、柔軟かつ機動的な運営に取り組んでいる。【北陸先端科学技術大学院大学】

  • 56の全学委員会を40に統合整理するとともに、「効率的な会議運営のガイドライン」を定めて会議時間短縮に取り組んだ結果、平成21年度の会議時間は平成16年度比で平均40分短縮されるなどの効果が現れている。【山口大学】

  • 効率的で責任ある意思決定体制の構築を図る観点から、学長・理事を補佐する組織として学長室及び理事室を設置するとともに、全学委員会を原則として各理事の下の部門会議に収れんさせ、委員会数及び委員数をそれぞれ約41%削減している。【大分大学】

3 他大学等との共同実施等の取組

【教育、研究】
  • 北関東国立4大学の連携において北関東国立4大学研究室紹介(4U)を発行するなど、研究の活性化と外部資金獲得増につなげている。【茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学】

  • 新潟大学及び山梨大学との共同で「国際・大学知財本部コンソーシアム(UCIP)」を設立し、様々な知的財産の国際展開を行い、海外に向かって事業を推進して国際的な産学連携活動を強化しており、学術研究活動推進に対する戦略的な取組を行っている。【新潟大学、山梨大学】

  • 北陸地区国立大学連合(富山大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学及び福井大学)間で、単位互換に関する包括協定を締結し、双方向遠隔授業システムを用いた授業や共同研究・研究交流会を実施し、教育研究等の活性化につなげるとともに、医薬品の一部を共同購入している。【富山大学、金沢大学、北陸先端科学技術大学院大学、福井大学】

  • 金沢大学、浜松医科大学及び大阪大学による連合小児発達学研究科を設置し、教員の増員を最小限とし、各種会議や授業はテレビ会議システムを活用するなど効率的な研究科の運営を行うとともに、異なった専門領域の教員が連携するなど、文理融合型の教育に貢献している。【金沢大学、浜松医科大学、大阪大学】

  • 長野県内の7大学とともに「高等教育コンソーシアム信州」を発足させ、遠隔講義システムを利用した単位互換、ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動、リメディアル教育の共同運営等を実施している。【信州大学】

  • 公立岐阜薬科大学と連携して、医療・健康・環境分野に関する研究を行う先端創薬研究センターを設置するとともに、創薬科学及び医療情報学に関する教育・研究を行う連合創薬医療情報研究科を設置している。また、「岐阜健康長寿・創薬推進機構」の設置に関する覚書を締結し、両大学の研究支援組織において業務を共同処理することとしている。【岐阜大学】

  • 大学間連携について、静岡県立大学、静岡産業大学と共同で遠隔授業システムを用いた授業を実施し、「共同大学院「地域経営戦略研究科(大学院修士課程)」の設置構想(第1次案)」を策定するなど、教育組織の整備を推進している。【静岡大学】

  • 京都にある7私立大学や京都府・市教育委員会と連携し、京都教育大学を基幹大学とする連合教職大学院構想の具体化を推し進め、平成20年度に連合教職大学院を開設し、既存の大学院教育学研究科のカリキュラム改革を実施し、二つの大学院を並立させ、有機的に連携させている。【京都教育大学】

  • 京都府立医科大学、京都府立大学との連携による教養教育の共同化を目指した単位互換事業、京都府立医科大学との医工連携による教育、さらに、3大学間での共同研究等の促進を目指し、それぞれの大学の教員、大学院生等による「3大学連携フォーラム」を開催したほか、研究を通じた交流の促進及び外部資金の獲得に向けた共同研究の質の充実、研究成果の地域還元等に資することを目的に「3大学連携研究支援費事業」を創設するなど、3大学による地域連携・地域貢献の展開を図っている。【京都工芸繊維大学】

  • 九州歯科大学との歯工学連携教育協定に基づき、歯工学分野の大学院教育を実施するため、平成21年度から新たに歯工学連携6科目を開講するなど、他大学との連携強化に努めている。【九州工業大学】
【共同調達等】
  • 道内国立大学の共同事務処理の一環として平成20年度に締結した「北海道地区国立大学法人資金共同運用(Jファンド)」により、資金の効率的な運用を図るとともに、物品等の共同調達に関する協定書を取り交わすなど、今後の物品・サービス等の一括調達において連携を進めている。【北海道大学、北海道教育大学、室蘭工業大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、旭川医科大学、北見工業大学】

  • 秋田工業高等専門学校と共同して調達を図るなど、事務等の効率化・合理化を推進している。【秋田大学】

  • 事務の合理化及び調達価格の低減を図るために、東北大学、宮城教育大学、山形大学及び福島大学との間においてコピー用紙、一般廃棄物収集運搬業務及びトイレットペーパー等の共同調達の取組を行い、管理的経費の抑制に努めている。【東北大学、宮城教育大学、山形大学、福島大学】

  • 東京農工大学、電気通信大学及び一橋大学との間において共同調達の連携に係る協定を結ぶなどの取組により、経費削減に努めている。【東京農工大学、電気通信大学、一橋大学】

  • 鳥取大学と島根大学との間において、物品等の共同調達を実施している。【鳥取大学、島根大学】
【人事交流等】
  • 北海道地区国立大学法人等が合同で初任職員研修を実施するなど各種研修の取組を行っている。【北海道教育大学等】

  • 地方公共団体(名古屋市立大学)との連携・協力に関する基本協定を締結し、今後の人事交流の方策について情報交換を行い、人事交流に向けた取組を行っている。また、民間企業とも人事交流を行い、出向社員として大学に受け入れている。【名古屋工業大学】


大学全体としての戦略に基づく法人内資源配分の実現
  • 全学的な見地から教育研究を活性化するために、戦略的な資源配分を行う「重点配分経費」の導入により、学生サービスの向上、キャンパスライフの充実等へ重点的に配分しているほか、大学院博士課程充足率、博士号学位授与率及び外部資金受入状況を評価基準として予算配分に反映させるなど、全学的な視点による戦略的な学内資源配分を行っている。【北海道大学】

  • 教員人件費の5%相当(約13億円)を中央枠予算として確保し、世界的に顕著な研究実績を有するユニバーシティプロフェッサーの招へい、戦略スタッフの充実、病院経営への戦略的支援等に活用し、柔軟で機動的な法人運営を実現している。【東北大学】

  • 共同研究費、受託研究費及び寄附金の一部を「研究支援経費」として確保する制度について、平成20年度から研究支援経費比率を10%から原則30%に引き上げ、本部管理予算をより効果的に活用できるよう本部管理予算全体を再構成している。【東京大学】

  • 大学の管理運営を効果的・効率的に実施するため、教育、研究、社会連携、情報化の4分野にそれぞれ教育実践推進機構、研究連携推進機構、社会連携推進機構、情報化推進機構を設置して一元的に事業を推進し、資金を戦略的に投入した結果、1,000万円以上の外部資金69件、33億3,624万円獲得等の効果が現れている。【徳島大学】

  • 5つの基本戦略(「地域に密着した教育と研究が調和した総合大学」、「学生の満足度を高める教育システムの構築」、「高度専門職業人の養成」、「地域的特徴を活かした教育研究の推進」及び「東南アジア・南太平洋に向けた国際戦略」)に基づき、「学長裁量経費」及び「教育研究活性化経費」を設け教育研究費を学長のリーダーシップにより、総合的な観点から戦略的・効果的に資源配分している【鹿児島大学】