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中学生が工事現場で事故に巻き込まれ亡くなったのをきっかけに、これまでにも十人以上の生徒が平日も含め同じ会社でアルバイトをしていたことが明るみに出た。
報道によれば、校長、教頭は「本人と保護者の希望があり、学校長の裁量で許可した」「卒業後に土木の職に就きたいという希望があり、学校での様子や学習意欲の状況を見て判断した」と説明している。
この子たちが学校でどんな様子だったのか。それに対し学校がどう対応してきたのか。また保護者はどんな態度だったのか。いろんなケースが考えられるが、おおよその想像はつく。
学校に来ても全く学習意欲がなく授業を妨害する生徒や、学校に来ず家で引きこもってしまっている生徒は決して珍しくない。多くの学校が、その子のためにどうするのが良いかと頭を悩ませている。
学校をよく知らない人はすぐ「出席停止」とか「粘り強く登校を促すべきだ」などと言うが、そんなに簡単に済むなら誰も苦労はしない。
中学生を働かせていた会社の社長は「自分も中学時代に同じような経験をしており、不登校などの生徒や保護者の役に立てばという気持ちで受け入れた」と語っている。これもきっと本当だろう。
昼間から外をほっつき歩いて悪さをしたり、自分の部屋に引きこもって昼夜逆転の生活をするくらいなら、学校には来られないとしても、信頼できる大人がいる場所で規則正しく活動させた方が本人のためだ。学校や保護者はそう考えたに違いない。
「十人以上」という人数の多さに安易さも感じはするが、おそらく学校はここに至るまでに、これらの生徒たちに真っ当な学校生活を送らせてやりたい、クラスの仲間と良い思い出を作らせてやりたいと様々な努力を重ねてきた筈だ。それでもどうにもならないことは現実にある。
マスコミは「労働基準法違反」か「職場体験に当たらない」といった形式的なことばかりを問題にしているように見える。また、どこの役所とは言わないが、行政もそんなコメントばかりしている印象を受ける。
だったら放っておけば良かったのか。あるいは無理やり学校に連れて来てどこかの部屋に閉じ込め教員が見張っていれば良かったのか。それは違うだろう。
教育行政の人間がやるべきことは、マスコミと一緒になって学校を叩くことではなく、現実を見、学校現場の苦悩を我が事として共有し、教育的な観点から、他にどんな手立てがあったのか、どうすればこういう生徒を救い、学校や善意の人を「ナントカ法違反」に追い込まずに済むのかを一緒に考え、支援することだろう。