「こどもの日」を前に総務省が4日まとめた人口推計(4月1日時点)によると、外国人も含めた14歳以下の子供の数は前年と比べて15万人減の1605万人で、35年連続の減少となったとのこと。
総人口に占めるこどもの割合は12.6%で、42年連続の低下。比較可能なデータのある1950年以降、人数、割合ともに過去最低を更新し、少子化に歯止めがかからない現状が改めて浮き彫りになったとのこと。(2016年5月4日日本経済新聞)
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少子化は、世界的な問題でもありますが、放置すると、人口減少、経済力の衰退、社会保障制度の崩壊など、経済・社会全体に及ぼす悪影響は計り知れません。
近時、待機児童の問題、子どもの貧困・虐待の問題、奨学金をはじめとする教育費の問題など、国を挙げて取り組まなければならない喫緊の課題が山積している中、私たち大人は、今日一日を、将来を担う子どもたちのために、何をどうしなければならないか、そして子どもたちをどう受け止めどう寄り添うかについて真摯に考える契機にしたいものです。
こどもの日に新聞各紙が訴えたことをまとめてみます。
若者と子を見捨てぬ世界と日本に|2016年5月5日日本経済新聞
若者や子どもがしっかりと教育を受け、定職に就く。かつては当たり前だったこのことが、難しくなっている世界の現実がある。きょう5月5日のこどもの日に考えてみたい。
持続可能な経済と社会の安定の実現には、若者や子どもを見捨てず、その健全な成長と自立を後押しする必要がある。世界と日本は支援を惜しんではならない。
国際労働機関(ILO)によれば、世界の15~24歳の若年層の失業率は2015年に13%超と12年ぶりの水準となったようだ。
テロ生む高失業に手を
経済危機が起きると若年層は最初に職を失い、景気が回復局面に転じても仕事に就くのは最後になる、といわれる。すでにリーマン危機から7年半あまり過ぎたが、危機の後遺症は若者に重くのしかかったままだ。
欧州はその典型だ。ギリシャやスペインの25歳未満の失業率は今も40%を超えている。
パリとブリュッセルは過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロに見舞われた。実行犯の多くは北アフリカなどからの移民2世、3世だったとされる。
学校や就職での差別や疎外感に苦しみ、過激思想に傾倒した移民系の若者は多い。シリアとイラクに渡った若者の一部が戦闘員として欧州に潜伏しているならば、テロ再発の危険は残る。
テロ対策の強化はもちろん重要だ。しかし、中長期でみて大事なのは、移民系の若者を地域社会に包摂していく対策だ。差別や偏見を取り除く地道な取り組みが教育現場や地域で求められている。
同時に、南欧を中心とする国は硬直的な労働市場を柔軟にして、若者が仕事に就きやすくする改革を急がなくてはならない。
移民系若者の高失業がテロの温床になっていた可能性がある。彼ら彼女らにきめ細かな職業訓練を実施し、職を見つけやすくすることはテロ対策でもある。
中東・北アフリカでも若年者対策は急務だ。この地域の若者を対象にした世論調査によると、ISが人材を引き寄せる理由として最も多かった回答が「雇用機会の欠如」だった。
影を落とすのが、地域の若年人口の急膨張だ。たとえば、イエメンでは24歳以下が総人口の約6割を占める。人口爆発を吸収できる雇用の場が少なく、若年失業率が20~40%台に高止まりしている。
ドイツの社会経済学者であるグナル・ハインゾーン氏は「ユース・バルジ」(過剰なまでに多い若い世代)と呼び、行き場を失った若者が犯罪や戦争などに走る可能性に警鐘を鳴らしていた。
こうした人材がISなどに流れ、シリア内戦や欧州のテロに加担する動きは看過できない。
中東・北アフリカ諸国は資源に過度に依存しない経済構造をつくりつつ、もっと若年層に雇用の受け皿を用意する努力をすべきだ。先進国も一部は難民や留学生として受け入れてほしい。
米経済は先進国の中では比較的堅調だ。だが学生ローンの負担が若者を苦しめている。全米で約4千万人の学生と卒業生が借金を抱え、総額は1兆ドルを超えている。
所得や資産の格差は広がり、大学進学をあきらめる若者も少なくない。ローンを借りやすくしたり、金利負担を軽減したりするといった対策は要る。次期大統領は学生ローン問題解決に有効な対策を実施してほしい。
過度な負担増を避けよ
少子化が進む日本で忘れてならないのは、社会保障の効率化だ。増え続ける高齢者を支える社会保険料や税の負担が増え続ければ、若者がこの国で暮らすことにますます息苦しさを感じるだろう。
先進国で最悪の財政を立て直す必要があるのも、いまの子どもや、これから生まれる将来世代に過大な借金のツケを回さないようにするためだ。
日本の子ども・子育て支援などの家族関係支出は、先進国の中でも少ない。社会保障の歳出を組み替え、子ども・子育て支援にもっと予算を振り向けるべきだ。
今夏の参院選からは選挙権年齢が18歳以上に引き下げられる。各党は安易なバラマキではなく、骨太な若年支援策を競ってほしい。
「ナポレオンの登場以降の『若者が勝者の時代』が終わり、『若者が敗者の時代』が到来しつつある」とマーク・マゾワー米コロンビア大教授は指摘している。
だからといって若者に希望を与えられない世界や日本であってはいけない。各国・地域の政治指導者は勇気を持って、若者受難の局面を変えてほしい。
子どもの貧困 学び支え、連鎖断ち切ろう|2016年5月5日朝日新聞
最も貧しい家庭の子どもが、他の多くの先進国と比べて、厳しい状況に置かれている――。
4月に公表された国連児童基金(ユニセフ)の報告書は、そんな日本の現状を浮かび上がらせた。最貧困層と標準的な層との格差を国ごとに分析しており、日本の格差は41カ国の中で8番目に大きいという。
所得が真ん中の人の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」でも、日本の子どもは6人に1人が貧困層にあたり、先進国の中で悪い方だ。貧しさの広がりに加え、ユニセフの調査でその度合いも深刻であることを指摘されたと言える。
対策としてまず問われるのは、そうした家庭へのサポートだ。日々の生活を助ける各種の手当や親の就労への支援など、福祉を中心とする施策が重要であることは言うまでもない。
それ以上に考えなければならないのは、子どもたちに焦点を当てた支援だ。生活の苦しい家庭で育った子が、大きくなってもその状態から抜け出せず、世代を超えて続いてしまう「貧困の連鎖」をどう断ち切るか。
カギとなるのは教育だ。
教育で広がる将来
さいたま市内のコミュニティセンター。午後6時を回ると制服や体操着姿の中学生が次々とやって来る。経済的に厳しい家庭の子どもたちに、学生ボランティアが週2回、勉強を教える無料の「学習支援教室」だ。
4月からボランティアをしている女子学生(18)は、かつて教室で学んだ一人だ。「ここに来ると、いつでも私の話を聞いてくれる人がいる。心のよりどころみたいな場所でした」
母と2人暮らし。女子学生が中学2年生の時、家計を支えていた母が体を壊し、生活保護を受けるようになった。「進学するより働いた方が、と思った時もあった。けれど、大学生のボランティアさんから学生生活のこととか、いろんな話を聞くうちに夢がふくらんで」。今は奨学金で大学に通い、福祉の分野を学んでいる。
市の委託で教室を運営するNPO「さいたまユースサポートネット」の青砥恭(やすし)代表は言う。「子どもたちが自分自身で未来を切り開く力をつけなければ、貧困問題は解決しない。学びは貧困対策の核です」
昨年4月に始まった生活困窮者自立支援制度で、厚生労働省は学習支援事業を貧困対策の柱の一つと位置づけ、自治体に実施を促している。しかし任意事業のため、青砥さんのNPOの調査では「実施予定なし」の自治体が45%もある。
地域の実態調査を
こうした取り組みをどう加速させるか。ヒントになりそうなのが、貧困の「見える化」だ。
沖縄県は今年、都道府県で初めて独自に子どもの貧困率を29・9%と推計し、公表した。全国の1・8倍という高さだ。
「沖縄の子どもの状況がどれだけ厳しいか。それを把握しないと必要な対策も見えてこない」(喜舎場〈きしゃば〉健太・県子ども未来政策室長)。渋る市町村を説得し、協力を仰いだ。
学校で必要な教材の費用などを援助する就学援助を貧困家庭の半分近くが利用しておらず、制度を知らない人も2割近い。同時に行ったアンケートからは、既存の支援制度が十分に機能していない実態もわかった。
県は「就学援助を知らない貧困世帯ゼロ」「学習支援教室を全市町村に拡大」など34の数値目標を含む6カ年計画を作り、30億円の対策基金を設けた。調査を担当した一般社団法人「沖縄県子ども総合研究所」の龍野愛所長は「現実を突きつけられたから政策が動いた。実態把握は、政策の効果を検証する上でも欠かせない」と強調する。
大阪市も今年度、小・中学生らを対象に調査を予定する。地域ごとに実態をつかむことが、対策を前進させる大きな力になる。取り組みを急ぎたい。
社会全体で向き合う
「子どもの将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」。2014年に施行された子どもの貧困対策法を受け、政府が閣議決定した大綱がうたう理念だ。
言葉だけで終わらせてはならない。社会保障と教育を両輪に、対策を充実させたい。とりわけ教育分野では、経済規模と比べた公的支出が先進諸国の中で最低水準にとどまる。予算を思い切って増やすべきだ。
「義務教育は国がしっかりやるが、高校や大学は自立してがんばってもらわないと」。自民党の国会議員が奨学金制度の拡充をめぐって最近、こんな趣旨の発言をした。今も根強い主張だが、そうした単純な「自己責任論」から卒業する時だ。
子どもたちは社会の担い手になっていく。その健やかな育ちを後押しすることは、「未来への投資」にほかならない。
社会全体で子どもを支える。その合意と負担に向き合う覚悟が問われている。
こどもの日 助けての声が聞こえる|2016年5月5日毎日新聞
きょうは、こどもの日。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と国民の祝日法に書かれている。しかし、幸せそうに見える風景の中に小さな悲鳴が隠れている。
親から虐待されている子、生活苦で子の養育ができない親たち……。貧困だけでなくアルコール依存や障害などさまざまな要因が複雑に絡み合って、子供たちを傷つけている。子供はこうした困窮が自覚できず、なかなかSOSを言わないだけで、実態は深刻だ。
複合的な困窮から救え
学校を休みがちの中学生がいた。
まったく不登校というわけではないので誰も気付かなかったが、1年前からひとり親となった母の生活が苦しくなり、水道やガスが止められていた。風呂に入らず、駅や公園の公衆トイレを使っていた。中学の養護教員が子供たちの何気ない会話からようやく気付いたのだという。
「渦中にある子はなかなか自分から助けてと言わない。周囲が気付いてもすぐに救済されるわけではない。生活保護は申請してから受給するのに1カ月もかかる」
中学生を支援する静岡市の独立型社会福祉士の川口正義さんは指摘する。30年以上、虐待や貧困で苦しむ子供たちに寄り添ってきた。
今やどこにでもこうした子供はいる。困窮の状況が見えにくく、関心を持つ人が少ないだけだ。
札幌市の社会福祉法人「麦の子会」の保育所や放課後等デイサービスには、500人近い子供が通っている。そのうち77人はひとり親家庭の子だという。
親のアルコール依存や精神障害、虐待、近親者の自殺、触法などが何重にも絡み合うケースが多い。母の内縁の夫に暴力を振るわれている子、母がうつでゴミ屋敷の中で生活している子もいるが、「これが普通の家庭だと子供は思っている」と北川聡子総合施設長は言う。「暴力があってもお父さん、お母さんが好きで、貧しいのは自分のせいだと思ってしまうのです」
義務教育を受ける15歳までは、学校が子供の困窮を発見し支援につなげる役割を担っている。年齢が上がるにつれて教育や福祉などの公的支援は少なくなる。18歳になり、児童福祉法の適用年齢を超すと、児童養護施設や障害児入所施設が利用できなくなり、「自立」を迫られる。
現在、大学や専門学校などへの進学率は7割を超えているが、生活困窮家庭の子は高等教育を受ける機会が少なく、高校中退者も多い。部屋を借り、就職する際に必要とされる保証人を探すことが難しい。
どうやって自立しろというのか。
寝る場所や食べ物がないため、インターネットのサイトで援助してくれる男性を求める少女たちがいる。「神待ち少女」と呼ばれる。
警察庁によると2015年に非出会い系サイトで児童買春や児童ポルノの被害にあった子供は1652人に上る。性風俗にしか居場所を見つけられないという少女も多い。
こうした子供たちが求めるのは、今すぐ寝るところ、食べるもの、お金だが、子供の福祉を担う公的機関はほとんど頼りにならない。
国政の最優先課題に
政府の対策が遅れてきたのは、親の養育責任を重視する考えが根強いからでもある。「甘やかすとためにならない」と子供にも努力を求める意見がよく聞かれる。
だが、親族や近所などの支え合いが格段に厚かった時代に比べ、現在は子供を保護し育てる近隣の補完的な機能が極めて弱い。
幼少期に虐待やネグレクトに遭うと、自分自身や社会に関心が持てなくなり、生活習慣を身に着けたり学習したりする意欲が阻害される。ひどい虐待を受けた子の中には、脳が萎縮する例があるとの研究報告もある。努力するために必要な土台がない子に努力を求める理不尽さを認識すべきである。
母子家庭の8割の母親は就労しており、先進国の中でひとり親の就労率は日本が突出して高い。その半数は低収入の非正規雇用で、複数の仕事を掛け持ちしている人も多い。
社会的格差が以前よりはるかに大きくなり、社会の底辺でもがいている人に自己責任を求めて解決できる状況ではないのだ。
「子供はうそをつく。自立のために部屋を確保し、仕事を見つけてきても、家賃を踏み倒して逃げていく。幼いころに虐げられた子は簡単に立ち直ることはできない」。困窮家庭の子供や非行少年を支援している造園業の男性はそう言う。
しかし、何度だまされても辛抱して支援し続けると、数年が過ぎてから、子供が変わっていく。そんな経験を何度もしたという。この男性自身が幼いころ父から激しい虐待を受け、非行に走った過去がある。
福祉制度の隙間(すきま)で、公的な助成を受けずに必死に子供たちを救っている人々がいる。こうした民間の活動にこそ公的支援がもっと必要だ。
子供の困窮対策は国政の最優先課題に位置づけるべきである。財源や人材を確保し、福祉や教育の支援を厚くしないといけない。官民を挙げた取り組みが求められている。
こどもの日 誰もが輝いてこそ祝える|2016年5月5日産経新聞
子を殴(う)ちしながき一瞬天の蝉(秋元不死男)。わが子に思わず手を上げてしまったときの後悔や自責の念などで茫然(ぼうぜん)とした心境を象徴的に表現した名句である。子を持つ親なら誰しも思い当たるふしがあるはずだ。
殴った手の痛みより心のうずきが強かったに違いないが、昨今多発する子供への虐待事件でははたして、虐待に及んだ大人に心のうずきがあったのだろうか。
日本小児科学会は、虐待で死亡した可能性のある15歳未満の子供が全国で年間約350人に上るとの推計を初めてまとめた。厚生労働省による集計の数倍にもなっており、学会は「多くの虐待死が見逃されている恐れがある」として国に対応強化を求めている。
死に至らなかったり、明るみに出なかったりする水面下の虐待に苦しむ子供はさらに増えよう。
きょうのこどもの日は、子供の人格を重んじ、子供の幸福を図る趣旨の祝日とされるが、あまりにもひどい虐待の現状に鑑みれば大人はまず、短い命を余儀なくされた子供らの悲痛を思いやり、薄幸の子が一人でも多く救われるよう祈る機会であってもよいのではなかろうか。
忙しい生活の中ではときに、子供を煩わしく感じることがあるかもしれない。しかし大抵の親は、普段の子供のあどけないしぐさや言葉によって自らがどれだけ癒やされ、幸福感を与えられているかをよく知っている。だからこそ煩わしさにも耐えて精いっぱいの子育てができるのである。
いまネット上では「てぃ先生」のツイッターがちょっとした人気だ。保育園勤務の現役男性保育士という「てぃ先生」は連日、園児らのささいな言動の中に子供らしい無邪気な輝きを見いだしては、「すごい」「かわいい」…と感動をつづる。共感がフォロワーの間で大きく広がっている。
子供の魅力の発見に努める「てぃ先生」のような優しいまなざしを、保護者は言うに及ばず周囲の大人もぜひ持ちたい。
最近は、児童相談所などがもう一歩踏み込んでいたら助かった命もあったろうにと思われる例も目につくだけに、輝きを失い、救いを求めている子供を見つけ出す周囲のまなざしが欠かせない。
一人の例外もなく、全ての子供が幸福であることを祝える日であってほしい。
こどもの日 未来切り開く力を育てたい|2016年5月5日読売新聞
〈その笑顔 未来を照らす 道しるべ〉。「こどもの日」から始まる児童福祉週間の今年の標語である。福島県の13歳の女の子の作品だ。
自分たちの可能性を信じ、未来を切り開いていこうとする気概が感じられる。夢に向かって挑戦する心を育てていきたい。
子供は、成長しようとするパワーに満ちている。
そう実感させるのがカリスマ小学校教諭「ぬまっち」こと沼田晶弘さんのクラスの風景だ。東京学芸大学付属世田谷小学校で子供のやる気を引き出すユニークな指導法を展開し、教育界だけでなくビジネス界からも注目を集める。
子供が興味のあるテーマごとにチームを作って授業を行うティーチャー制度、地理の学習で好きな都道府県の魅力をアピールして競い合う「勝手に観光大使」など、子供が主役になって楽しめる仕掛けを編み出してきた。
信頼して任せると、子供たちは自ら動き出す。課題を徹底的に調べ、パソコンで発表資料を作り、説明の構成や表現を工夫する。学びの範囲がどんどん広がる。
クラス中で作文などの小学生向けコンクールに次々と応募して賞金を獲得し、目標にしていた豪華な卒業遠足も実現させた。
子供たちに「自分はできる」という自信を持ってもらいたい。それが、大人になって困難に直面しても、くじけず、チャレンジする力になる。型破りな試みの背景にある沼田さんの思いだ。
内閣府の調査では、日本の青少年は「自分に満足している」という自己肯定感が諸外国に比べて低く、将来への希望も乏しい。
「自分は認められている」「必要とされている」。子供たちがそう思えるように導くことが、大人の責任だろう。
夢を持ちにくい環境で育つ子供たちからも、目を背けてはならない。家庭が経済的に苦しい子供は6人に1人に上る。ひとり親家庭の半数以上が貧困状態だ。悲惨な児童虐待も後を絶たない。
困難な状況にある子供を支えるため、食事の提供や学習支援を行う「居場所」作りを各地のNPOなどが進めている。信頼できる大人とのふれ合いは、子供の意欲や自信を育む上でも重要だ。
政府も、子供の貧困と児童虐待の対策強化プランをまとめた。ひとり親家庭への手当の充実や児童相談所の機能強化が柱だ。
2日には改正児童扶養手当法が成立した。その他の施策についても、着実な実施が求められる。