2017年6月28日水曜日

記事紹介|僕たちができることがあるはずだ

前回はフェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏が5月末に米ハーバード大学の卒業式で行った祝辞を取り上げました。

彼は祝辞の中で「目的」の大切さを強調し、次のように語りかけました。心にとまった表現の一部を、私なりの解釈でご紹介します。


僕らは、大きな目的に向かって進むことが必要だ。大きな目的に進もうとすると、狂人扱いをされてしまう。「何をやっているのかわかっていない」と非難される。でも、事前に全部わかっているなんてことは不可能だ。ミスを恐れるあまり、何もしないでいたら、結局何もできなくなる。

僕らは僕らの世代の課題に取り組むべきだ。気候変動問題(温暖化問題)に取り組むのも、すべての病気に関する遺伝子データを集めるのも、オンラインで投票できるようにして民主主義を現代化することも、やる価値がある。みなが目的を持って取り組むこと。みなが目的を持てるようにすること。それが大切なのだ。

そして、誰もがその目的に参加する自由を持てるようにすることだ。

しかし今日、僕らの社会は深刻な格差の問題を抱えている。その格差のために、誰かがアイデアを実行に移すことができなかったら、それはみんなにとっての損失になる。

僕は大学を中退して何十億ドルも稼げたけれど、その間に何百万もの学生が学費ローンの支払いに困り、自分たちのビジネスを始めることができないでいる。そんな社会は間違っている。

よいアイデアを持ち、頑張って働いたからといって、誰もが成功するわけではない。運も必要になる。新しい挑戦を始められるような余地がなければ、起業は成功しない。人々が安心して起業に取り組めるような余裕が社会に必要なのだ。

誰もがミスをする。だからこそ、一度失敗したら、それで社会的に抹殺されることがない社会が必要だ。

ミレニアル世代(1980~2000年ごろに生まれた世代)にアイデンティティーを問うと、一番多い回答は国籍でも民族でもなく、「世界市民」だという調査結果があるという。

世界の人々と協力して、僕たちは世界から貧困や病気を終わらせることができる世代でもある。気候変動問題や世界的な感染症の拡散について、どの国も一国だけでは対処できない。グローバルな協力関係が必要なのだ。

人々が自分自身の人生に目的と安定を感じて生きられるとしたら、人類は、他の地域の人たちの問題について手を差し伸べることが可能になる。だからこそ、そのために僕たちができることがあるはずだ。

スピーチの秘訣とは 言葉は力強く、理想堂々と|2017年6月19日日本経済新聞 から