2017年12月15日金曜日

記事紹介|近視眼的な科学技術関係予算

弊紙の過去の新聞を見ていたら、平成22年5月14日号に「戦略なき予算削減に危惧」の見出しで、日本化学会をはじめとした国内の科学・技術関連の26学会がまとめた提言の記事が載っていた。

当時は連立の民主党政権が予算編成で事業仕分けを導入した時代で、提言では純減された科学技術関係予算を危惧し、日本の中長期的国家戦略として科学力・技術力強化などのため、研究教育予算・投資の改善を求めている。

しかし、その後の科学技術関係予算の推移を見ると、大型の補正予算などを組み、平成23年度と24年度は伸び続け、24年度には5兆円超に拡大した。

そのまま伸びが継続すれば、第4期科学技術基本計画(23~27年度)での5年間25兆円という目標達成の実現も可能かと期待感も抱かせた。

ところが24年度途中から再び自民党政権に戻ったものの、25年度に再び前年度より減少。第5期計画が始まっても26、27年度と減少した。28年度にはやや回復したが、29年度当初予算は前年度横ばいで、大型補正予算でもない限り伸びは望めない状況である。

最近は世界の大学ランキングで日本の凋落が指摘されるなど、研究開発力や科学技術力の低下が危惧されており、再度、科学技術関係予算を増額すべきという声が上がっている。

日本は有望な資源を持たない国で、産業を生み貿易で稼ぐために科学技術は重要な国家基盤だ。そこへの投資は将来への投資であり惜しんではならない。長く続くこの問題への対応は近視眼的にでなく、国家百年の計としてとらえ配慮すべきではないか。

科学新聞コラム|29年12月1日号 から