国立大学では、現在、平成22年度から始まる第2期中期目標・中期計画策定の山場を迎えていること、各大学は、この中期目標・中期計画の策定に当たって、国立大学法人評価委員会が取りまとめた「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」への対応が求められていることについては、既にこの日記でもご紹介しました。
これは、国立大学法人法の定めにより、文部科学大臣が国立大学法人の中期目標期間終了時に、組織及び業務全般の見直しを行うことになっていることによるものですが、一方、総務省に置かれた政策評価・独立行政法人評価委員会においても、国立大学法人の中期目標期間の終了時に、国立大学法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、文部科学大臣に勧告することができるようになっています。
去る5月21日(木曜日)、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会は、「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」を取りまとめ公表しました。概要及び本文は以下のとおりです。
(概要)http://www.soumu.go.jp/main_content/000022596.pdf
(本文)http://www.soumu.go.jp/main_content/000022597.pdf
上記概要によれば、これは、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が、文部科学大臣が見直しの検討を行うに当たり、国立大学法人等の主要な事務・事業の改廃について、「勧告の方向性」という形で指摘事項を取りまとめ、文部科学大臣に通知するもので、国立大学法人法や同法の附帯決議の趣旨を踏まえつつ、文部科学大臣の見直し案では十分ではないと考えられる主に以下の事項について指摘しています。
1 国立大学法人の理念・目標の明確化
多様なニーズに応えた個性・特色のある教育研究を展開し、機能別分化を進めることが求められている状況を踏まえ、中期目標・中期計画における各法人の理念や目標の一層の明確化、具体的な取組内容の明確化
2 運営費交付金の配分
第三者評価に基づく競争原理を導入するとの基本理念に沿って、各法人の教育研究面での成果や実績が適切に反映され、重点的な配分ができるような運営費交付金の配分の仕組みの構築。各法人の個性に応じた意欲的な取組を支援するための経費について取組状況の検証
3 経営協議会の機能の発揮状況の明確化
経営協議会が期待される役割を十分に発揮し、その意見が法人運営に適切に反映されているか明らかにする観点から、経営協議会における意見の内容及びその反映状況等の情報の公表
4 国民への積極的な情報提供
国民に対する説明責任を十分に果たす観点から、利用者の立場に立った分かりやすい情報の提供
文部科学省では、今後この「勧告の方向性」の趣旨が最大限生かされるよう国立大学法人の組織・業務全般の見直しを進め、6月を目途に最終的な見直し内容が国立大学法人に示されることになっています。
(参考)国立大学法人の組織・業務全般の見直しのスケジュール