2012年6月11日月曜日

「大学改革実行プラン」について考える


去る6月5日(火曜日)、文部科学省から「大学改革実行プラン」が公表されました。これは、昨年11月の政策提言仕分け「教育(大学)」における議論等を踏まえ、実効性のある大学改革をスピード感を持って推進するため、昨年12月に文部科学省内に「大学改革タスクフォース」が設置され、これまで議論されてきた結果をとりまとめたものです。

6月4日(月曜日)に開催された国家戦略会議においては、その基幹となる部分について、平野文部科学大臣より総理に対して説明が行われています。


詳細は、文部科学省のホームページをご覧ください。ここでは、「国立大学改革」に関し気になった3つの資料について抜粋してご紹介します。




平成24年度中に、国としての改革の方向性である「国立大学改革基本方針」が策定されます。
特に、「教員養成」「医学」「工学」のミッションの再定義(大学・学部の設置目的を明確化し、公的教育機関としての存在意義を「見える化」)が行われます。
そして、平成25年度半ばまでに、全ての大学・学部ごとにミッションを再定義し、改革の工程表「国立大学改革プラン」が策定されます。確定した改革プランを、平成28年度から始まる第三期中期目標・中期計画へ反映させることになります。




大学改革を促すため、「アンブレラ方式」など、大学の枠・学部の枠を超えた再編成についての検討が行われます。




政策目的を明確化し、人材育成上活性化が必要な分野や、当該分野におけるトップ大学と伍して高いレベルを維持している大学には、エビデンス(科学研究費補助金の採択件数、引用論文数、卒業生の進路等)に基づいた重点的財政支援が行われます。また同時に、既配分額の減額も行われます。


「大学教育の質を向上させる」ためには、まず「大学の存在意義を明確化する」ことが必要であり、その促進手段として、組織の再編成や重点的資源配分が行われるものであることを十分認識する必要があります。このことは、「大学改革実行プラン」発表後の文部科学大臣会見においても言及されています。


平野博文文部科学大臣記者会見録(平成24年6月5日)

(記者)
ちょっとまた大学に関係することなんですけれど、国立大学のミッションを再定義して、その上で再編等を進めていくということですが、場合によっては地域から大学がですね、あるいは学部がなくなるとか、そういったことも考えられてですね、地域にとっては反発・抵抗も予想されますけれども、これはそのクリアできるとお思いでしょうか。それともそのクリアするためにどういうふうに説得したり、対応していくとお考えでしょうか。 

(大臣)
これもこの後やりたいと思っていますが、やっぱりじゃあもう今あるものはずっとあるという考え方では物事っていうのは律しきれなくなっていく、来ておるわけですから、そこに存在するということは、それなりの価値がどれだけあるのかということも含めてしっかりとミッションを見直すと、こういうことだと思っております。したがって、そこから大学をどこかへ移していくとか、そういうことありきではありません。改めて本当に必要な大学であるかどうかということと、大学自身もそういうミッションを帯びて頑張っているというところがしっかり出てこなければ、私はいけないと思います。これやっぱり税金を投入しているところでございますから、そういう観点でこれからの時代に合った人材をどう輩出していくか、あるいはその地域にどれだけ開かれた大学になっているか、あるいは地域との連携が十分に取られている大学であるのか、ということを含めてしっかりそのミッションを見るということで、その中で統廃合という再編をどういうふうにする、そのことの方がその地域にとってプラスになっていくのかどうか、このこともやっぱり両面見ないといけない、こう思っていますから、具体的なやっぱり工程設計はこれから具体的に詰めていきたいと思います。