このうち、大学関係部分を、首相官邸ホームページから抜粋してご紹介します。
安倍総理「成長戦略第2弾スピーチ」(日本アカデメイア)(平成25年5月17)
4 世界に勝てる大学改革
人材も、資金も、すべてが世界中から集まってくるような日本にしなければ、「世界で勝つ」ことはできません。
今、世界で活躍しようと考えて、日本の大学を選ぶ若者が、世界にどれだけいるでしょうか?
「世界大学ランキング100」というものがあります。日本の大学は、残念ながら、2校しかランクインしていません。
「日本の大学」ではなく、「世界の大学」へ。
日本の大学は、もっともっと世界を目指すべきです。「日本の大学は、日本人を育てるためのものだ」などという狭量な発想を捨てることが、私の考える「大学改革」です。
(真の意味での産学連携)
トップ1・2は、カリフォルニア工科大学、スタンフォード大学です。ピンときた方もおられるでしょう。そう、シリコンバレーです。
大学自身が、ビジネスに深くコミットしています。卒業生がベンチャーを立ち上げるときには、自ら出資するような仕組みもあります。
卒業生の、研究レベルだけではなく、リスクを恐れない「起業精神」の高さが、世界的に評価されているのです。
「象牙の塔」などという言葉は、すでに通用しません。日本の大学も、まずは、自分でビジネスをやるところから始めなければなりません。そこから、真の意味での「産学連携」が生まれるものと確信しています。
大学のガバナンス改革と、自らビジネスに出資することを可能とするよう、規制改革を進めます。
(世界の大学へ)
明日、大分県にある立命館アジア太平洋大学に伺います。ここは、教授陣も、学生も、約半分が外国籍です。東南アジアの国々だけではありません。中東の国々や、ボツワナ、ウズベキスタンなど。世界中から集まっています。
学生生活を通して、世界中の文化にふれることができます。さらには、卒業後の人的ネットワークは、世界に広がっていきます。
まず隗より始めよ。国立の8大学で、今後3年間の内に、1,500人程度を、世界中の優秀な研究者に置き換えます。これにより、外国人教員を倍増させます。
大学の経営の在り方も、世界のグローバル・スタンダードにあわせなければなりません。年俸制の導入や、教員の家族が英語で生活できる環境の整備など、経営改革も進めてまいります。
国の運営費交付金などの分配についても、「グローバル」に見直しを行い、大学の改革努力を後押ししていきます。
外国人教員の積極採用や、優秀な留学生の獲得、海外大学との連携、そして、英語による授業のみで卒業が可能な学位課程の充実、TOEFLの卒業要件化など、グローバル化を断行しようとする大学を、質・量ともに充実させます。制度面でも、予算面でも、重点的に支援します。
今後10年で、世界大学ランキングトップ100に10校ランクインを目指します。同時に、グローバルリーダーを育成できる高等学校も、作ってまいります。
(すべての若者に留学機会を)
そして、日本の若者たちには、広い世界を、自分の目で見て、足で歩いてほしい。
私は、意欲と能力のある「すべて」の日本の若者に、留学機会を実現させたい。そのために、官民が協力し、留学生の経済的負担を軽減するための新しい仕組みを創ります。
ビジネスの世界では、今や、「国境は消滅している」と言っても過言ではないでしょう。そんな国際的な大競争の時代にあって、「世界に勝てる」人材を育成していきたいと思います。
◇
次に、「日本経済再生本部産業競争力会議」の議事要旨から、大学関係の議論を抜粋してご紹介します。
上記の安倍総理のスピーチと比べていただきますと、産業競争力会議の議論が、今回の成長戦略の策定に大きく反映されていることがわかります。
第2回会議 2013 年2月18 日(月)
■科学技術イノベーション推進体制強化について
橋本議員(東京大学大学院工学系研究科教授)
運営費交付金については全廃して、全て競争的資金にすべきとの意見もある。しかし、現在の運営費交付金はほぼ人件費に使われている。例えば私の所属している東京大学においても運営費交付金は90%が教職員への人件費である。即ち現在運営費交付金はほとんどが教育目的で使われており、研究費は既にほぼ完全に競争的資金によっている。私は現場で研究をしているが、研究費は全て競争的資金でやっており、これは私の偽らざる実感である。この結果、大学に資金がないため、優れた発見がなされても、お金がないため、特許申請が出来ないということも実際に起こっている。このペーパーでは単に運営費交付金を増やしていけばいいと言っているわけではない。個々の大学の役割分担など大胆な改革とあわせた運営費交付金の配分の見直しが必要。そのためには、人件費を含め、研究開発のための事業費については、例えば、社会への貢献、研究内容等の観点から適切な評価を行いつつ、例外を認めるといった修正を図るべきである。
第4回会議 2013 年3月15 日(金)
■人材力強化・雇用制度改革について
長谷川議員(武田薬品工業株式会社代表取締役社長)
教育制度改革は、特に高等教育を対象として、全ての大学が担うわけではないがグローバル人材育成の観点から見直すべきものは見直していただきたい。多くの民間企業では、TOEFLやTOEICのスコア提出を入社試験の際に提出させており、公務員試験においても同様の取組を実施することは大いに意義のあることだと思われる。
大学に関しては、社会に求められる人材の輩出を優先し、運営費交付金の配分基準の見直しを行い、アウトプットを上手に図っていただきたい。
下村文部科学大臣
生産年齢人口の減少が続く中、我が国が世界に伍して成長・発展していくには一人ひとりの「人」の力を高める以外にない。各国が高等教育を重視し、規模を拡大する中、日本の高等教育も質・量ともに充実・強化していく必要がある。特に大学には、日本の成長を支えるグローバル人材、イノベーション創出人材、地域に活力を生み出す人材の育成と、大学の研究力を活かした新産業の創出が期待されている。
大学を核とした産業競争力強化プランとして考えている施策をお示ししている。一つ目の柱「グローバル人材の育成」に関しては、世界を相手に競う大学は5年以内に授業の3割を英語で実施するなど明確な目標を定め、外国人を積極的に採用するなど、スピード感を持ってグローバル化を断行する大学への支援を進めたい。また、日本人の海外留学生を12万人に倍増し、外国人留学生を30万人に増やすために必要な手立てを講じていきたい。更に、使える英語力を高めるため、大学入試でのTOEFLなどの活用も飛躍的に拡大したい。2つ目の柱「大学発のイノベーション創出」に関しては、特に理工系人材について、産業界や関係省庁とも議論し、今後の人材育成戦略を共有していきたい。また、大学での研究成果を活用した新産業創出のため、本年度補正予算で国立大学に出資を行うこととしているが、その状況も見つつ、大学からベンチャー支援ファンド等への出資を可能とする制度改正を検討していく。3つ目の柱「社会との接続・連携強化、学び直しの促進」に関しては、大学の機能として地域活性化への貢献の視点を重視するとともに、産業界の協力を得つつ、社会人の学び直しに役立つ実践的な教育プログラムの開発・提供、インターンシップの大幅な増加、就職活動時期の是正などを進めてまいりたい。こうした大学の思い切った改革の実現に必要な大学力の基盤を強化するため、大学の教育力の向上、人事給与システムの改革や運営費交付金の配分の見直しなどの国立大学の改革、私立大学の質保証・向上、財政基盤の充実、大学入試の在り方の見直しなどを進めてまいりたい。
榊原議員(東レ株式会社代表取締役取締役会長)
国立大学への運営交付金の配分について。大学に真の競争原理を導入し、大胆な大学改革を促進するには、大学の評価体制の整備、評価結果に基づく運営費交付金の傾斜配分が極めて重要な課題。国立大学法人の運営費交付金は、2004年の法人化以降、従来通りの比率で配分されている。教員の給与も公務員時代と同様に年功により一律に決められているというのが実情。これが大学において競争原理に基づく改革が進まない大きな要因。今こそ真の競争原理を導入するための象徴的な施策として、大学、教員双方に関する適切な評価指標・体制を整備し、この評価基準に基づいて大学への運営費交付金を思い切って傾斜配分、そして個々の教員の給与についても、業績成果に基づく年俸制の導入など真の競争原理を導入し、これらを大学自らが改革を起こすインセンティブとすべき。
二点目は、アジア留学生の規模拡大。3月11日付の総理官邸のフェイスブックで総理は、震災時の支援の恩返しとして、外国からの留学生又は研修生の受け入れなど大規模な人材交流を進めたいといった所信を述べられた。この構想は、海外諸国、特にアジア諸国への感謝の意の表明とともに、アジア社会との共生を宣言するものであり、アジア諸国の将来のトップ候補生を日本で育成し、アジア諸国における知日家・親日家を増やして、現地における日本の社会・産業・文化の伝播・発展を促すもの。この構想を昭和の穂積五一構想に代わる、「平成の安倍晋三構想」として、今後10年以上の長期の人材の大規模招聘計画を実現していただきたい。
橋本議員(東京大学大学院工学系研究科教授)
第一に、教育制度改革については、大学改革が重要。大学は保守的なところで簡単に動かない。動かすための手段として、運営費交付金の分配方法の工夫は有効であり、現在約9%の「選択的に配分される部分」の比率を高め、その部分はさまざまな指標により評価し、傾斜配分することは有効。ただし、運営費交付金の9割は人件費なので、人事制度改革を併せて行わなければならない。国立大学への年俸制の導入は必須であろう。年俸制は今でもできるはずだが、できていないのは大学自身の問題であり、運営費交付金の配分と合わせて年俸制を強く促すことが重要。優秀な外国人教員や研究者を迎えいれる上においても、年俸制の導入が必要。
第二に、大学の国際化も大変重要。優秀な外国人を受け入れ国際化を進めるためには、給料や奨学金、住居環境や研究環境の整備などのお金がかかる対応も必要となる。まずは予算がなくてもできることを徹底して取り組ませることが第一。その上で、グローバル化を評価して、成績の良いところには運営費交付金などに反映させる、という二段階での改革が必要。
第三に、4月から始まる労働契約法に係る雇止め問題は、イノベーションを担う理工系人材のキャリアパスを考える上で重要。労働契約法改正による、有期契約から無期契約への転換オプションは、有期契約の更新が繰り返されることによる労働者の継続雇用への期待を保護するための仕組み。一方で、研究者のキャリアパスでは、博士研究員や助教などの任期付ポストを5~10年経験してから、初めて任期の付かないテニュアーとなるのが国際標準。これができないと研究者のキャリアパスの上で問題が生じるので、考慮されたい。例えば、有期から無期への転換のオプションがない定期の雇用契約制度を作っていただきたい。
安倍内閣総理大臣
人材のグローバル化を進めるため、国家公務員採用過程における国際的な英語試験の活用、大学における外国人教員の積極採用、意欲と能力に富む全ての学生に留学機会を与える環境整備を図っていきたい。
第5回会議 2013 年3月29 日(金)
■健康長寿社会の実現
下村文部科学大臣
基礎研究の優れた成果を臨床研究・治験にまでつなげるための、いわゆる橋渡し研究の強化が必要である。文部科学省においては、大学等が基礎研究の成果を自らの力で臨床研究や治験に橋渡しすることを可能とするために、全国7カ所の橋渡し研究支援拠点を整備し成果を挙げている。文部科学省としては、このような実績を踏まえつつ、日本版 NIH構想の実現により、橋渡し研究の強化に貢献していく。更に、この分野における基礎研究を強化していくことが重要な課題である。予算が少ない我が国が、革新的な創薬等につながる優れたシーズを創出し続けるためには、京都大学山中教授によるiPS細胞のような、従来の概念を覆すような卓越した基礎研究の推進が必要不可欠である。これまで我が国の強みであった基礎研究も、中国や韓国等の新興国の追い上げにより、相対的な国際競争力が低下してきている。今後、この分野における基礎研究の取組を重点的に強化していくことが必要である。
文部科学省としては、健康長寿社会の実現に向け、①再生医療の実現に向けた取組、②これまでの概念を覆すような画期的な医薬品・ 医療機器の開発・実用化、③効果的な予防法の確立・健康寿命伸長産業の創出等が重要と考えており、このような分野における研究開発にしっかりと取り組んでいく。
民間議員ペーパーで「予防医療は、食事と適度な運動が柱」とされているとおり、①大学・企業と地方公共団体、総合型地域スポーツクラブ等の連携による、ライフステージに応じた住民のスポーツ参加の促進や、②食育を含めた健康教育の推進といった「スポーツ」「健康教育」を活用した取組も行っていく。
第6回会議 2013年4月 17日(水)
■科学技術イノベーション・ITの強化について
榊原議員(東レ株式会社代表取締役取締役会長)
大学・独立行政法人研究所等の機能強化について、運営費交付金は、成果を適切に反映した上で、現行の一律削減を除外するとともに、思い切った傾斜配分を行うべき。また、研究成果を円滑に実用化に繋げるための政府関係機関の連携、例えばJSPS、JST、NEDOなどの連携や機能統合や、更に、国内外の優秀な研究者への世界水準の処遇を実現するため、国立大学への年俸制の導入も必要である。
第7回会議 2013 年4月23 日(火)
下村文部科学大臣
国立大学改革について、大胆なグローバル化やシステム改革に、明確な目標とスピード感を持って取り組みたい。
第一に、海外の研究者・大学をこれまでと違う次元で招聘する。第二に、産業界と対話し、ライフ分野を含む理工系分野を徹底強化していく。第三に、年俸制導入などの人事給与システム・ガバナンス改革を断行していきたい。この三つの改革を一体で直ちに取り組む。ガバナンス改革については、教育再生実行会議の議論を経て、かなり踏み込んだ大胆なものとして対応していきたい。更に新たな評価指標を確立し、第3期中期目標期間以降は、運営費交付金の在り方を抜本的に見直す。
次にグローバル人材の育成について、使える英語力の修得、大学の体制整備、留学が就業にプラスになる環境整備、経済的負担の軽減をパッケージとして推進する。重点地域を設定して、海外拠点を設け、現地における入学者選抜・採用を促進する。日本で活用できるよう、インターンシップの実施促進など就職につながる取り組みも強化していく。トップ外国大学から教育組織をユニットで丸ごと誘致するハイブリッド型国際大学院の設置、海外へのキャンパス展開、グローバルで多様なアカデミック・パスを可能にする取組など、現行制度の枠にとらわれず制度と予算を総動員して実現する。世界トップレベルの学力・人間力の強化を図り、グローバルリーダーを養成する高校を新たに支援していきたい。
社会人の学び直しについて、ステップアップ型、社会参画型、また、現在の産業構造を踏まえキャリア転換型への対応が急務。そのため、産学両者が連携してオーダーメード型のプログラムを構築していく。
教育再生実行会議においても、大学教育・グローバル人材に関する議論を開始した。5月末には包括的な改革プランを提言していただく。
坂根議員(コマツ取締役相談役)
大学改革について一言申し上げたい。文科大臣からいろいろなご提案をされて非常に力強く思っている。私の基本的な問題意識は、大学が経営になっていない、そこに一番問題がある。経営の主体は文科省なのか学長なのか経営協議会なのか。実は私は4年前に全国国立大学学長会議に呼ばれて講演したのだが、その時に、我々の会社では企業価値とは、お客さんにとって当社でなければ困る度合、当社の商品やサービスでないと困る度合がどれだけ高いかということを追及していくことであり、結果的に私の会社はICTを使った新しいビジネスモデルで先行できているのだが、では大学にとって、お客さんが誰なのか、商品は何なのかということを尋ねた。その答えとして、それは大学内ではタブーに近い質問で、学内でそういうことを議論することは顰蹙を買うと言われた。それはそうなのかもしれないが、日本の大学は何とか差別化しようという思いがない限り、何をやっても結局うまくいかないのではないかと思っている。
私は東大の産学連携のアドバイザーと金沢大学の経営協議会のメンバーとなっているのだが、私がもし大学経営をするとしたら、自分たちがどんな社会や産業界に強いか、どんな分野で学生の特色を出したら差別化できるかということを常に考えるということを申し上げるのだが、日本の国立大学の場合は多くが総合大学化しているので、重点分野から外れた先生方の反発がすごいのだと思う。したがって私はこの部分を何とかすべきと思う。
まず隗より始めよということで、金沢大学には海外からの留学生がなんと800人おられるのだが、金沢大学に行ったらこんなことを学べたという何か特色を出そう思い、去年の夏休みに小松市にある私どもの研修センターに留学生を呼んで私も講師として話をしたら、こんな勉強ができたと喜んでいた。私は何ごとも隗より始めよでなければ物事は変わらないと思うので、個別大学ごとの差別化戦略を進めさせるような方策を是非お願いしたい。
榊原議員(東レ株式会社代表取締役取締役会長)
先程下村文科大臣から産業競争力強化のための国立大学の新たな評価手法を確立して、運営費交付金の在り方を抜本的に見直すというお話があった。この改革案は、日本の大学・大学院に対し、イノベーション創出に向けて、より競争を促進する制度を導入しようとする意味において、産業界の立場からも強く賛同の意を表したい。大学の評価は、従来は計画に対する達成度の進捗判定がメインであったが、今回新たに客観的な評価指標を確立するという改革プランを提出されたのは、大きな前進であると考えている。
新たな評価指標の導入に当たっては、次の3点を考慮していただきたい。一つ目は、日本の大学・大学院が、世界のトップ水準と比較して、どのような位置付けであるかという評価をしていただきたいということ。二つ目は、大学を一括りで評価するのではなく、教育と研究を別々に評価していただきたいということ。三つ目は、学部や学科別の分野ごとの評価もしていただきたいということ。これまで、文部科学省は大学のランク付けを極力避けてきた傾向があるが、今回の国立大学改革を契機に、権威のある客観的な評価体制を整備して、日本の大学・大学院が世界のトップ水準と比較してどういうポジションにあるのかということを示していただきたい。そして、教育と研究は、機能と期待される役割が異なるわけで、別々の評価・対応をしていただきたい。分野別の評価について、アメリカではUSニュースのランキングが有名であるが、例えば工学分野では、航空、コンピュータ、機械といった分野に分類して、全米ランキングを発表している。このようなランキングで上位につけた学部や学科に優秀な教員や学生が集まり、結果として国や大学の資金が優先的に配分され、組織の統廃合が進む。今回の大学改革においても、このような評価結果に基づいて、国の運営費交付金の大胆な傾斜配分を行うとともに、資源配分の見直しや組織再編を積極的に推進していただきたい。これが日本の大学と大学院の活性化、イノベーション強化の大きな起爆剤になると考えている。
橋本議員(東京大学大学院工学系研究科教授)
教育制度改革において、日本人学生の外国留学の促進と外国人留学生を呼び込むことの2つは極めて重要。これらについては、費用を安定的にしなければ人を出すこともできないし、人を呼ぶこともできないので、その意味では基金化が重要と思う。是非政府でもご検討いただきたいと思うが、政府だけではなくて、民間も是非とも基金に対してコントリビューションしてほしい。
ちなみに、政府が出しているお金でも、使い方によってもっと有効に使えるという事例があるので1つだけお話しすると、海外から呼び込む国費の留学生制度があるが、最近、来る学生のレベルが急に低くなった。調べてみると、我が国のお金で呼ぶ学生に対しては、大学院生であるにもかかわらず、日本語を学んでくることが条件になっている。そのために自動的に入学が1年遅れることになる。優秀な学生は日本語を学ぶために1年遅れて入ってくるということを選択しない。これは我が国において、全部英語で単位取得・卒業できる制度を導入すれば何の問題もないことなので、是非それも併せて制度改革をしていただきたい。
最後に、雇用制度改革だが、私から繰り返し述べさせていただいた研究者を対象とした労働契約法の特例法も含めた対応について、これはすでに厚労省と文科省とで一定レベルの議論が行われていると伺ったが、今日の田村大臣の資料を拝見するとやはりこれが抜けていたので、今後是非とも議論を進め、対応をお願いしたい。
安倍内閣総理大臣
人材力強化については、想像力に溢れ、国際的に通用する人材を輩出する大学にしたいと思う。この観点から、評価体制の強化と運営費交付金の徹底した傾斜配分が鍵になると思う。今後3年間を「改革加速期間」として、徹底的な国立大学改革を行っていきたいと思う。