その日はお父さんの給料日で、「おいしいもんたべよ」という電話がお父さんから掛かってきて、駅で小さい弟と待ち合わせします。
3人で商店街を歩いています。
お父さんが「もうしゅくだいおわったんか?」と聞きます。
「これからやるねん。なんでか言うたらな、今日のしゅくだいは ほしのかんさつやねん」と言うのです。
「それやったらよていへんこうして よるのピックニックしようか」とお父さんが言います。
3人はコンビニで弁当や飲み物を買って、丘の上の公園に行きました。
上を見上げると、たくさんの星が見えます。
男の子がお父さんに言います。
「お父ちゃん、1こうねんってしってるか。1こうねんっていったらな。ひかりが1ねんかかってちきゅうにとどくキョリやねんで」
「ぼくな、せんせいのはなしきいて かんがえてん」
何を考えたかというと、ものすごく速い高速瞬間移動型ロケットで6,500万光年離れた星に行って、そこからものすごくよく見える望遠鏡で地球を見るというのです。
そしたら6,500万年前の地球が見えるから、恐竜が見えるというのです。
それからまたこんなことも考えました。
4光年離れた星に行く。
その星から地球を見ると4年前の地球が見えるというわけです。
「4こうねんはなれたほしから、ちきゅうの、にっぽんの、ぼくのいえをみたらな、そしたらな、きっとおかあちゃんがみえるな。おかあちゃんがせんたくほしてるのがみえるんやな。おかあちゃんがごはんつくってくれるのがみえるんやな」
それからこう言うんです。
「そやからな、ぼく、おおきくなったらえらいはかせになるねん。けっしんしてん」って。
「そうか、それやったらえらーいはかせに、カンパイやあーゆうて、とうちゃん、なんかいもカンパイしてん。きょうのビールはかくべつうまいのやって」
「4こうねんのぼく」(ひぐちともこ作・絵)
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先日、光より速いもののことを書いたときに、このお話を思い出しました。
前回は2011年の11月にお届けしていたお話でしたが、色褪せないですね。
タイムマシンがあったら何をしたいか?
タイムマシンといえば、『今のあなたは10年後の自分が人生をやり直しに来ているのです』という言葉があります。
そう思うと今この瞬間の行動が変わってくるのではないでしょうか。
例えば10年前の自分に、今ならどんなアドバイスをしてあげますか?
4光年の僕|今日の言葉 から