善因は善果(ぜんか)を生み、悪因は悪果(あくか)を生むという法則のことです。
善因悪因の「因」とは、自分が生きている間に思ったこと、行ったことです。
ところが、因果応報の法則は、必ずしもその通りの結果が出ているようには見えません。
周囲を見渡せば、いいことをしてきた人が病気で苦しんでいる、悪いことをしている人が幸せそうに暮らしている例は、いくらでもあります。
このような状況では、いくら因果応報の法則を説かれても、我々のような凡人にはなかなか信じられません。
世の中は、因果応報の法則の通りになっていない、とつい思ってしまいます。
因果応報の法則は、結果が出るまでには時間がかかることがあります。
原因に対して結果がすぐ出ることもあるにはありますが、多くの場合はなかなか結果が出てこないのです。
しかし、20年、30年といった長いスパンで見ると、必ず因果応報の法則通りの結果になっています。
さらに、稲盛氏は『シルバー・バーチの霊訓』から、「因果応報を疑っている人もいるだろう。だが、私がいるところから、みなが生きている現世を見ると、一分一厘(いちぶいちりん)の狂いもなく、原因の通りの結果が出ている」というシルバー・バーチの言葉を引用している。
一見すると、世の中は不公平なことだらけだ。
しかしながら、長い目でみると、それはすべて起こるべくして起きているという。
善きことをすれば、善きことが起き、悪しきことをすれば、悪しきことが起こる。
しかも、それは一分一厘の狂いもなく、原因通りの結果が出ているという。
「世の中は正直そのものである」という言葉を心に刻みたい。