2008年12月24日水曜日

「明日はわが身」を考えない愚かな公務員

前回の日記でもご紹介しましたが、社会の皆様を対象とした「2008年の出来事」に関するアンケート調査では、残念ながらネガティブな内容のものが上位を占めました。特に最近では、アメリカ発金融危機に端を発する世界同時不況を背景とした厳しい雇用情勢が社会的問題となっており、我が国においても深刻さを増しています。

仕事はもちろん生活の基盤となる住居までも失い路頭に迷う方々が激増しています。これからどうやって生きていけばいいのか、奈落の底に追い落とされた多くの方々を一日も早く救い出し、来る新年に希望の光を見出すことのできる政策が求められます。

深刻な雇用崩壊を記した記事があります。


自動車産業、契約切りの嵐 「頭が真っ白」「住む場所は…」(2008年12月15日 産経新聞)(抜粋)

「業績が急激に悪化している。申し訳ないが12月26日で辞めてもらうことになった」
「いすゞ自動車」栃木工場(栃木県大平町)の期間従業員、吉田喜代治さん(48)=仮名=が“契約切り”を宣告されたのは先月17日のこと。仕事中に突然、休憩室に呼び出された。製造工程責任者と労務課長から、A4判の解雇予告通知書を手渡された。9月末に、来年4月7日までの半年契約が結ばれていたはずだった。
この日だけで6人が契約打ち切りを通告された。その光景を見ていた吉田さんの同僚、星野貞雄さん(60)は「部屋から出てくる仲間は目が血走り、顔色がなかった。声をかけられなかった」と話す。
いすゞが打ち出した人員削減は、栃木、藤沢(神奈川県)工場の期間従業員や派遣社員の計1400人。
トヨタ3000人▽日産1500人▽マツダ1400人▽三菱1100人▽富士重工業800人…。ほかの自動車メーカーでも削減が行われる。1年前まで、戦後最長を記録した日本の景気拡大を牽引(けんいん)してきた自動車産業を襲った雇用崩壊。その勢いは、まるで今年の流行語になった「ゲリラ豪雨」のようだ。
「信じられない。頭の中が真っ白になった」と吉田さん。次に浮かんだのが「住む場所はどうなるのか」。会社側は「12月26日から1週間は住んでも構わない」と言ってきた。「1週間後ってことは1月3日。そんな時に開いている不動産屋なんてあるのか…」。その後、3月末まで6畳一室の寮を利用できることにはなったが、雇用への不安を抱えたまま年末年始を迎えることに変わりはない。
来年は、製造業を中心に派遣社員の多くが契約期限切れとなり、一斉に解雇される「2009年問題」が懸念されてきた。
派遣社員、期間従業員などの非正規雇用に関しては、労働者派遣法や有期雇用法で、最長の契約期間が最長3年と定められている。会社はその後、契約を打ち切るか、正社員登用など別の雇用契約への切り替えを行う。吉田さんらの工場でもそれまでの好況を背景に、会社は期間従業員を、積極的に正社員として登用する制度を4月に導入。65人が正社員として採用されたという実績もあった。
しかし、100年に1度ともいわれる景気悪化。2009年を迎える前に、各メーカーは「派遣切り」へと一斉にかじを切った。「いずれは正社員に…」。吉田さんの夢も、もろくも崩れた。
全文→http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081215/trd0812152059007-n1.htm


【追加掲載】

天声人語(2008年12月27日 朝日新聞)

故人を含め、指してみたい相手は誰ですか。この質問に、羽生善治さん、森内俊之さんらプロ棋士の多くが同じ名を挙げている。昭和の鬼才と呼ばれた元名人の升田幸三さんだ。家出して頂点を極め、人情味と毒舌、斬新な手で皆を魅了した。
91年に没した升田さんが、勝負と懐具合の関係を語っている。「米びつ開けてみて米がいっぱいではいかん。しかしながらカラでも困る。マスを底のほうへ突っ込んでしゃくったら、ジャリッと音がしたという状態がいい」。
お金が余っていても、すっからかんでも、確かに渾身(こんしん)の力は出にくい。勝負師でもない身なら、少しばかり集中を欠いたとて「満腹」でいたい人が多かろう。逆に、米びつの底が見えたうえ、雇い止めにおびえる立場はどうか。仕事が手につくはずもない。
北風が吹いたきのう、新たに寒い数字が出た。12月だけで3万4千人の非正規社員が失職だという。寮を追われ、初の野宿を強いられる人もいる。防寒の工夫、段ボールや廃棄弁当の入手法、炊き出しの場所など、屋根なく一夜をしのぐすべを知らない、弱者中の弱者だろう。
この年末年始は、週末の巡り合わせで休みが長い。きょうから9日間、駆け込むべき窓口の多くは閉まり、日雇いの仕事も減る。路上ならずとも試練の時だ。
生活困窮者を支援する「反貧困ネットワーク」の湯浅誠さんは話す。「この期間をどう生き延びてもらうか。なにしろ、行政で頼れるものは救急車ぐらいしかないですから」。あまたの命と尊厳が、王手をかけられて年をまたぐ。


現役労働者だけでなく、新卒者のいわゆる「内定取り消し」も深刻な問題です。

文科省、就職問題で緊急会合へ 相次ぐ内定取り消し受け(2008年12月16日 共同通信)

新卒者の就職内定取り消しが相次いでいることを受け、塩谷立文部科学相は16日の閣議後会見で、大学や短大、高等専門学校の関係団体などで構成する就職問題懇談会を19日に緊急開催し、学生へのきめ細かな就職支援を要請する考えを示した。
企業には内定を取り消さないよう求めるとともに、各大学などに対し、年末年始も対応窓口を開いて、学生と連絡が取れるような態勢を整えることや、学校が持つ求人情報をより丁寧に学生に提供することなどを話し合う。
年明けには、専修学校や高校の関係団体も同様の会合を開く予定。
塩谷文科相は15日、日本経団連など経済関係の4団体に、内定取り消しの防止などを要請する文書を送っている。


極めて憂慮すべき事態が社会の中に猛スピードで蔓延している中、とても残念な記事を目にすることになりました。

公務員が景気の動向に左右されない安定した職であるとはいえ、あまりにも世情に疎く緊張感のない役所体質が国立大学や独立行政法人の中に存在していることに強い無念と憤りを感じざるを得ませんでした。


暇な正職員に憤り(2008年12月18日 朝日新聞)

勤務先の国立大学法人で冬の賞与が支給されました。契約職員の私には無縁ですが、仕事には誇りとやりがいを感じており、大きな不満はありません。でも正規職員には、就業中に漫画を読んだり、パソコンゲームをしたりする人がいることに我慢ができません。上司に訴えても、「暇なんだね」の一言で、何も変わりませんでした。働きたくても職場を失ってしまう人の姿が報道されるたび、やりきれなくなります。(契約職員 40代女性)


会計検査院:独法8法人が「昼食手当」13億円 03年から、指摘受け廃止へ(2008年12月18日 毎日新聞)

会計検査院は17日、国民生活センターなど8つの独立行政法人が「食事手当」「食事補助」などの名称で職員に昼食代などを毎月支給、独法化された03年10月から今年9月で計12億9754万円に上ったと発表した。支給の理由は「職員の福利厚生のため」など。他の93独立行政法人では同様の手当がないか廃止され、国の官庁も支給していないという。検査院の指摘を受け、8法人は手当を廃止する。
8法人はほかに、科学技術振興機構、農畜産業振興機構、新エネルギー・産業技術総合開発機構、日本貿易振興機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、中小企業基盤整備機構、都市再生機構。検査院が指摘した期間内の支給額は、最多が日本貿易振興機構の3億2507万円、最少が科学技術振興機構の1121万円だった。
検査院によると、8法人は毎月、1人当たり2000~9150円を支給。8法人とも独法化前から支給していた。職員の給与水準は国家公務員より2~3割高いという。日本貿易振興機構は「社会情勢にかんがみて廃止した」と説明している。
全文→http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081218ddm012040020000c.html

本当になさけない話です・・・。