特に、国立大学は、平成16年の法人化以降、国に依存する体質からの脱却を目指して、様々な自立的改革を進めています。独立行政法人国立大学財務・経営センターが配信しているメールマガジン(第25号、208.6.13)を通じ主な取り組みを見てみたいと思います。
特別寄稿「大学経営のプロへの途」
今回は、英国の研究重点大学で研究支援の要職にあるマイク・グリフィス氏に寄稿していただきました。同氏は会計の専門家として大学事務に入り、その後、システム関連分野にも専門を拡げていきました。
アンケートによると国立大学法人でも国際、会計、法律などの専門分野の人材が不足しており、外部人材のリクルートによって対応している大学も多いようです。今後は、新規採用に当たって、専門性の高い人材を一定程度確保する傾向も出てくるのでしょう。一方で、現に大学に奉職している職員も自分の足場になる専門性を身につけることが必要ではないでしょうか。特に若い職員の方々は、自分の専門を持つことによって、その後のキャリアが広がりを持つことにつながると思います。大学もそうした努力を奨励し、応援することが必要ではないでしょうか。
自分の専門性を活かしながら、新しい分野にも積極的にチャレンジしてやりがいのある職業人生を送ってきた大学事務系職員のエッセイをぜひお読みください。
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/1/2201000109/1156186
(抜粋)
自分自身のキャリアを振り返って見て、教訓めいたことはなんでしょうか? このエッセイを書きながら、様々なことが思い浮かんできます。最初に申し上げたいのは、ある分野で専門性を築くと言うことです。そして、その専門性をベースにして新しいことを学び、違う分野でも専門家になるのです。新しい分野に移ったからと言って、過去に修得したものが失われるわけではありません。過去に獲得した専門性が新しい展開を見せるだけです。私の場合も、コンピュータシステムの仕事から離れましたが、今度は、電子文書マネジメントシステムの開発で過去にものにした専門が活かされています。また、以前学んだ会計の知識がTRACや総経済コストに活かされています。自分は、新しい分野や経験にチャレンジするのを厭わない性格だと思っています。このことが、常に変わり続ける業務に対していつも新鮮な気持ちで向き合うことを可能にしてくれていると思います。
もう一つ、とても大切なことは、チームワークです。協働が生み出す知恵と力はどんな個人にも勝ります。人々の能力は多様です。個々人がどんな能力を持っているか認識し、チームを多様な能力の人材で構成することが大切です。しかし、チームがオープンにかつ十分なコミュニケーションをとっていないと、目標も共有できませんし、チームとしての力も発揮できません。
大学でのキャリアを成功に導くためには、教員との間に良い関係を築かなければなりません。このことは、とても難しいことではあります。教員の中には、事務系職員から指示を受けるのを嫌う人もいますし、はなから事務系職員が役に立つアイデアを持っているはずがないと思っている者もいるのです。とにかく、会って話すことが大事です。とかくメールに頼りがちになる昨今ですが、教員と良い関係を築くためには欠かせません。そして、事務系職員と教員は同等の立場で、大学に貢献するのに、ただ違う能力を持っているのだと言うことを肝に銘じておきましょう。
最後に、細部に注意するべき時と、大局を眺めるべき時を峻別することが大切だと思います。コンピュータシステムを例にとれば、その詳細設計に着目すべき時と、総合戦略の観点からシステムを評価すべき時があるのです。また、卑近な例ですが、よく大勢の人が出席する会議で少額の予算を執行すべきかどうか議論になることがあります。だけど、よく考えてみると、その人たちの会議時間分の給料だけで、十分その予算額に達していたりします。皆さんも同じ経験がおありでしょ。
財産管理・施設整備に関する情報
平成20年5月14日(水)、15日(木)の両日、英米大学及び国立大学における施設整備をテーマとして「平成20年度国立大学法人等の財産管理に関する研究協議会(第1回)」を開催しました。本研究協議会の資料を当センターホームページに掲載いたしましたのでご活用下さい。
(資料1)英国大学の施設マネジメントへの取り組み
(資料2)英国大学における施設整備の現状-シェフィールド大学の事例-
(資料3)アメリカ州立大学における管理と経営
(資料4)米国州立大学における施設整備予算獲得に向けた取り組み
(資料5)国立大学における施設整備の現状と課題
(資料6)千葉大学における新たな施設整備手法 施設・環境マネジメント
(資料7)国立大学の施設整備の現状
(資料8)名古屋大学の施設整備の現状と課題
(資料9)国立大学等の施設整備について
(資料10)国立大学の施設整備を進めるには
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/2/2201000109/1156186
国立大学訪問調査による「取組事例」
▼山形大学
- 組織評価システムの構築と学内予算の傾斜配分
- 効率的運営体制確立のために、「YUユニット制」を導入
▼群馬大学
- タイトル講義用スライド、プレゼン資料等の作成を担当する、写真技術とカラーコーディネート資格を有する者を常勤技術職員として採用
- 科研費応募を行わなかった研究者の研究費の取扱
- 学外専門家(金融機関)を常勤の財務調査役として採用し、財務経営状況の調査・分析、資産運用等の提案、事務職員の財務上の指導・育成
▼埼玉大学
- 教職員の一般健康診断の外注化
- 年末調整業務の外注化
▼新潟大学
- 学内融資制度「大型設備等特別整備制度」
- 評価に基づくインセンティブ経費の配分
- 事務の外注化実施計画
▼徳島大学
- 広報誌に企業等の広告を掲載することにより印刷経費を削減
- 産学連携部門の人材育成・強化を図るため、県商工労働部と人事交流を実施
▼香川大学
- 「科学研究費補助金申請アドバイザー制度」及び「科学研究費補助金計画調書閲覧制度」を導入し、科学研究費補助金の獲得額が増額
▼熊本大学
- 学内版アウトソーシングの部署として、非常勤職員及び再雇用職員で構成する「事務支援センター」を設置し、定型的・季節的業務を集中処理
▼全体版(国立大学法人取組事例 Vol.2)
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/11/2201000109/1156186
▼全体版(国立大学法人取組事例 Vol.1)
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/30/2201000109/1156186
国立大学附属病院訪問調査による「取組事例」
▼北海道大学病院
- 収入構造の改善
▼旭川医科大学病院
- アメニティー及び患者サービスの向上
- ファミリーハウス
- アジア・ブロードバンド計画の推進
▼山形大学医学部附属病院
- 診療活動の指針づくり
▼群馬大学医学部附属病院
- 国立大学病院管理会計システム(HOMAS)の活用
▼東京大学医学部附属病院
- 入札の簡素化
▼新潟大学医歯学総合病院
- 病床稼働率の向上等
▼浜松医科大学医学部附属病院
- 医師不足状況に対する対策
▼京都大学医学部附属病院
- 全人的・集学的ながん治療を行うための取り組み
▼島根大学医学部附属病院
- 第三者評価機関による「働きやすい病院」の機能評価の認証
- プライバシーマーク(JISQ 15001)の取得
▼広島大学病院
- 医員、医療技術職員、医事業務従事者の処遇改善
▼愛媛大学医学部附属病院
- モチベーション向上のための改革
▼高知大学医学部附属病院
- 医療提供体制の整備状況(医療従事者の確保状況を含む)
▼九州大学病院
- 患者さん及びご家族のQOL(Quality Of Life)向上推進
▼全体版(国立大学附属病院取組事例 Vol.1)
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/25/2201000109/1156186
国立大学法人財務・経営に関する取組事例
▼平成18事業年度(財務経営支援研究会抽出事例)
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/28/2201000109/1156186
▼平成17事業年度(財務経営支援研究会抽出事例)
⇒http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W0399/29/2201000109/1156186
国立大学法人等財務管理等に関する協議会(実施報告)
平成20年5月21日、22日の両日、学術総合センターの一橋記念講堂において、国立大学法人等の財務部課長等245名の参加を得て、「国立大学法人等財務管理等に関する協議会」を開催しました。文部科学省からの説明者、大学からの事例発表者及び説明資料は次のとおりです。
(平成20年5月21日)
1 開会の挨拶(大臣官房審議官・高等教育局担当)
2 平成21年度概算要求に向けて(大臣官房会計課長)
3 国立大学法人等の施設整備について(大臣官房文教施設企画部計画課企画官)
4 科学研究費補助金の不正使用等の防止等について(研究振興局学術研究助成課企画室長)
5 平成21年度運営費交付金概算要求等について(高等教育局国立大学法人支援課長)
6 学術研究を取り巻く最近の動向について(研究振興局学術機関課長)
7 国立大学法人の評価について(高等教育局高等教育企画課国立大学法人評価委員会室長)
(平成20年5月22日)
1 国公私立大学を通じた大学教育改革の支援について(高等教育局大学振興課大学改革推進室長)
2 事例紹介1(群馬大学)
3 事例紹介2(熊本大学)