2009年9月15日火曜日

「忙しい」の正体とは

英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンという方が書かれた「パーキンソンの法則」という本があるそうですが、たまたまその内容を引用したコラムを読む機会がありました。

一般社会を視野に入れた論考だと思うのですが、指摘された内容がまさに大学の古くからの悪しき風土を鋭くえぐっているような感じがして、私自身のストレスと合致したからなのかもしれませんが、とても感じ入って何度も読み込んでしまいました。

どうしてもご紹介したいと考えましたので、あえて丸写しで転載します。身に覚えのある方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。


「組織はどうでもいい物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く」というのがパーキンソンの凡俗法則です。「難しいこと、重大なことに対してはこだわらず、流したり簡単に受け入れたりするのに、どうでもいいようなことに対しては関わろう、時間やパワーをかけようとする人が多い」という傾向を言っています。

根本的で重大な組織の問題、「何をやるか」「どうやってやるか」という戦略や方針、多くの人に影響を与えるような決断などは、権限のある人や管轄部署にお任せする、また、何だか難しそうに見えることは専門家や担当者にお任せする。一方で、どちらでも良いようなこと、分かりやすいことに対しては急に生き生きして口を出す人が増えるという景色を見たことのある人は多いと思います。大事はスッと決まるが、些事(さじ)には議論百出という組織です。

どっちでも良いなら一任すればいいのに、皆が口出しするものなので、その議論を調整・収束させるのに時間がかかってしまう。容易なことで1人でもできるのに、関わる人が必要以上に多いので、連絡や引継ぎやチェックといった業務が増大していく。これが「忙しい」の正体。かけている時間やパワーと、その仕事・課題の大切さが不釣り合いになってしまっている状態です。

大事は偉い人にお任せで、些事だけに関わってメンバーを振り回す上司というのは困りモノ。実務者にとってみれば、こういう類の忙しさは、自由や裁量がなくなって調整ばかりに時間をとられるわけですから、やる気も削がれます。大事に対して皆で関わり、些事は任せる(もちろん後でちゃんとチェック・フィードバックする)。不毛な忙しさから脱出するためには、重点を置き、時間をかけている仕事にそれなりの価値があるのかを考えてみるのも1つです。(「Business Media誠」掲載、筆者:川口雅裕)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0909/11/news005.html