2009年10月5日月曜日

服装の乱れ

先日、大阪府の橋下知事が、”教育の自由と教師の服装の自由のはきちがえ”について厳しい批判を行った旨の記事を読みました。

学校現場では、これまで、”生徒達の心の乱れが服装の乱れに現れる”などとして、生徒達の服装の乱れを教育問題の一つとして取り扱ってきましたが、確かに、橋下知事の言われるように、生徒達を教育・指導する立場にある教師自身にもわが身を振り返っていただくことは大変重要なことだと思います。

子を持つ親としての私の経験から申し上げれば、公立小中学校の教師の服装は、基本的には教師個人の判断にまかされているようですが、国立大学の附属小中学校では、学校によって多少の違いはあるものの、男女を問わず教師のほぼ全員がスーツ姿で教壇に立っています。体育や大掛かりな清掃といった場合は例外として、出勤から退勤まで終日スーツ姿で子どもの教育・指導に当たっています。さらに、胸には統一された校章(バッジ)を付けている学校も少なくありません。

このような違いがなぜ生まれているのか、理由はよくわかりませんが、はっきり申し上げて、教師に子どもを預ける親の立場として、あるいは、教師という職業の社会的重要性を意識してしまう一般社会人としては、教師の服装とその教師の人間性、教育・指導能力とが例え無関係であったとしても、子どもたちや社会に与える影響などを考えれば、民間企業の社員や公務員同様、やはりきちんとした格好をしてほしいと思います。

報道にあるような一年中ジャージ、サンダル姿の教師が、例え、生徒達の服装の乱れに対して厳しい姿勢で臨んだとしても、説得力に欠けるばかりか、教師全体に対する子どもたちの不信感、反感につながるだけでしょう。

服装の乱れは、何も小中学校現場に限った話ではありません。大学でも全く同様、いやそれ以上に問題視すべき事例はたくさんあります。国立大学では近年、エコ対策の一環としてクールビズが奨励され、概ね梅雨時期から9月一杯は、とてつもなくカジュアルな服装で身を包んだ教職員が激増します。許容範囲というものが大学として統一されていないために、学生よりもラフなスタイルの教職員がいたりと無秩序な状況に少々いらつくこともあります。

さらに、最近最も頭がいたいのは、役員という重要職にそういう非常識な方がいることです。大学に”教職員の制服”というものが無い以上、服装は基本的には個人の判断に拠るものですが、社会一般の常識に照らした場合に、あまりにもおそまつな服装の役員がいることに強い憤りを感じる時があります。

例えば、大学の経営方針や重要事項を決定する役員会、複数の学外者を構成員とする経営協議会、著名な有識者を招いての講演会やセミナーなど、極めてオフィシャルな場面で、こともあろうに上着もネクタイも付けず、派手な柄物シャツ、ポロシャツといった学生を相手に授業や実習を行う時のような服装、さらには、スリッパがけでスタスタと音を立てながら会場に入ってくる始末。常識ある社会人とは思えない品格のなさに、同じ大学の構成員として情けないばかりか、このような役員がいることにより、まちがいなく学外者の方々の大学への信頼は低下するでしょう。

国立大学法人法(第13条)には、役員(理事)に求められる資質としてこう書かれてあります。
理事は、前条第7項に規定する者(人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者)のうちから、学長が任命する。

服装ごときで難しいことを言うなとのご指摘も聞こえてきそうですが、法律上の要件も満たしていない役員が、品格・資質に欠ける行為を繰り返し、大学の経営トップの座に居座ることのできる国立大学の旧態依然とした風土、緊張感や危機感の欠如は、アカデミズムを追求する最高学府とは言えないばかりか、大学を運営する資金や教職員の給与をご負担いただいている国民の皆さんや学生・保護者の皆さんに対して全く申し開きができません。

次元は全く異なるのかもしれませんが、民主党政権下で閣僚として汗を流しておられる方々が、最近よく報道番組やトーク番組に出演されていますが、国民の前で自分の言葉で説明する姿をよく見てみると、なぜか皆さん、申し合わせたように”濃紺のスーツ”を着ておられます。自民党の方々とはこういった点でも一味違うような気がします。

民主党のまねをする必要はありませんが、少なくとも役員たるもの、誰の目からみても常に大学経営の責任者である自覚と品格がにじみ出てくるような服装に気を配っていただきたいと思いますし、そうではない役員がいつまでも存在する場合には、それを放置した任命権者たる学長や、無関心を装う同僚役員に対しても責任が問われることになるのではないかと思います。 少し形式的過ぎるでしょうか・・・?


(関連記事)

「ジーンズ、ジャージー禁止を」=教師の服装で橋下大阪知事(2009年9月24日 時事通信)

大阪府の橋下徹知事は24日、府内の市町村議会議員との懇談会に出席し、教師の服装や食育などについて意見交換した。市議からの「ジャージー、Tシャツ、ジーンズの先生がいる。地域からも先生の服装がなっていないというクレームがある」との訴えに橋下知事は、「何とかならないのか。教育の自由をはき違えている」と批判し、「公務員である以上、服装まで教育の自由なんてあり得ない。(ジーンズやジャージーは)禁じないといけない」と話した。・・・
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009092400908&m=rss