2009年10月24日土曜日

行刷会議が始動、国立大もねらわれた

内閣府に設置された「行政刷新会議」がいよいよ本格的な仕事に着手しました。当面の大きな課題は、各省庁から寄せられた来年度の概算要求の絞り込みです。

行政刷新会議は、「国民的な観点から、国の予算、制度、その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」(平成21年9月18日閣議決定)ことを目的に、民主党政権発足に合わせ設置された機関です。

今後、我が国の行政全般にわたる無駄遣いを洗い出し、それを国民の前にさらけだし、税金を「生き金」として使うという本来あるべき姿を徹底して追求していっていただきたいと思います。

なお、この行政刷新会議において示された「事業見直しの視点」の中には、「国立大学法人向け支出についても聖域なく見直しを行う」と書かれてあり、会議の今後の動向は十分注視していかなければなりません。

国立大学は、純粋な行政機関ではなく、教育や研究といった特性に十分配慮した見直しが必要になります。しかし、国民の税金が運営資源として投入されている以上、少なくとも大学の運営の仕方や人件費・一般管理費などの行政的経費については、行政刷新会議を通じた国民のチェックが求められるのは当然のことです。

また、いわゆる「天下り」「渡り」に該当するかどうかは別として、文部科学省所管の独立行政法人や公益法人同様に、事実上文部科学省が人事権を発動し、ほとんどの大学に配置され高い報酬を得ている役員の在り方についても、この際十分に検証する必要があるのではないかと思います。


参考までに、去る10月22日(木曜日)に開催された、行政刷新会議(第1回)で配付された資料のうち、国立大学法人に関係する部分についてご紹介します。


事業見直しの視点(案)

4 独立行政法人・国立大学法人、公益法人向け支出の見直し

独立行政法人・国立大学法人、公益法人向け支出については、上記1(事業等の全部又は一部の廃止を含めた見直しを行うもの)、2(事業の単価設定や実施方法を見直すなど事業等の効率化を図るもの)、3(特別会計)の視点に加え、国家公務員再就職者数に関する情報開示を踏まえつつ、以下の視点に基づき聖域なく見直しを行う。

▼事務・事業と組織形態の見直し等

  • 独立行政法人等で国民にとって真に不可欠とは言えないもの 
  • 独立行政法人等で民間企業でも実施できる事務・事業にも関わらず業務を独占しているもの 
  • 不要不急な基金等を有しているもの 
  • 地方公共団体、民間企業、教育機関、他の独法等が類似の事業を行っているもの 

▼財政支出の見直し

  • 事務・事業の重点化が徹底されていないもの 
  • 自主財源の確保や既存財源の活用が十分でないもの 
  • 職員数のスリム化や運営費などの支出の節約等、運営の効率化が進んでいないもの 
  • 国の既存の組織で行える財政支出を独立行政法人、公益法人が行っているもの 
  • 小規模な独立行政法人等で規模の経済が発揮されていないもの 
  • 独立行政法人、公益法人からの財政支出のうち随意契約や関連公益法人との契約が多いもの 
  • 公益法人との随意契約とする合理的な理由がないもの 
  • 独立行政法人が実施している個別の事業についての評価が行われていないか公表されていないもの 

(関連報道)特別会計、公益法人などにメス・・・刷新会議方針(2009年10月23日 読売新聞)

政府の行政刷新会議(議長・鳩山首相)は22日に開いた初会合で、2010年度予算の概算要求を「事業仕分け」の手法で見直す基準となる「事業見直しの視点」を決めた。95兆円超に膨れ上がった予算のうち、独立行政法人や公益法人向けの支出のほか、「無駄遣いの温床」との批判が強い特別会計や、随意契約のあり方を重点的に見直す。また、公益性の乏しい事業の廃止など、4原則を定めた。国家公務員の天下り先になっているとの批判が多い独立行政法人と国立大学法人、公益法人に対する支出は「聖域なく見直しを行う」と明記した。具体的には、民間企業でもできる事業を独立行政法人などが独占している場合や、当面使う予定のない資産を保有している場合は、その法人に対する支出を再検討する。また、法人の経営状態も審査し、自主財源の確保や運営の効率化が遅れている場合にも、支出の削減を検討する。09年度当初予算で、特別会計の総額は169兆円。また、独立行政法人と公益法人向け予算は、一般会計と特別会計あわせて3兆9775億円。国立大学法人には運営費交付金1兆1670億円などが支出されている。・・・