2009年11月11日水曜日

08年度の国立大業務実績評価結果

文部科学省の国立大学法人評価委員会(野依良治委員長)は11月6日(金曜日)開催の総会で、国立大学等の全90法人に対する2008年度の業務実績評価をまとめ、公表しました。

この法人評価は、大きく、1)業務運営の改善・効率化、2)財務内容の改善、3)自己点検・評価及び情報提供、4)その他業務運営の4項目を「特筆すべき進捗状況にある」「順調に進んでいる」「おおむね順調に進んでいる」「やや遅れている」「重大な改善事項がある」の5段階で評価したもので、報道によれば、4項目とも「重大な改善事項がある」との評価の法人はなく、どの項目も92~99%の法人が「おおむね順調」以上だったようですが、福島大学など12法人が、いずれかの項目で「やや遅れている」とされています。

このうち、12法人(秋田大学、弘前大学、福島大学、政策研究大学院大学、上越教育大学、北陸先端科学技術大学院大学、山梨大学、信州大学、愛知教育大学、兵庫教育大学、奈良先端科学技術大学院大学、鳴門教育大学)が、大学院修士、博士、専門職学位のいずれかで定員充足率が90%を満たしておらず、定員充足に向けた取り組みが必要として改善を促されいています。中でも弘前大学、山梨大学の博士課程と信州大学の法科大学院は、2007年度も充足率が9割を切っていたのに定員を見直しておらず、評価委員会は速やかな定員削減を求めています。

また、業務運営関係では、7法人で学外の有識者も含めた経営協議会での適切な審議がなされておらず、このうち東京学芸大学は、決算に関する経営協議会が定足数を満たさず不成立、また、教職員の給与改定など経営協議会で審議すべき事項なのに報告で済ませた例が室蘭工業大学、福島大学、筑波技術大学、埼玉大学、信州大学、京都工芸繊維大学で見つかっています。


国立大学の第一期中期目標期間も今年度が最終年度です。その前年度の評価において「重大な改善事項」の指摘はなかったものの、国立大学法人法に定められた経営協議会において審議すべき事項を審議していないなどといった”法令遵守違反”がまかり通っていること自体由々しき問題です。大学のガバナンスが機能していないことを如実に表していると言えるでしょう。第二期に向けた検証と改善が求められます。

(参 考)

国立大学法人等の平成20年度に係る業務の実績に関する評価結果について(文部科学省)

国立大学法人評価委員会は、国立大学法人法に基づき、文部科学省に設置されており、国立大学法人等の各事業年度及び中期目標期間に係る業務実績に関する評価を行うこととしています。この度、11月6日に国立大学法人評価委員会総会が開催され、平成20年度の業務実績に関する評価結果がとりまとめられましたので、お知らせします。・・・
http://www.nicer.go.jp/lom/data/contents/bgj/2009110904037.pdf

(関連記事)

国立大大学院、12校が充足率9割切る 文科省評価委08年度調べ(2009年11月6日 共同通信)http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009110601000651.html

国立大学:業務「不十分」計19法人 定員不足など--08年度評価(2009年11月7日 毎日新聞)http://mainichi.jp/life/edu/news/20091107ddm012010135000c.html