2010年12月12日日曜日

教員就職率と教員の資質能力向上

去る12月8日(水曜日)に、国立大学教員養成課程の就職状況が文部科学省から公表されました。

公表資料:国立の教員養成大学・学部(教員養成課程)の平成22年3月卒業者の就職状況について(文部科学省)

今年は前年比3.0ポイント増の59.6%。やや回復傾向のようです。
文部科学省によれば、底を打った平成11年(32%)以降は、教員採用者数の増加や大学の入学定員減などにより、近年は50%台を維持しているとのこと。


教員就職率の推移

平成11年 32.0%(過去最低)
平成12年 33.7%
平成13年 37.8%
平成14年 45.0%
平成15年 52.2%
平成16年 55.5%
平成17年 56.4%
平成18年 56.2%
平成19年 56.9%
平成20年 56.7%
平成21年 56.6%
平成22年 59.6%


就職率の高かった大学
  1. 鳴門教育大学 78.3%
  2. 和歌山大学   75.5%
  3. 奈良教育大学 74.3%
  4. 愛知教育大学 74.3%
  5. 兵庫教育大学 71.9%

就職率の低かった大学
  1. 鹿児島大学   39.9%
  2. 横浜国立大学 43.0%
  3. 琉球大学       43.3%
  4. 秋田大学       44.0%
  5. 熊本大学       46.5%

前年比増加率の高かった大学
  1. 大分大学 21.5%
  2. 長崎大学 14.1%
  3. 奈良教育大学 13.9%
  4. 山梨大学 13.1%
  5. 鳴門教育大学 12.8%

前年比減少率の高かった大学
  1. 兵庫教育大学 ▲13.0%
  2. 埼玉大学       ▲  9.3%
  3. 横浜国立大学 ▲ 6.4%
  4. 琉球大学       ▲ 5.3%
  5. 和歌山大学    ▲ 4.5%

関連報道

教員就職率59・6%に上昇 国立教員養成大の卒業者(2010年12月8日 共同通信)

全国44の国立の教員養成大学・学部を今春卒業した人の教員就職率は9月末時点で前年比3・0ポイント増の59・6%だったことが8日、文部科学省の調査で分かった。・・・
http://www.47news.jp/CN/201012/CN2010120801000631.html



今後、現職教員の大量退職(今後10年間に教員全体の34%、20万人の教員が退職)により、就職率そのものは全体として高まっていくことが予想されています。
しかし、一方で、経験の浅い教員が大量に誕生することが予想されるため、現在、中央教育審議会・教員の資質能力向上特別部会では、教員の質を確保・向上させるための施策についての議論が行われており、今年中には一定の方向性が示されることになっているようです。国の将来を左右する重要な課題であり、国民的議論が求められるところです。


審議経過報告(会議資料)の中から、「教員養成の在り方」に関する記述(議論の方向性)を抜粋してご紹介します。
  • 教員養成は学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程等での学修を要すること(修士レベル化)について今後検討。
  • この場合、例えば、当面は、学士課程修了者に暫定的な資格を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を終了すれば、修士レベルの資格取得を可能とすることも検討。
  • また、新たな仕組みと現行の初任者研修制度との関係や、採用段階との関係も整理する必要。
  • 様々な段階で社会人等がその専門性を生かしつつ、教員を志せるようにするため、学士の教職課程を終了していない者を対象とした修士レベルの課程等を設け、修了者には、修士レベルの資格取得を可能とすることについて検討。
  • 教員養成を修士レベル化することに伴い、養成の規模や大学の組織体制の在り方、奨学金の活用等による学生の経済的負担の軽減についても併せて検討。
  • 学部・大学院等における教員養成に係る課程認定審査や設置審査をより厳格化するとともに、事後評価システムを強化し、教員養成の質の保証を図る。


中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会における配付資料等

教員の資質能力向上特別部会(第7回)配付資料資料「審議経過報告(案)」