2009年1月24日土曜日

世界がもし100人の村だったら

最近、娘の誕生日に妻が贈った本を目にする機会がありました。本のタイトルは「世界がもし100人の村だったら 子ども編」。ほんの数行の文章からなる絵本のようなページを読み進んでいくうちに、久々に新鮮な驚きと強い衝撃を覚えました。

グローバル化により情報伝達のスピードは優れて速まったものの、人類が直面する様々な課題を世界中の人々が自分のこととして認識し、問題解決に向けた行動に向かわせることの困難さと、自分自身がいかに非力であるかを思い知らされたのでした。

この本「子ども編」は、2001年12月の発売と同時に日本中を感動に包んだ、「世界がもし100人の村だったら」(マガジンハウス発行)シリーズの一つで、ユニセフの「世界子供白書2006~存在しない子どもたち」(日本ユニセフ協会発行)に掲載されたデータをもとに、世界の子どもたちが直面している困難な状況が、著者の池田香代子さんによって紹介されています。巻末には、写真家田沼武能さんによる「ぼくの子ども100人の村」と、ユニセフ日本人職員青木佐代子さんによるレポート「アマゾンの名前のない子どもたち」も収録されています。是非多くの方に読んでいただきたいと思います。一部をご紹介します。

世界の子どもがもし100人だったら
生まれたことが役所などに届けられない子どもは
55人か、あるいはそれ以上です。

それぞれの国の子どもを100人とすると、
アフガニスタンやタンザニアでは、100人のうち
6人しか届け出を出されません
インドでは、35人
日本では、100人の子どもすべてが
届け出を出されます。



世界の子どもがもし100人だったら
31人は、栄養がじゅうぶんではなく
22人は、予防接種をうけられません。
8人は、5歳まで生きられません。

障害をもっている子は
7人です。



世界がもし100人の村だったら
1人は難民です。

世界の難民を100人とすると
そのうち48人は子どもです。
この子たちのなかには、
家族と離ればなれになったり
さらわれたり
暴力をうけたりする子もいます。



世界の子どもが100人だったら
6人は、お父さんかお母さん
あるいはその両方が、亡くなりました。
サハラ以南のアフリカの子どもを
100人とすると
そういう子は12人です.
親が亡くなるいちばんの原因は、
HIV/エイズです。

世界の子どもが100人だったら
1人は、お父さんかお母さん
あるいはその両方が、HIV/エイズです。



世界の子どもがもし100人だったら
9人は、戦火のなかで暮らしています。
軍隊や武装集団にくわわっている子どもは
30万人です。
男の子や女の子は、雑用をさせられたり
大人の兵士の先に立って
地雷原を歩かされたりします。
人を殺すことを強いられたり
レイプされたりする子どももいます。

戦争で命をうばわれる市民100人のうち
80人は女性と子どもです。



世界の若い女性を100人とすると
36人は、子どものうちに結婚します。

世界のお母さん100人のうち
40人は、避妊の方法を知らず、
1人が、妊娠やお産のために亡くなります。
貧しい国だけど、100人のお母さんのうち
6人が亡くなります。そのうち
3人は、まだ子どもです。

10代の女の子が亡くなる原因のうち
もっとも多いのは、お産です。
若すぎるお産のために体をこわし
社会や家族からうとまれる女性が、たくさんいます。



子どもが、子どもの時代をうばわれることは、
人類が生きのびるのに欠かせない
しあわせの記憶が、うばわれることです。

人類が、子どもを失うことは、
人類がそなえているはずの
内なる子どもの輝きを失うことです。

こんなふうに考えてみてください。
世界が1カ月、戦争にお金を使わなければ、
そのお金で、2億2千万人の子どもを
危険な鉱山や、不潔なゴミ捨て場から
助け出せる、と。

あるいは、わたしたちが
フェアトレードのチョコレートを食べることにすれば、
カカオ農場から、何十万人もの子どもを救える、と。



(著者)池田香代子さんの本
(写真家)田沼武能さんの写真


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ユニセフ「世界子供白書2009」世界同時発表(unicef)


1月15日(木)、ユニセフは、「世界子供白書2009」(英語)を世界同時に発表しました。妊娠・出産は、親や家族にとって喜びもひとしおの時。しかし、開発途上国の多くでは、女性と新生児の健康と生存にとっては非常に死亡のリスクが高い時でもあります。世界では、毎日、約1,500人の女性が、妊娠・出産に関連する合併症で命を落としています。1990年以来、世界の年間妊産婦死亡推定数は50万を超えたままです。過去19年の累計で、約1,000万人の妊産婦の命が失われていることになります。

また、女性一人あたりの妊娠・出産数を加味すると、後発開発途上国の女性が周産期の合併症で命を落とす確率は、先進工業国の女性に比べ、300倍以上も高くなっています(2005年)。乳児死亡率や幼児死亡率など数ある死亡に関する指標の中で、これほど格差の大きいものはありません。


「妊産婦死亡率、改善遠く ユニセフ『子供白書』で危機感」(2009年1月18日 朝日新聞)

国連児童基金(ユニセフ)は15日、09年版の「世界子供白書」を発表した。1990年以来、毎年50万人以上の妊産婦が出産時に死亡している状況に危機感を示し、2015年までに死亡率を90年比で4分の1に削減すると定めた国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を呼びかけている。

報告書によると、妊産婦の死亡率はニジェール、アフガニスタン、シエラレオネの順に高く、特にアフリカのサハラ砂漠以南の国々に集中している。15~19歳の若い母親の死者数も年7万人に上っている。MDGsを達成するためには、05年からの10年間に、90年比で7割の削減が必要だが、現状では達成は難しいという。

報告書はまた、出産後まもなく母親が死亡したケースでは、生まれた乳児の死亡率も高くなっていると指摘。世界全体の乳幼児(5歳未満)の死者数は減少傾向にあるものの、90年比で3分の1に削減するとのMDGsを達成するためには、妊産婦の死亡率の低下が不可欠との見方を示した。