卒業前に内定取消しを受けた場合、学生への打撃は極めて大きく、社会全体にも大きな不安を与えるものであり、大学においては、内定取消しを受けた学生に対し、適切かつ速やかな支援が必要となっています。また、今後、さらなる経済状況の悪化が懸念されることから、各大学の就職支援の取組を強化し、きめ細かな就職支援を行っていくことが必要となっています。
今日は、文部科学省が作成した資料(同省のピーアールを兼ねた資料のようですが・・・)から、同省(及び大学)がこれまで取り組んできた「新卒者の内定取消し問題への対応を含めた学生の就職支援への対応」状況についてご紹介したいと思います。
1 大学等における対応に関する周知徹底
○文部科学省より、新規学校卒業者の内定取消し問題について、各大学等において公共職業安定所と連携しつつ、適切な対応を行うよう周知徹底。
⇒「新規学校卒業者の採用内定の取消しに対する適切な対応について」(平成20年11月12日:高等教育局学生支援課)
⇒「新規学校卒業者の採用内定取消し等への対応について」(平成20年11月28目:生涯学習政策局・初等中等教育局・高等教育局担当課長名)
2 実態把握に向けた緊急調査
○内定取消しに関する実態は、ハローワークが一元的に把握するとともに、企業に対する指導を徹底することになっているが、文部科学省としても大学等における対応状況について、次のような緊急調査を実施し、実情把握。
⇒休講期間中(年末年始や休日を含む)の学生相談体制など、内定取消し問題に関する各大学・専修学校・高等学校の対応状況を緊急調査。
⇒文部科学大臣等による都内の大学等の就職支援部門の訪問、実情把握。
3 全国ブロック別情報交換会議の開催
○内定取消しの現状や取組に関する各大学・専修学校との情報交換会議を全国ブロック別に実施。文部科学省職員も参加。
4 関係団体等から構成される会議の開催
○文部科学大臣より、日本経団連など主要経済団体に対し要請文を発出。
⇒「新規学校卒業者の内定取消し問題等への対応について」(平成20年12月15日:文部科学大臣名)
○関係団体から構成される会議を開催し、各団体における対応や個別の大学等の具体的な取組状況について情報交換。
(大学)
大学関係団体で構成される「就職問題懇談会」を12月19日(金)に緊急開催。就職問題懇談会として、各大学が、1)年末年始を含めて学生の相談体制を確保することや、2)学生の希望を踏まえつつ、内定取消し企業への対応や学生のメンタルヘルスなどにきめ細かく対応することを申し合わせるとともに、内定取消し問題で主要経済団体に要請することを決定
5 厚生労働省等関係機関との連携
○内定取り消しにあった学生が参照できるマニュアル等を(独)日本学生支援機構などの関係機関のホームページに掲載するなど情報提供。
○厚生労働省が作成する学生職業センター等の特別相談窓ロ等を周知する資料を各大学へ配布。
6 (独)日本学生支援機構における情報提供
○大学の就職担当職員の研修会や「学生支援情報データベース」において、就職支援に関する情報(各大学の窓ロ、学生及び教職員支援プログラム、調査結果、政府関係資料等)について情報提供。
7 新卒者の内定取消し問題への対応を含めた大学等の就職支援への取組に対する支援措置(平成21年度予算案)
○「大学教育・学生支援推進事業」
うち就職支援の強化など総合的な学生支援の取組(新規採択分) 24億円程度措置
新規学卒者の内定取消しなど学生の雇用が不安定となっていることに対応するため、本事業のうち、学生支援推進事業において、私立大学を中心に各大学の学生への就職支援の強化など総合的な学生支援の取組を推進。
このほか、「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」も活用して就職支援の取組などを強化。
○社会人の学び直しへの支援
社会人の「学び直し」のニーズに対応するため、社会人の再就職やキャリアアップ等に資する優れた実践的教育プログラムの開発・普及を推進。 18億円程度(「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」により措置)
○専修学校を活用した就業能力向上支援
若者の早期離職者・フリーターやニート等の再就職を希望するが知識・技術の不足等により再就職が困難となっている者に対し、必要な就業能力を向上するための取組を推進。 5.4億円程度措置
○高等学校就職支援教員(ジョブ・サポート・ティーチャー)
高等学校において、就職を希望する生徒に対する就職相談、企業求人の開拓、求人や職場見学の情報等の収集及び提供を行う教員を配置。地方交付税により措置(平成20年度:30道府県、116人)
○高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究
高等学校における外部の専門的人材の活用方法等の調査研究。 1億円程度措置
(参考)
内定を取り消された学生への対応を含む就職支援に関連して各大学等が取り組む事項(ガイドライン)(抜粋)(平成20年12月19日 就職問題懇談会)
1 内定取消し問題に関する取組事項について
- 土日や長期休業中(年末年始を含む)など休講期間中の相談体制の確保(電話やメールによる相談への対応など)
- 内定が取り消された場合の対応について、掲示板や文書による学生・教職員への周知
- 内定を取り消された学生個々に対して、本人の希望を踏まえた相談に加えて、内定を取り消した企業との交渉のフォローアップや学生の心の悩みへの対応なども含めきめ細かく対応
- 悪質な内定取消し企業への対応など法的権限が必要な対応についてのハローワークとの連携
- (独)日本学生支援機構における就職支援に関する情報提供(ホームページ)の活用
2 一般的な就職支援に関する取組事項について
- 就職が決まらなかった卒業生に対する求人情報の提供
- 卒業生を雇用して行う体験発表会や就職相談会の実施
- 父兄・保護者を含めた就職相談会の実施
- ビジネスマナー講座、プレゼンテーション能力養成講座、種々の資格取得講座の開設
- 就職担当窓ロ職員と各学部の教員との連携
- 教職員による企業訪問や企業との情報交換会の実施などによる求人確保
- ホームページや大学独自の就職情報誌、パンフレットの配布や学内説明会の実施による学生への情報提供
- 土日や休業期間中でも学生に求人情報を届けられるよう、在学生・卒業生の情報をデータベース化するとともに、メーリングシステムを導入
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被害学生800人超…内定取り消し悪質企業公表 「ウチは大丈夫」社長が断言も数週間後に経営破綻(2009年1月8日 ZAKZAK)
内定取り消し問題が深刻化している。厚生労働省は“被害”を受けた学生の数を1月末をめどに公表予定だが、800人を超すのは確実な情勢。なかには、社長が学生に「ウチの経営は問題ない」と断言しながら数週間後に経営破綻し、内定取り消し-というひどいケースもあった。同省は4月ごろ、一定の基準に抵触した内定取り消し企業の名前を公表する。《続く》
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