文部科学省は、昨年12月25日(木曜日)に全国の国立大学長を召集し、第1期中期目標期間の終了を約1年半後に控え、国立大学法人法の規定に従い、国立大学法人の組織の在り方等についての議論を開始することを示しました。
これは、文部科学大臣は、「国立大学法人法第35条において準用する独立行政法人通則法第35条」において、国立大学法人の中期目標期間終了時に、業務を継続させる必要性、組織の在り方その他の組織及び業務の全般にわたる検討を行い、所要の措置を講じるものとされていること、また、その検討を行うに当たっては、国立大学法人評価委員会の意見を聞かなければならないこととされていることを受け、国立大学法人評価委員会にワーキンググループを設け、専門的な観点から検討を行うこととしているものです。
会議当日に文部科学省が配付した資料によれば、ワーキンググループの構成員は、委員として、荒川正明(新潟県健康づくり・スポーツ医科学センター長、新潟県福祉保健部・病院局参与)、飯吉厚夫(中部大学総長)、拓植綾夫(芝浦工業大学長)、寺島実郎(株式会社三井物産戦略研究所所長、財団法人日本総合研究所理事長)、宮内忍(宮内公認会計士事務所所長)の5氏が、専門委員として、牟田泰三氏(福山大学長)が選任されているようです。
また、検討事項(案)として示されている事項は、1)組織の見直しに関する事項、2)業務全般の見直しに関する事項(大学の教育研究等の質の向上に関する事項、業務運営の改善及び効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する事項、その他業務運営に関する重要な事項等)となっています。(これらは、現行の中期目標・中期計画の事項と同じなので、具体的な検討項目はこれから決まってくるのではないかと思われます。)
国立大学法人の中期目標期間における評価結果は、まもなく原案が決定され、各大学への提示・意義申し立てを経て確定することになっています。各年度評価では行われなかった「教育・研究」の評価結果がはじめて公にされること、また、評価結果は、平成22年度以降の運営費交付金の算定に反映されることになっており、上記国立大学の組織の在り方等の議論と相まって、各大学は、期待と不安とともに、今後の不透明な先行きに悶々とした日々を送ることになりそうです。
(参考)中期目標期間終了時に文部科学大臣が行う「所要の措置」に関する国会答弁
御指摘の国立大学法人法案で準用しております独立行政法人通則法第35条に言います「所要の措置」といたしましては、一般的には当該法人の廃止あるいは組織の見直し等が含まれるものとされているところでございます。
しかしながら、国立大学法人につきましては、法案第3条に規定された教育研究の特性への配慮義務などを踏まえまして、中期目標期間の終了時における検討結果につきましては、まず各国立大学法人においてこれをしっかりと受け止めて、次期中期目標期間における大学運営に責任を持って反映させることが大前提となっているところであります。
また、効率的な運営といいますものは国立大学法人にとっても重要であるわけですが、例えば学内の教育研究組織の編制などについて、業績評価と関係なく機械的にスリム化を図るというようなことはしない考えでございます。(平成15.7.8 参議院文教科学委員会 遠山敦子文部科学大臣発言)
出典:国立大学法人法コンメンタール(国立大学法人法制研究会)