内容は、これまで、地方公共団体から国等(国立大学法人含む)への寄付について原則禁止を規定していた地方公共団体の財政の健全化に関する法律附則第5条が、地域主権一括法の施行に伴い削除されたため、地方公共団体の自主的な判断に委ねられることとなったというものです。
いわゆる「規制緩和」ですが、このことにより、これまで以上に国立大学法人と地方公共団体との連携が深まることが期待されますし、何より財政事情厳しい地方の国立大学法人にとっては、地方公共団体からの寄付を受け安くなることによる財政的なメリットは計り知れないのではないでしょうか。
法律改正に伴い、国と地方の財政規律を確保すべく、地方公共団体から国等に対する寄附金等の取扱いについて、閣議決定がなされています。文部科学省が示した関連資料をご紹介します。
「地方公共団体からの国等に対する寄附金等の取扱いについて」(平成23年11月29日閣議決定)について
1 経緯及び内容
- 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第105号)において、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「健全化法」という。)附則第5条の規定が廃止されたところ。
- 同条は、地方公共団体から国、独立行政法人、国立大学法人等への寄附金等の支出を原則禁止している規定であるが、この改正により地方公共団体から国立大学法人等への寄附については、地方公共団体の判断に委ねられることとなる。
- しかしながら、地方公共団体から同条を廃止するに当たっては国等と地方公共団体との財政秩序等を確保するための措置が必要との意見が表明されていることを踏まえ、国と地方公共団体との財政規律を維持する観点から、地方公共団体の寄附に関する自発的な意思決定に影響を及ぼさないよう一定のルールを設ける「地方公共団体からの国等に対する寄附金等の取扱いについて」が閣議決定された(平成23年11月29日。以下「平成23年閣議決定」という。)。
- 平成23年閣議決定においては、
- 地方公共団体との関係において、「官公庁に対する寄附金等の抑制について(昭和23年1月30日閣議決定。以下「昭和23年閣議決定」という。)」を引き続き遵守するとともに、
- 国と地方公共団体との財政規律を維持する観点等から地方公共団体の寄附金等に関する自発的な意思決定に影響を及ぼすような行為の禁止、
- 地方公共団体から寄附があった場合の各省庁(寄附先が国立大学法人の場合は、同法人)による金額、経緯及び内容の公表、
- 担当大臣から、1、2、3に準ずるよう、国立大学法人等に要請すること、が盛り込まれている。
2 地方公共団体からの国立大学法人等に対する寄附金の取扱について
- 従来、地方公共団体が国立大学法人等へ寄附を行う場合には、総務大臣との協議・同意を経ることが必要であったが、不要となる。ただし、国立大学法人が、地方公共団体から寄附金等を受領した際には、国立大学法人等において、寄附金等の金額、経緯及び内容の公表に努めることとなる。
- 地方公共団体から寄附金等の支出があった場合の公表については、各法人において、総務省事務連絡中の別紙6の様式例を参考に、例えば、寄附を受領したときから3月以内であるとか、寄附受領した年度の翌年度にまとめて速やかに公表することが適当である。
- なお、「地方公共団体の自発的な寄附金等の支出」の意思が確認できるよう、協定書等において地方公共団体が要請した旨記載する等の対応をとることが適当である。
(関連過去記事)大学経営改革の促進剤(2008年1月15日)