大学の業務にも当てはまる経営スピードを上げるための5つの方法
1 メール文章の簡略化
日本の場合、ビジネスメールの書き方の基本として、「お世話になります。XXX社の〇〇です」から始め「よろしくお願いします」で〆ることがマナーとさている。そしてその内容もかなり丁寧に書かなければならない。
おそらくこのようなメールの書き方一つをとっても、日本全体でのGDPの1%ぐらいを浪費してしまっているのではないか、と感じてしまう。そもそも、そんなメール、モバイルのプレビューで見たら、全部「お世話になっております」しか表示されなく、可視性がかなり低くなってしまう。
アメリカでは、メールを書くときには短い方が良いとされる。というのも、読む人の時間を極力奪わないために、ごく単純にわかりやすく書く方が逆に良い印象を与えやすい。
2 スタッフを信頼し、性善説で物事を進める
そもそも企業が「管理」したがるのは、スタッフを十分信頼していないから。社内のコミュニケーションにおけるスピードを上げたければ、スタッフ同士が強い信頼関係を持てるカルチャーを醸成するのが最も効果的である。報告書一つとっても、信頼度が低くなるとその分量がどうしても増えがちで、自ずと作成と読解に費やす時間も増えてしまう。
そのためには、スタッフ同士が思いやれる環境と、正しい人選が重要になってくる。例えば、どれほど優秀だったとしても、他のスタッフに嫌な思いをさせるような人間を社内にいないようにしなければならない。
信頼関係を高めていけば、「管理職」の必要性すら無くなってくる。
3 場所と時間で縛らない
スタッフそれぞれに自主性を与え、結果を重視するべきであるが、ワークスタイルや場所、勤務時間などの「形」にフォーカスしすぎると無駄なストレスと時間が生まれてしまう。日本企業にありがちな日報やタイムカード、出張報告書などは、自主性を育むという点においては、弊害にしかならない。
例えば、長い時間だらだら働いて、質の低い結果を出すよりも、短時間でもすごいモノを作り出した方が良いという考え方。どのように働くかよりも、どんなアウトプットを出せるかに比重が置かれる。
そのためには、仕事中に遊ぶのも全然ありだし、むしろ楽しんでいる時間が増えれば増えるほど、プロダクティビティ (生産性) がアップすることもあるだろう。
また、リラックスしている時の方が面白いアイディアが思いつく (シャワー浴びている時にひらめく系) ので、自宅やカフェなど、リラックスできるスペースを設置するのもありだ。
ちなみに、WeWorkなどの素敵な環境で働けばクリエイティブなアイディアが出る、というのは全くの妄想で、”クリエイティブに仕事している感”を出すのは良いが、手段が目的にならないように要注意。
4 上司は情報をもっと公開する
日本の大企業複数社と仕事をしてみて一番驚いたのが、役職が上の人が自身のチームメンバーにあまり情報をオープンにしないこと。アメリカの企業だと、なるべく多くの情報を与え、スタッフが自主的に動くこと、でリーダーとしての仕事をしやすくするのが一般的であるのに対し、日本企業の場合はその逆になっているケースを何度も目撃した。
当事者の方々に聞いてみても、はっきりとした答えが出ないので、日本の組織に詳しい友人に聞いてみた。すると、意図的にそうしているという。最初は全く理解に苦しんだが、どうやらそうすることで権力を保持できるという。部下が知らないことを知っていることで、その人の存在価値を出すというかなり不健全な状態に感じられた。
そうなってくると、物事を進める際には毎回上司に聞かなければならなくなり、身動きが取りにくくなる。そして、全体のコミュニケーションコストも上がる。結果的に組織としてのスピードは下がり、競争力も下がってしまうカラクリ。
逆にスピードが速かったり、イノベーティブな企業に共通しているのは、上司と部下の情報格差が少ないこと。これを実現するには、クラウド系のサービスなどを活用する事で、毎回報告しなくても、スタッフがアクセスできる場所に情報を置いておけば良い。
5 年一の人事査定よりも頻繁なフィードバックを
人事評価を楽しみにしている人は少ないだろう。特にそれが1年に1回のペースだと、評価する側もされる側も心地悪い。数ヶ月前の事象などを取り上げてそれに対して良いか悪いかを伝えてもあまりピンとこない。
それよりも、その都度フィードバックを出したり、定期的な1on1ミーティングを設けて会社と個々のスタッフの目標と課題設定と、現状に対するディスカッションをする方が健全であり、素早い変化にも対応しやすくなる。
(出典)2020年に日本企業の経営スピードを上げる5つの方法