「草履片々、木履片々」(ぞうりかたがた ぼくりかたがた)
という秀吉の軍師、黒田官兵衛の言葉がある。
片足に草履、片足に木履(げた)を履(は)いた、不完全な状態でも、人には走り出さなければならない時がある、ということだ。
秀吉は、織田信長から命じられ、備中高松城(岡山県岡山市)を攻めているとき、織田信長が京都の本能寺で倒れたとの報を受けた。
そのとき間髪を入れず、黒田官兵衛が秀吉の耳元でささやいたのがこの言葉。
そのアドバイスを受け、岡山から京都までの約200キロをたった5日で移動するという、伝説の「中国大返し」を行った。
あまりのすさまじい速攻に、明智光秀の謀反はたった13日で終わった。
それを三日天下という。
秀吉が完全に準備を整えてから京都に向かったら、天下は取れなかった。
人は、準備が不完全でも走り出さなければならないときがある。
完璧になるのを待っていたら、人は何も行動できなくなってしまう。
「完璧に」という思い込みを捨てること。
「草履片々、木履片々」
人は、準備ができていなくても…
走りださなければならないときがある。