(過去記事)あなただったらどうしますか(2011年2月17日)
「Q-CONFERENCE2010」は、主として、1)仲間の知恵や工夫を共有する「ポスターセッション」、2)カリキュラムづくりのコツを共有する「Q-Lab第1回CDプロジェクト報告会」、3)“人が学ぶ、組織が育つ-明日の教職協働を考える-”をテーマとした「企画セッション」の3部構成でプログラムされてありました。
ポスターセッション
31の大学・コンソーシアム・賛同者が参加していましたが、どのポスターの周りにも人だかりができ、皆さん熱心に意見交換をしていました。
Q-Lab第1回CDプロジェクト報告会
プロジェクトの内容や成果について映像や参加メンバーのコメントを交えながら振り返りました。なお、第2回CDプロジェクトは、新たにメンバーを公募し、2011年8月に開催する予定だそうです。(詳細は7月初旬頃ホームページにて発表のこと)
(参考)Q-Lab(ラボ)、CDプロジェクトとは、第一回CDプロジェクト活動成果報告
企画セッション
「人が学ぶ、組織が育つ~明日の教職協働を考える~」と題し、明治大学の芦沢特任教授をモデレーターとして行われました。
はじめに、芦沢氏から大学の組織にまつわるエピソードが紹介され、ケーススタディが行われました。フロアとの意見交換が中心でしたが、大学における仕事の内容や経験の違いなどから、意見が大きく分かれ、討論会のような様相になる場面もありました。
続いて芦沢氏から、ケーススタディの背景にある現実について、近時、中教審など政策的にも教員と事務職員との協働関係の確立、教職員の職能開発が強く求められている中で、
- FDや授業改善に対する教員と事務職員のアプローチに違いがある(職員の方が熱心に参加しているというケースがある。FDはほとんどの大学で任意参加、参加を強制しているケースはほとんどない。)
- 教職協働のGood Practiceがアドミッション、キャリア支援、学生生活にとどまり、本丸である質保証や授業改善で起きていない(事務職員が入り込むことを許さない風土が未だに強い。)
- 誰のための質保証かという本質が見失われている(学生の声が反映されていない。学生参加型のFD・SDが珍しいと感じられている。)
最後に、教職協働は本当に可能か、可能にするためには、何のための協働なのかを明確にすること、具体的には、
- 必然的課題を共有すること
- 建設的な相互批判ができる環境を醸成すること
- 相互理解という幻想をもたないこと
- 仕事の質の違いを理解すること
- 大学内外に理解者を増やすこと
- 時には外圧を活用すること
- 「改善」「改革」は誰のためのものかをリマインドすること
今回のカンファレンスは、全体を通じて、参加者自身が自分の経験や自分の大学に当てはめて考える場面が多かったような気がします。
「教職協働は手段であって目的ではない、目的は学生のための教育改善にあり」という本質、あるべき姿を改めて気づかせてくれた充実の半日でした。