2017年1月15日日曜日

記事紹介|地方大学の振興

政府が「地方創生総合戦略」を改訂し、地方大学の振興を新たな目玉策に掲げた。

地元で進学した人への奨学金の充実や、地元企業でのインターンシップへの支援などを行う。

地方大学には、地域を担う人材を育成する役割がある。地元企業と連携し、大学が持つ技術を実用化に結びつけた事例も少なくない。「知の拠点」としてさらなる発展を望みたい。

首をかしげるのは、東京における大学や学部の新増設の抑制を同時に打ち出したことだ。今夏をめどに具体的な検討を進める。

地方の若者の多くが、大学などへの進学や就職時に東京圏へと流出している。これに歯止めをかけて、一極集中を是正するのが目的だという。

だが、東京での受け皿を増やさないことが、直ちに地方大学の振興につながるだろうか。

都会での進学を希望する受験生には、「地元の大学には学びたい学部がない」「大学で学んだことを生かせる仕事が地域にない」といった切実な思いがある。

全国から人材が集まる大都会で学びたいという「若者のエネルギー」から目をそらし、地元への進学を増やしたところで、卒業後に都会へ向かう動きに歯止めをかけることが可能とは思えない。

どこで何を教えるのかは大学経営の根幹だ。地方の陳情を受けて、政府が口出しするのが妥当だろうか。学問の発展や大学の国際競争力向上を阻害しかねない点も認識しておくべきである。

ましてや、地方大学の生き残り策と考えるなら大きな誤りだ。18歳人口が減少する中で、私立大学の多くは定員割れを来している。この問題に向き合わず、小手先の改革を講じる意味は小さい。

地方大学が腰を据えて取り組むべきは、真に学生に必要とされる存在となることだ。それは、大学が地域の発展にどう関わっていくのかを明確にし、地域に残りたい人を増やすことである。

同時に、大学卒業後に就職したくなる「魅力ある仕事」をつくるよう、地域全体での取り組みを強めることが重要だ。

政府や自治体には、高い技術力や成長性などを備えた中小企業やベンチャー企業の育成を急いでもらいたい。それなくして、地方大学が真に活性化することを望むことはできない。

東京の大学抑制 まず地方の受け皿作りを|2017.1.15 産経新聞 から

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