2007年11月12日月曜日

随意契約-天下り-不正

会計検査院の指摘放置 5国立大病院 給食の随意契約

5つの国立大学付属病院が、99年度の会計検査院の決算検査で見直しを求められていた患者への給食業務での随意契約を、現在も続けていることが11日、わかった。

5病院はいずれも、今後一般競争入札などに切り替えるとしている。5病院は東京医科歯科、千葉、東京、岡山、広島の各大学病院。

いずれも随意契約の相手は各病院内に事務所がある財団法人で、大学職員のOBが役員を務めているケースもあった。

中でも悪質だったのが東京医科歯科大。同大は給食のほか、財団法人にベッドメークや白衣の洗濯などの業務を委託している。しかし、この財団法人は、給食以外の業務でマージンを取り、実際の業務は別会社に再委託していた。(2007年10月11日付朝日新聞)

国の16機関で随意契約6割、契約先に天下り1万人

中央省庁など国の機関が2006年4~12月に締結した契約件数のうち、随意契約が6割近くを占め、その支払総額は1兆3770億円に上ることが17日、会計検査院の調べでわかった。

随意契約では予定価格に対する契約額の割合が97・3%と高く、契約先で所管する財団法人など962法人に約1万人の省庁OBらが天下りしていることも判明。

検査院は「契約の競争性や透明性の確保に努める必要がある」と指摘している。(2007年10月17日付読売新聞)

工事めぐり6点の法令・内規違反 東北大入札逃れ問題

東北大学病院(仙台市)の契約をめぐる一連の問題を調査していた同大の調査検討委員会(委員長・渡辺誠副学長)は30日、手術室工事の契約の過程に法令・内規違反が6点あったとする調査結果をまとめた。

また、都内の医療機器販売会社が大学への多額の寄付を足がかりに関連病院への販売実績を上げようとした営業攻勢が一連の問題の背景にあった、と指摘した。

調査報告は、手術室工事の随意契約を公表しなかったことが公共工事入札・契約適正化法に違反したと指摘。入札を逃れるために工事を3分割発注して随意契約した▽契約書類を工事後に作成した――など5点が大学の会計規程などに違反すると結論づけた。

また、同病院が医療機器販売会社から06、07の両年度に現金1100万円と、約2500万円相当の医療機器や備品などの寄付を受けていたことを明らかにした。(2007年10月30日付朝日新聞)

独立行政法人4割が関連法人と契約 行革事務局公表

101の独立行政法人(独法)のうち、一般企業の子会社などに相当する関連法人と契約を結んでいる独法が40にのぼることが分かった。その40法人と関連法人との契約のうち、随意契約が約9割を占める。

8日に開かれた政府の行政減量・効率化有識者会議に行政改革推進本部事務局が提出した資料から明らかになった。

同事務局は、連結決算の対象になるなど、一般企業の子会社に相当する特定関連会社と、理事などのうち独法の役職経験者が3分の1以上を占める関連公益法人などを「関連法人」と規定。

独法と関連法人とが随意契約を結ぶなどの不透明な契約が無駄遣いの温床になっているとみて、独法から関連法人への契約の流れを調べた。
関連法人と契約を結んでいる40法人のうち、すべてが随意契約だった独法は17。9割以上が随意契約の独法も9あった。随意契約を交わしていないのは3法人にとどまった。
40法人の所管官庁のうちわけは、文部科学省と経済産業省で9法人、厚生労働省が7法人、農林水産省が5法人などとなっている。

また、同事務局は独法から関連法人への「天下り」についても調査。関連法人は独法全体で計236社あり、05年度は独法から関連法人役員に230人が天下っていた。(2007年11月09日朝日新聞)


世間を騒がせている防衛省をはじめとする「随意契約と不正」の関連性を指摘する報道は後を絶ちません。

国をはじめ公的セクター(国立大学も含まれる)は、競争入札による契約を行うことが大原則になっていますが、例外的に入札によらない契約(随意契約)が法的に認められています。随意契約は、競争入札と比べて、契約業務の効率化や迅速化が図れる、比較的規模の小さい業者に対しても契約の機会を与えることができるなどの利点があります。その一方で、悪質な不正を誘発する可能性が極めて高い制度でもあります。

随意契約を行うためには、国の場合、会計法や予算決算及び会計令などの法令(公的セクターの場合には、国の法令に準じて作成した内部規則)に定められた要件を満たさなければなりません。
ただし、要件を満たせば何をやってもいいという発想が関係者の脳裏にある場合には、随意契約のメリットが全く活かされないことになります。
そればかりか社会に対して説明のできない不正につながることになります。

これまで、随意契約の悪用による様々な不正が発生していますが、その手法を大きく2つに整理してみました。

一つ目は、法令等に定められた随意契約によることのできる要件を満たすための屁理屈が、契約権限を有する者や担当者によって捏造されているということ、二つ目は、本来であれば、一括して競争入札を行わなくてはならない事業を複数の小事業に分割することにより予定価格を随意契約の要件となる少額に落とすといった操作を行っていることです。

その結果、競争がないため相手方の言い値的価格で契約することになる、さらに相手方の恣意的な選定が可能となるためにOBなどの天下り先や癒着した業者を相手方とすることが容易となるなどの温床が生まれ、やがては実行されていくのです。
予算(税金)の無駄遣いとなることは言うまでもありません。

財務省をはじめ監督官庁や会計検査院(国立大学においては内部監査機関)などによる指摘にも自ずと限界があるでしょう。
根絶に向けた競争性や透明性の確保とともに、そろそろ厳罰化に向けた検討を行う時期にきているのではないでしょうか。