2010年11月2日火曜日

どうなる国立大学予算 1

過日、平成22年度補正予算が閣議決定され、いよいよ来年度予算の編成作業が山場を迎える季節になりました。

パブリックコメントで賑わった「元気な日本復活特別枠」に盛り込まれた国立大学法人関係予算の行方が気になります。

国立大学協会は、昨日(11月1日)、高知市内で総会を開き気勢を上げたようです。

大学運営予算の確保、国に要望へ 国立大学協会が決議(2010年11月1日 朝日新聞)

全国86の国立大などでつくる国立大学協会(会長=浜田純一・東大総長)は1日、高知市内で総会を開き、2011年度の予算編成で削減のおそれがある運営費交付金などを確保するよう、政府に要望する決議をまとめた。・・・
http://www.asahi.com/edu/news/TKY201011010381.html


国立大学協会総会決議文書(平成22年11月1日)

決  議
「強い人材、強い大学、元気な日本」

平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」は、『「強い人材」の実現が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力に関し世界最高水準を目指し、効果的な施策に対する公的投資を拡充する。』と明記している。

国立大学は、新成長戦略にも掲げられている『持続可能な成長を担う若年層や知的創造性(知恵)(ソフトパワー)の育成』の欠くべからざる土台である。そして引き続き「強い人材、強い大学」の実現を目指し、我が国の知の創造拠点・高度人材育成拠点として、日本の確かな未来を切り拓いていく決意である。

今年も二名の日本人研究者がノーベル賞を受賞されたことは誠に喜ばしい限りであるが、一方で、独創的で地道な研究を支える国立大学の基盤的経費の削減が今後とも継続されるならば、我が国の高等教育・研究の基盤は根底から崩壊し、回復不可能な事態に立ち至るであろう。諸外国が大学等に重点投資を行い国の発展を図っている中で、我が国の国際的な競争力を失わせ、国力を衰微させていくものと強く懸念される。

以上の決意と認識をもって、我々は、平成23年度予算編成に当たり、「元気な日本」復活の土台であり、未来への先行投資でもある高等教育・研究、科学・技術への財政支援の拡充を国家戦略として具現化するため、下記事項の実現を図るよう、強く要望する。
  • 国立大学法人運営費交付金の拡充(一般運営費交付金の充実を含む)
  • 教育費負担の軽減(授業料減免措置の拡大、奨学金の充実)
  • 国立大学附属病院の経営に対する財政的支援の拡充
  • 教育研究の基盤となる施設・設備の整備
  • 科学研究費補助金の拡充(「基金」化を含む)
  • 教育研究水準の向上に向けた改革と国際的に開かれた大学づくりに資する予算の拡充

政府の様子はどうでしょう。

元気な日本復活特別枠要望に関する評価会議(平成22年10月13日 首相官邸ホームページ)

本会議は、「平成23年度予算の概算要求組替え基準について」(平成22年7月27日閣議決定)において設定されている「元気な日本復活特別枠」について、要望事項に関する政策の優先順位付けを行うために開催されるものです。

菅総理は、冒頭のあいさつで「平成23年度予算は、「新成長戦略」を着実に推進し、元気な日本を復活させるために極めて重要な予算であります。その予算を実効的なものとするべく、この度政府として「元気な日本復活特別枠」を設け、開かれた形で政策の優先順位付けを行うことにより大胆な予算の組替えを何としても実現していきたいと考えております。その際には、元気な日本を復活するにふさわしい事業を厳選することはもとより、既存の予算を削減して、大胆に予算を組み替えるという本来の趣旨に適合しているかという観点からも、「特別枠要望」と「既存予算の要求」全体を一体として把握した上で評価していただきたいと思います。」と述べました。・・・
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201010/13hyouka.html


噂によれば、この特別枠については、近々、評価会議の作業チームによる各省からの公開ヒアリングが行われるようです。
その後、評価会議が、優先順位付けの原案を各省と調整のうえ、12月初旬までに決定、予算編成に関する閣僚委員会へ提出するといった段取りになっているようです。


予算編成に関する閣僚委員会(平成22年11月1日 首相官邸ホームページ)

平成22年11月1日、菅総理は総理大臣官邸で、予算編成に関する閣僚委員会を開催しました。本日の会議では、平成23年度予算編成の進め方について話し合われました。・・・
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/actions/201011/01kakuryoi_yosan.html


政府も気合十分ですね。しかし、気合だけでは・・・。国立大学法人の命運やいかに・・・。


それにしても、経済の回復など国民が求める緊急課題の解決に政治の力がためされるこの重要な時期に、国会での補正予算審議は止まっていますし、貴重な時間と税金が浪費されています。政治家の先生方は何をやっているんでしょうか。

予算委員会の不思議(2010年10月26日 THE JOURNAL 田中良紹)

予算委員会は予算の審議をするところである。ところが国民は予算委員会で予算の議論を見た事がない。テレビ中継がある時は何を質問しても良い事になっているため、予算委員会では専ら「政治とカネ」の追及が行なわれてきた。何故予算委員会で「政治とカネ」が追及されるのか、誰も不思議に思わないからこの国は不思議である。・・・
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/10/post_236.html