2014年8月20日水曜日

「知識」をシェアすること

ブログ「教授のひとりごと」から真のコミュニケーションとは」(2014-08-08)をご紹介します。


日経産業新聞(7/25付け)に「ウィリアム氏と明日を読み解く」欄に『真のコミュニケーションとは』という記事があった。

コミュニケーションとは、「ナレッジをシェアすること」です。組織で培ってきた知識をチーム全員で共有することこそがコミュニケーションと私は思います。休日の行動や趣味の話は知識ではありません。場合によっては重要かもしれませんが、あくまで「情報」にすぎません。

上司や組織が持つ「知識」をシェアしていくことで、組織は「チーム」になっていくのです。そのときに重要なのが上司のリーダーシップであり、コミュニケーションをはかることです。米国では、部下を説得すること=リーダーの役割です。だから、小学生のときから授業で説得力をつけるトレーニングをします。自分の持っている意見や知識を伝えることで信頼を得るのです。相手を納得させるためのスピーチ、表現力が求められます。

日本ではどうでしょうか。情報を正確に伝えられる人はたくさんいます。ですがプラスして自分の意見を伝えること、知識をシェアすることを意識して部下と接しているいる人がどれくらいいるでしょうか。米国では、意見のないリーダーは見向きもされません。

とはいえ、突然自分の意見を押し付けても受け入れてはもらえません。だから、日々の案件を通じてあなたの意見を伝えてください。たとえば「A、B、Cのどれにすればいいでしょうか?」と部下に聞かれたとします。「俺ならAだな」では、コミュニケーションになりません。

まず、部下に考えさせてください。彼らの考えをくんだうえで、あなたの意見を述べてください。答え合わせではなく、考え方、思考のプロセスを確認するのです。あなたと部下が「思考を共有すること」で初めてコミュニケーションが成立します。

考え方の道筋が同じならば、別の案件でも、部下はあなたがベストだと考える答えに近づく提案ができるようになります。少なくとも、とんでもない間違いはなくなるはずです。もし、それでも成果が出ないような場合には「なぜうまくいかなかったのか」を話し合ってください。そのときには、単純な情報の伝達ではない「コミュニケーション」が生まれているはずです。

講義もコミュニケーションの一種だろう。一方通行型の講義もあるかもしれないが、教員と学生とのコミュニケーションが必要だ。学生の資質も教員が学生だった時代に比べて変わってきている。それを理解した上で、授業を組み立てることも必要となっている。

昨年から「建築キャリアデザイン」という授業を始めた。夏休みに入ってから4日間の集中講義で、学外から実務者(卒業生)を招いて話をしてもらった。講師から20分ほど話をしてもらった後、質疑応答の時間としたが、なかなか手が挙がらないときもあった。おそらく話を聞いても専門用語もあるので、わからないことも多いのではないかと想像しているが・・・

講師としてさまざまな職種の方々を招いた。多くの講師がコミュニケーション能力の大事さやいろいろなことにチャレンジする熱意の重要性などを強調していた。コミュニケーション能力を高めるためにも、このような授業では積極的に発言してもらいたいところだ。授業に参加した学生が将来の進路を考えるきっかけになれば嬉しい。

昨年の学生の参加状況に比べて、今年の参加者は少なかった。履修登録するときに、もっと積極的に呼びかける必要があるのかもしれない。参加した学生からの評価は良好だった。「最初は(夏)休みが減ってイヤかなと思っていましたが、休みなんかよりも貴重な時を過ごすことができました。」や、「OBの方に実際の仕事内容を聞けて、建築業界について知ることができたし、自分はどんなことに興味があるのかわかった。とてもよかった。」などといった感想もあった。来年は1年生だけでなく他の学年にも参加を呼びかけよう。