2019年3月17日日曜日

記事紹介|リーダーは問題解決を図り、アジテーターは問題対処に終始する

リーダーとアジテーターの4つの違い

組織において、「人を動かす」人にリーダーとアジテーターがいるというのは前回「組織におけるリーダーとアジテーターの違い」で述べて通りですが、この2者には下記のような違いがあります。

【リーダーとアジテーターの4つの違い】
1.リーダーは勇気や希望で先導し、アジテーターは恐怖や怒りで扇動する
2.リーダーは問題解決を図り、アジテーターは問題対処に終始する
3.リーダーは共通の仲間をつくり、アジテーターは共通の敵をつくる
4.リーダーは仲間を主役にし、アジテーターは自分を主役にする

今回は、4つの違いのうち「2.リーダーは問題解決を図り、アジテーターは問題対処に終始する」について、具体的に話をしていきます。

2.リーダーは問題解決を図り、アジテーターは問題対処に終始する

組織の仕事には課題や問題の発生は付きものであり、どのような組織であってもその組織に応じた問題が発生します。問題を抱えていない組織など、一つもありません。

組織に発生する問題とは、見方を変えると「その組織が成長するタイミングであることを知らせるサイン」であると言えます。これはどういうことかというと、そもそも問題というものには

・何かを達成するその道すがらにおいて、今の自分たちの実力では乗り越えることのできない壁
・その壁を乗り越えることができなければ、達成したい何か、を得ることはできない
・その壁としっかり向き合い乗り越える工夫や努力をすると、その壁の高さに応じた成長が訪れる

という本質があります。そして、リーダーはその本質に気づいて、組織に対してリーダーシップを発揮するのに対し、アジテーターはその本質に気づかず、組織をアジテート(扇動)しようとするのです。

リーダーのいる組織は、問題解決を通して成長を積み重ねる

ドイツ生まれの物理学者、アルベルト・アインシュタインは問題というものの本質について次のような言葉を残しています。

「われわれが直面する重大な問題というものは、その問題を起こした時と同じ思考では解決できない」

アインシュタインは物理学者であったため「思考」と表現をしましたが、問題の解決には思考を含めた能力全般が必要です。つまり問題というものには、組織が目指している物事の達成だけではなく、組織の成長の種が埋まっているということなのです。

リーダーはそのことをしっかりと理解しているので、仕事で発生する問題に対して表面的な対処で済ませるようなことはしません。組織のメンバーと共に根本的な解決を図り、仕事の成果だけではなく、組織の成長をも得ています。(根本的な解決とは、「同様の問題が発生しない状態になること」「類似の問題が発生しても、組織のメンバーが過去の経験を応用・工夫し、自力で十分に解決できる状態になること」です。)

アジテーターのいる組織には、大きな成長はない

リーダーはその「問題の本質」をしっかりと組織のメンバーに伝え、問題に対する心身の向き合い方を組織全体で統一しています。では、一方のアジテーターはどうかというと、問題を対処で済ませようとします。対処とはつまるところ、「その場しのぎ」です。

たとえば、花壇に植えた花が枯れてしまったとします。対処的な対応とは、その原因を調べようとせず新しい花を植え直す、といった感じです。花が枯れた原因は、肥料のやりすぎかもしれませんし、水不足かもしれませんし、害虫の仕業かもしれません。問題の根本を探すことをせずに、その場しのぎの対処に明け暮れても、問題が解決していなければきっとまた花壇の花は枯れてしまいます。

その様な感じで、アジテーターは問題の本質に気がついていないため、問題のことをただの厄介事と捉えています。どのようなカタチでもよいので、できるだけ早くその問題から離れるように、組織のメンバーに指示命令を下します。まさに、臭いものには蓋をするという思考です。

しかし、そこには組織の成長はありません。組織は同じ所でずっと停滞をしているため、アジテーターの指揮する組織では、いつまで経ってもより良い仕事の成果に結びつくこともなく、より高度な次元の仕事と向き合うこともないのです。

成長する組織のリーダーは、問題解決にどう取り組むのか?|PHP人材開発 から