菅直人首相は、本日午後、衆参両院本会議で、就任後初の所信表明演説を行いました。人材育成関係を抜粋します。
3 閉塞状況の打破―経済・財政・社会保障の一体的建て直し
【「強い経済」の実現】
まず「強い経済」の実現です。一昨年の金融危機は外需に過度に依存していた我が国経済を直撃し、他の国以上に深刻なダメージを与えました。強い経済を実現するためには安定した内需と外需を創造し、富が広く循環する経済構造を築く必要があります。
では、どのように需要をつくり出すのか。その鍵が「課題解決型」の国家戦略です。現在の経済社会には、新たな課題が山積しています。それぞれの課題に正面から向き合い、その処方せんを提示することにより、新たな需要と雇用の創造を目指します。
この考え方に立ち、昨年来、私が責任者となって検討を進めている「新成長戦略」では、「グリーン・イノベーション」「ライフ・イノベーション」「アジア経済」「観光・地域」を成長分野に掲げ、これらを支える基盤として「科学・技術」と「雇用・人材」に関する戦略を実施することとしています。
これらの成長分野を支えるため、第5の「科学・技術立国戦略」の下で、我が国が培ってきた科学・技術力を増強します。効果的・効率的な技術開発を促進するための規制改革や支援体制の見直しを進めます。我が国の未来を担う若者が夢を抱いて科学の道を選べるような教育環境を整備するとともに、世界中から優れた研究者をひきつける研究環境の整備を進めます。イノベーション促進の基盤となる知的財産や情報通信技術の利活用も促進します。
第6の「雇用・人材戦略」により、成長分野を担う人材の育成を推進します。少子高齢化に伴う労働人口の減少という制約をはね返すため、若者や女性、高齢者の就業率向上を目指します。
さらに非正規労働者の正規雇用化を含めた雇用の安定確保、産業構造の変化に対応した成長分野を中心とする実践的な能力育成の推進、ディーセント・ワーク、すなわち人間らしい働きがいのある仕事の実現を目指します。女性の能力を発揮する機会を増やす環境を抜本的に整備し、「男女共同参画社会」の実現を推進します。
人材は成長の原動力です。教育、スポーツ、文化など様々な分野で国民一人ひとりの能力を高めることにより、厚みのある人材層を形成します。