このことにより、各国立大学法人にはどのような影響があるのでしょうか。
去る5月24日・25日に開催された「国立大学法人等財務管理等に関する協議会」において、文部科学省高等教育局の永山賀久国立大学法人支援課長は次のように語ったようです(文部科学教育通信 No245 2010.6.14から抜粋)。
◇
国立大学財務・経営センターは、国立大学が法人化した後の病院の施設整備や医療機器の資金調達などを代行してきたが、貸し付け事業が廃止されると、各大学が個別に資金調達することになる。
その場合、財政資金を借りられるか否かが大きな問題だ。財政資金の利率は国債と同じだが、これがもし借りられず民間から資金調達するとなると利率は上がり、仮に1%上がったとすると、施設費負担は全体で年間65億ほどアップすると試算される。
当然ながら、大学間の体力差が直接資金調達に影響してくるし、大学の事務負担も増えることになる。
また、国立大学等が移転などの時の土地の売却益の一部を同センターに集め、全国の国立大学等に交付している施設費交付事業について見ると、附属病院のあるなしに関係なく各大学に平成21年度で総額55億円、平均すると6000万円ほど交付されている。
この「施設費交付金」がなくなると、国立大学の建物を改修して維持するための費用が不足する状況になりかねないなど、少なからぬ影響が出てくる。
これらは現段階では最終決定ということではなく、今後、事業仕分けの結果を受け文科省で時間をかけて検討することになるのだが、各大学関係者はこの動向を注意して見守る必要があるだろう。
◇
このほか、国立大学協会では、去る6月3日に「国立大学財務・経営センター事業の廃止は、国立大学法人の運営に甚大な影響。格別のご配慮を。」と題する声明を発しています。
http://www.janu.jp/active/txt5/kenkyuu100603.pdf
これまで国立大学財務・経営センターが、国立大学法人全体の発展に果たしてきた役割は、事業仕分けによっていとも簡単に切り捨てられるようなものではありません。
今後政府は、センター機能の代替措置を含め、国立大学法人の業務運営に支障を来たさないよう、文部科学省だけでなく、現場サイドからの意見も十分に聴いた上で政策決定していただきたいと思います。
国立大学財務・経営センターが行う業務の一端を、センターが発行するメルマガ(第49号 平成22年6月15日)から拾ってみました。こういったことを今後誰がやっていくことになるのでしょうか。
■事務職員にとっての国立大学法人化(国立大学財務・経営センター研究部長 金子元久)
■平成22年度国立大学法人等の財産管理に関する研究協議会資料(平成22年6月7日開催)
■国立大学法人等財務管理等に関する協議会資料(平成22年5月24・25日開催)
■国立大学法人等の財務及び経営の改善に資するための参考事例
1 財務・会計関係
- 予算管理の実践(平成18年度マネージメントセミナー資料) 北海道大学理事 遠藤 啓
- 予算管理の実践(平成18年度マネージメントセミナー資料) 山形大学理事 田村幸男
- 「早稲田大学財政改革推進本部(財革本部)の活動」
- 旅費業務のアウトソーシング(国立大学法人北海道大学)
- 給与関係事務のアウトソーシング(国立大学法人北海道大学)
- 業務改善について(国立大学法人九州大学)
- 管理会計導入に向けてのコスト分析プロジェクト(国立大学法人宮崎大学)
- 学外からの財務実務者の任用について(国立大学法人群馬大学)
2 人事・組織関係
- 事務機構改革の実践(平成18年度マネージメントセミナー資料) 東京大学理事 上杉道世
- 「事務支援センター」の概要(国立大学法人熊本大学)
3 法人運営関係
- 「法人化のメリットを最大限に引き出すためには」(平成18年度マネージメントセミナー資料) 北海道大学長 中村睦男
- 「法人化のメリットを最大限に引き出すためには」(平成18年度マネージメントセミナー資料) 岩手大学長 平山健一
- 「法人化のメリットを最大限に引き出すためには」(平成18年度マネージメントセミナー資料) 熊本大学長 﨑元達郎
- 内部統制(平成18年度マネージメントセミナー資料) 東北大学理事 高田敏文
4 附属病院
- 東大病院の運営体制の改革-病院システムという新しい考え方の導入-
- 滋賀医科大学における経営改革
■国立大学法人財務・経営に関する取組事例
■大学訪問調査による「取組事例」
■財務経営支援研究会の活動(国立大学若手職員勉強会、係長クラス勉強会の成果報告など)
■病院経営支援研究会の活動(国立大学附属病院若手職員勉強会、人事労務ワークショップなど各種ワークショップの成果報告など)
■財務レポート&環境報告書ポータルサイト
■財産処分等に関する協力・助言