2010年6月22日火曜日

国立大学法人評価が大幅簡素化

今年度から始まる第二期中期目標期間における国立大学法人評価(以下「法人評価」)が大幅に簡素化されるようです。

文部科学省は、去る6月17日(木曜日)に、全国立大学法人の評価実務担当者を召集し、第二期中期目標期間における法人評価の改善点について説明を行いました。

本来であれば、第二期中期目標期間開始前の3月には、評価の実施要領を定める予定だったようですが、折りしも、文部科学省で「国立大学法人の在り方に関する検証」作業を進めていたこともあり、評価の在り方を含む検証の結果を踏まえることとし、実施要領の確定がこの時期になったようです。正式には、来る6月28日(月曜日)開催の国立大学法人評価委員会総会において決定されるようです。

法人評価の改善については、これまでの第一期中期目標期間(以下「第一期」)を通じ、国立大学法人や担当者から”評価負担が重い”など、評価方法等の改善を求める多くの声が文部科学省や国立大学協会に寄せられていました。

文部科学省は、今回の見直しに当たり、このような評価実施現場からの声を重視することともに、各法人において、評価の実施体制がほぼ整備され自己・点検評価が実施されていることを踏まえ、法人の自主性・自律性を尊重しつつ、教育研究の特性や評価負担の軽減に配慮し、より効率的な評価とするため大幅な簡素化を図ることにしたようです。

一方、文部科学省は、このような大幅な簡素化により、各法人において、評価の重要性の否定や後退につながることがないよう、改善の趣旨を踏まえた着実な自己点検・評価の取組みを行うよう求めています。

このたびの改善のポイントについて、文部科学省が作成した資料に沿ってご紹介します。

1 「暫定評価」は実施しない。
  • 第一期のように、いわゆる「暫定評価」は実施せず、中期目標期間終了時(平成28年度)のみ中期目標期間評価を実施する。

  • これにより、第一期において実施した「暫定評価結果の運営費交付金への反映」はできなくなるため、3年目終了時の評価(平成25年度実施)の結果を活用する。

  • 国立大学法人の総意として国立大学協会等から「暫定評価」の復活要望があれば検討する。

2 教育研究の中期目標期間評価を効率的に実施する。
  • 学部・研究科等の現況分析は大幅に簡素化し、現況分析の結果を中期目標の達成度評価に十分に活用する。

  • 質の向上度は、第一期終了時と第二期終了時とを比較参照して評価する。さらに、大学情報データベース(大学評価・学位授与機構)や認証評価資料を活用する。

  • なお、大学評価・学位授与機構による法人評価や認証評価は、事業仕分けにより見直し対象となっているため、実施機関については今後検討する。

3 「教育研究等の質の向上の状況」は大幅に簡素化し、中期目標期間評価のみ実施する。
  • 年度評価では、第一期のように事項ごとの進捗状況の記載を求めず、「全体的状況」欄に学長が総括して記載することとする。

4 「業務運営・財務内容等の状況」は大幅に簡素化し、3年目終了時のみ詳細に記述する。
  • 年度評価では、第一期のように事項ごとの進捗状況の詳細な記載を求めず、進捗度を表す「4段階」の記号のみを記載することとする。

  • 各年度計画の達成状況については、毎年実施するヒアリングの時間を増やし、自己点検・評価の体制、進捗度(4段階)の判断理由、任意の個別事項の進捗状況等について確認を行う。

  • なお、3年目終了時(平成25年度)に実施する平成24年度評価については、全ての事項について進捗状況の詳細(平成24年度分)を記載することとする。

5 「共通の観点」等を大幅に精選する。
  • 法人の自主性を尊重し、共通の観点の項目を、政策評価・独立行政法人評価委員会(総務省)による2次評価の指摘事項に限定し、3年目終了時(平成25年度)及び中期目標期間終了時(平成28年度)に実施(エビデンス資料は、平成22~24年度の3年分をまとめて提出)する。

  • 3年目終了時(平成25年度)に実施する平成24年度評価では、「特記事項」欄に、「平成24年度に係る特記事項」とともに、「『共通の観点』に係る3年分の取組状況を観点ごとに総括的に記載」することとする。

  • 「情報公開の促進が図られているか」については、平成23年度からの施行が予定されている学校教育法施行規則の改正(大学の教育情報の公表)への対応状況も対象とする。

6 大学の個性・特色を明確化するため様式を整理する。
  • 「全体的な状況」欄に、大学の基本的な目標等を踏まえ、学長のリーダーシップの下、取り組んだ成果を学長が総括して記載する。