今回設けられた派遣村は、前回(東京・日比谷公園)の場合と違って、政府の要請を受けた東京都が、国立オリンピック記念青少年総合センター(渋谷区)に用意した”官製”の派遣村だそうで、前回の反省が生きた政権交代の効果という見方もあるようです。
この派遣村を利用した人は、前回の6割増の833人だそうで、前回、派遣村で年を越し、その後日雇いでしばらく食いつないだが、仕事が途絶えて路上生活に転じ、昨年末に再び派遣村に戻ってきた人も少なくないということです。
「命をつなぐ」という意味では、派遣村の効果は肯定されるべきですが、根本的な解決には全くなっておらず、なんとかして、職と住を失った人々がさまようことのない世の中をつくる取り組みを官民が総がかりで努力してやっていかなければなりませんね。
昨年末は、冷え込む景気の影響で、冬のボーナスを受け取ることができなかったサラリーマンのお父さんも多かったわけですが、この世には景気の影響をさほど受けずにすむ居心地のいい仕事もあるようです。
これからご紹介する記事、いずれも国民の税金がその仕事の報酬の原資になっていることを社会の皆様はしっかり知っておかなければなりません。
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民間企業の冬のボーナスは厳しいが・・・国会議員はいくらもらえるの?(biz誠)
行政刷新会議による事業仕分けで、来年度予算の概算要求が次々に削られているが、なぜか「国会議員の特権」は仕分け対象には入っていない。例えば、 現職議員の冬のボーナスは、バッジをつけている期間に応じて186-310万円支給される。民間企業が昨年より大幅に減る中、わずか6%減という好待遇だ。サラリーマンの懐は”厳冬”が確定しているだけに、鳩山由紀夫政権の国民目線が問われそうだ。・・・
給与に関しては、公的資金の返済を終えていない中央三井トラスト・ホールディングス、りそなホールディングス、新生銀行の公的資金3兄弟に批判の目が向けられている。いずれも09年3月期の平均年収が前の期より19万~50万円も上昇しているためだ。金融界では「給与を上げる前に公的資金を返した らどうだ」との声も出ている。・・・
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0911/24/news048.html
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いかがでしょうか。このような不条理がある一方で、中小零細の民間企業では、ボーナスどころか給与も減額の一途。そんな中でも、子どもの教育費は削ることはできず、家計に重くのしかかる現実。次に奨学金の問題に関する記事をご紹介します。(消去されていますので全文掲載します。)
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教育転換:政権交代の波/6止 大学奨学金 「返済不要」の創設急務(2009年11月15日 毎日新聞)
「娘は大学を卒業するとき、奨学金だけで800万円もの借金を抱えて社会に出るのです」
夫がリストラに遭い、パートをしながら大学1年の長女(20)と高校3年の長男(17)を育てる山口県宇部市の女性(46)は、新政権が掲げる教育支援策に強い疑問を抱く。「子どもの未来のためと言いながら、お金のかかる大学生には目が向けられていない」と。
今春、隣県の私立大の理学部に進んだ長女は、有利子で月12万円の奨学金を独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)から受けている。高校3年間も奨学金で公立校に通った。通算7年、彼女の返済総額は800万円を超える。
長男は、体育教師を目指したこともあったが、家計の厳しさから大学進学を断念。来春から寮のある県内の建築会社で働く。「夢を追わせてあげたかった」。女性は無念さをにじませる。
家計が暗転したのは7年前。大手企業に勤めていた夫が、突然のリストラ。仕事は見つかったが収入は激減し、いま、女性のパート代を含め一家の年収は300万円を切る。
昨春、志望校を落ちて浪人した長女は、カラオケ店のアルバイトで夏季講習費を稼いだ。合格はうれしかったが、授業料は年間140万円。アパートの入居費用などもあり、女性は実家に頼み込んで母親(75)から200万円を借りた。「大変やねえ」の言葉に、「ごめん、元気でおってね」としか答えられなかった。
民主党が公約の目玉に掲げた教育支援策は、大学生の子どもを持つ家庭には届かない。1人あたり月額2万6000円を支給する「子ども手当」は中学生以下、「授業料無償化」は高校生が対象。2人とも通り過ぎた。
さらに、その財源と目される「特定扶養控除」の縮小が検討されている。現行は16歳以上23歳未満の子どもがいる場合、1人あたり63万円が所得の課税対象から外される。支援が受けられないうえに扶養控除もなくなれば「泣きっ面にハチです」と、女性は嘆く。
大学などの高等教育費の貧弱さは他国と比較しても際立つ。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、06年の公的財源から高等教育への支出は、対国内総生産(GDP)比でわずか0.5%。加盟28カ国中最下位だ。逆に保護者による私費負担の割合は67.8%で、OECD平均(27.4%)を 大幅に上回る。ノルウェーはわずか3%だ。
東京大大学総合教育研究センターの小林雅之教授(教育社会学)によると、ヨーロッパ、特に北欧では大学の授業料は無償で、生活費のための奨学金制度も充実しているという。文部科学省によると、08年度の全国の大学、短大、高等専門学校の中退者のうち「経済的な理由」で退学した割合は15.6%。小林教授は「返済しなくていい給付型奨学金と授業料減免の拡充策を早急に検討すべきだ」と話す。
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上記のような苦労話を読んだ後で、次のような記事を読むと「どないなっとんだ、この国は!」と腹立たしさが勢いピークに達します。こんな格差社会放置していいはずはありません。
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隠れ天下り、外務・経産・文科省所管の3独立法人でも(2009年12月6日 朝日新聞)
厚生労働省所管の独立行政法人が天下りOBを高給の嘱託職員にしていた問題で、新たに外務、経済産業、文部科学各省がそれぞれ所管する3独法が、中央官庁の天下りOB計5人を、天下り凍結の対象外の非常勤職員などのポストで雇用していたことが、朝日新聞の調べで分かった。人件費削減などの規制を免れた「隠れ天下り」が各省庁に広がっている実態が明らかになった。
3独法で計5人の天下りOBは、常勤の役職員扱いではないため給与水準が公表されない。さらに、独法などの人件費は、05年度を基準に06年度以降の5年間で5%以上削減されることが法律で決まっているが、5人の給与は削減対象外の事業費から支出されていた。また、政府は、国家公務員OBが占めていた独法の役員ポストへの天下り凍結を決定したが、この5人は対象外だ。
国際交流基金では、文科省と財務省のOB各1人を参与として雇用。年収は役員に準じた約1300万円で、個室も与えられていた。基金関係者は「予定を管理している秘書もいる。組織内では役員と同等に思われている」と証言している。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、経産省と総務省のOB各1人を非常勤特命参与として雇っていた。日本学術振興会では、文科省OB1人が審議役に就いており、部長級だが役員会にも出席しているという。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1206/TKY200912050431.html?ref=rss
隠れ天下り、7独立行政法人11ポストで 総務省調査(2009年12月8日 朝日新聞)
厚生労働省所管の独立行政法人が同省OBらを嘱託職員として雇用していた問題を受け、総務省は8日、98あるすべての独法を対象に、年収1千万円以上を得ている非正規の嘱託職員の調査結果を発表した。厚労、文部科学、総務の3省が関連する7法人の11ポストで、こうした「隠れ天下り」が確認され、最大で 1326万円の年収を得ていた。・・・
http://www.asahi.com/politics/update/1208/TKY200912080212.html?ref=rss
独法8割が不適切支出 高額手当や福利厚生(2009年12月9日 共同通信)
総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会(委員長・岡素之住友商事会長)は9日、2008年度の時点で国が所管していた全101の独立行政法人(独法)のうち84法人で、国家公務員より高額の手当や職員のレクリエーション費補助など、不適切な支出があったことを明らかにした。
委員会は同日、各府省が設置している独法の監視機関に対し、支給額などをチェックして是正するよう文書で通知。独法は世論の批判を受け、親睦費やクラブ活動費などの補助廃止を進めているが「国民の不信感は一掃されていない」(岡委員長)と指摘した。住居手当や扶養手当を含む給与水準は過半数の51法人が国を上回っており、各府省は独法への天下り問題も含めて一層の見直しを迫られそうだ。
内閣府所管の「沖縄科学技術研究基盤整備機構」の場合、研究を統括する代表研究者の住居手当の上限が月16万円。国の手当は2万7千円で、内閣府の監視機関も「速やかな見直しが必要」と指摘していた。
経済産業省所管の「経済産業研究所」「原子力安全基盤機構」など4法人では、通勤手当の上限が月10万円と国の5万5千円を大きく上回った。
http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009120901000769.html