2018年12月27日木曜日

記事紹介|沖縄の海(人の心の中)に土砂を投入しているのは、他ならぬ本土の私たち

人里離れたどこか田舎の海に土砂を入れる。そんな感覚で受け止めている人が多いかも知れません。あるいは、週が明けてニュースが伝えられなくなり、もう忘れているでしょうか。

25年間沖縄に通い、沖縄戦体験者の生活史を聞き取ってきた経験からいえば、今回のことは、沖縄の人の心の中に土砂を入れていくようなものだと受け止めています。

それでも、本土の人たちの関心は低い。関心があっても、固定観念で「沖縄」をとらえ、レッテルを貼ってしまいがちです。

沖縄の社会は、本土と同じく複雑です。多くの人たちが辺野古の基地建設に反対ですが、「条件付き容認」という方も当然います。それなのに、私もふくめた本土の「リベラル」は、すぐに沖縄をロマンチックに理想化して語ります。理想から外れると批判する人もいます。

一方、現政権を支持する人たちは、沖縄に容認の人がいることを、さも隠された真実であるかのように語りがちです。でも、例えば工務店を営み、基地関係や公共工事の仕事を請け負っていて、子どもが大学進学のタイミングを迎えていたとすれば――。やむを得ない、と考えるのは自然なことではないでしょうか。

沖縄を自分の主張の道具に使うのをやめて、まずは沖縄の人たちも、本土の私たちと同じ「合理性」を持った存在として、あるがままにみる。その上で、沖縄戦や米軍統治など、本土とは異なる固有の歴史に目を向けることが大切だと思います。そうすると「日本」が沖縄に対して、どれほどひどいことをやっているのかが見えてくるはずです。

沖縄に基地を押し付けているのは日本であり、米国です。あの海に土砂を投入しているのは、他ならぬ本土の私たちなのです。

あの海に土砂、投入している本土の私たち 岸政彦さん|朝日新聞デジタル から