「予算を増やせば出生率は上がる」——その前提が、世界規模で崩れ始めている。ノルウェーの研究者が発表した論文は、少子化の処方箋として「国家主導による母子家庭化」という衝撃的な結論を導き出した。そして日本の現行政策は、気づかないままその方向へ歩んでいる可能性がある。善意の子育て支援が、なぜ家族を壊す道になりうるのか。
この記事のポイント
- 子育て予算を増やしても出生率は上がらない——フランス・北欧・日韓いずれも同じ結果
- 少子化の本質は「カップルが成立しない」こと。婚姻数を増やさない限り改善しない
- ノルウェーの論文が提示した「最悪の処方箋」——国が未婚女性の出産を丸抱えし、父親を社会から排除する
- 日本のこども家庭庁は予算3倍増・出生数3割減という結果を出している
- 「共働き・共育て」推進と子育ての外部化は、夫婦の共同体としての絆を解体しかねない
- 善意の政策が積み重なった先に待つのは、「孤立した個人」だけの社会かもしれない
①「子育て支援=少子化対策」は世界的に否定されている
欧米の専門家たちは近年、子育て支援政策では出生率は改善されないと口を揃えて言い始めており、予算と出生率の間に明確な正の相関は見られない。フランス・スウェーデンなど予算を高水準に保つ国も、日韓のように予算を増やした国も、出生率は一様に低下している。
②衝撃のノルウェー発論文
今年、英国の学術誌『Politics and the Life Sciences』にノルウェー科学技術大学のMads Larsenらによる論文が掲載され、波紋を呼んでいる。
論文が示す少子化のメカニズムはこうだ。女性の教育・就労が進んで経済的に自立すると、パートナー選択基準が厳格化し、「価値の高い上位の男性」しか選ばれなくなる。マッチングアプリがこの傾向をさらに加速させ、一部の男性に注目が集中する。しかし選ばれる女性も一部でしかないため、カップル成立が困難となり非婚が増加、出生率が低下する。
③論文が示す「最悪のシナリオ」
この論文の処方箋が衝撃的で、カップル成立増も夫婦による出生増も現実的に困難と結論づけ、女性が単独で子を産み育てる「個別主義的再生産」を推進せよと提言している。国家が未婚女性に経済的・社会的資源を十分に提供し、一人で妊娠・出産・育児ができるよう支援するというものだ。そこには夫・父の存在が消滅する。著者たちは「理想ではないが、国家存続のためにはやむを得ない現実策」と位置づけている。
④日本もすでにその道を歩んでいる?
日本の少子化対策は、新たな子を生み出すものでも婚姻を増やすものでもなく、生まれてきた子に対する子育て支援策ばかりだ。2007年に少子化担当大臣が設置されて以降、予算は3倍増になったにもかかわらず、出生数は逆に3割減という現実がある。
政府・自治体は「共働き・共育て」と「子育ての外部化」を推奨するが、これは「国が金を出すから両親は働いて」と言っているようなものだ。夫婦の共同体的互恵関係を壊し、家族そのものを消滅させる方向に向かっている。子育て支援も子ども福祉も善意の政策だが、その行き着く先が「家族がいなくなる地獄」なのかもしれない。
元記事はこちら→ PRESIDENT Online

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