2019年10月11日金曜日

記事紹介|生かされているありがたさ

大島みち子さんという女性がいた。

子供の頃は頭もよく、体も健(すこ)やか、本当に可愛(かわい)い、いい子だったという。

その大島さんに異変が生じたのは高校に入った時だった。

顔の軟骨が腐るという難病にかかったのだ。

その治療のため、高校は5年かかってようやく卒業した。

彼女は京都の同志社大学文学部に進学。

だが、病気が再発、長い病院生活となる。

その間に一人の男子学生と知り合い、手紙を取り交わす間柄になったりする。

この大島さんが書き残した文章を集めたのが『若きいのちの日記』という本。

教育学者、東井義雄氏はこの本に、いまここで何をなすべきか、人間としてもっとも大事なことを教えられたという。

大島さんは書いている。

「病院の外に健康な日を3日ください。

1週間とは欲張りません。

ただの3日でよろしいから病院の外に健康な日がいただきたい」

「1日目、私はとんで故郷(ふるさと)に帰りましょう。

そして、お爺ちゃんの肩をたたいてあげたい。

母と台所に立ちましょう。

父に熱燗を1本つけて、おいしいサラダを作って、妹たちと楽しい食卓を囲みましょう。

そのことのために1日がいただきたい」

「2日目、私はとんであなたのところへ行きたい。

あなたと遊びたいなんていいません。

お部屋を掃除してあげて、ワイシャツにアイロンをかけてあげて、おいしい料理を作ってあげたいの」

「3日目、私は一人ぼっちの思い出と遊びましょう。

そして静かに1日が過ぎたら、3日間の健康にありがとうと、笑って永遠の眠りにつくでしょう」

自らの人生を看脚下(かんきゃっか)し、見事に生きた人の姿をここに見る。

若くして逝った女性の生き方に倣(なら)い、私たちも自らの看脚下を深めていきたい。

人間としてもっとも大事なこと|人の心に灯をともす から