入院できない!?「見えない看護師不足」
「せっかく病院にベッドがあるのに、看護師が足りなくて患者を受け入れられない…」
今、全国の多くの病院でこのような異常事態が起きているのをご存知でしょうか?
NHK「クローズアップ現代」の取材によって、書類上の数字には表れない医療現場の崩壊寸前の実態、通称「見えない不足」の深刻な裏事情が浮き彫りになりました。
これは決して他人事ではなく、「明日、自分や家族が入院できなくなるかもしれない」という私たちの命に直結する危機です。一般の読者向けに分かりやすく解説します。
1. 「人数は足りているはず」なのに現場がボロボボな理由
国の法律(配置基準)に書かれた「必要な看護師の数」は満たしているはずなのに、なぜ現場からは悲鳴が上がっているのでしょうか?そこには統計には見えない罠があります。
◆ 「夜勤ができる人」が圧倒的に足りない
ある病棟のメンバー表に「看護師30人」と書かれていても、実際は5人が産休・育休中。さらに子育てや介護、自身の病気などで「夜勤はできない」という時短スタッフも多く、24時間フルタイムで夜勤もこなせるのは全体の3割程度(11人)というケースがあります。
その結果、動ける「中堅看護師」1人に対して、何人もの新人の教育担当と、大量の患者のケアが重くのしかかっています。
◆ 高齢の患者さんが増え、1人あたりにかかる手足が激増
認知症や寝たきりの高齢患者さんが増えたため、着替え、食事、トイレの補助、急な体調変化への対応など、昔に比べて患者さん 1人あたりに必要な「お世話の時間」が何倍にも増えています。
▼ 限界を迎える現場からの悲鳴
- 「人手不足でナースコールに対応できず、患者さんが転倒してしまった」
- 「毎日するはずの体を拭くケア(清拭)を、週2回に減らさざるを得ない」
- 「忙しすぎて、薬を間違えて飲ませそうになるミスが起きている」
2. 病院の経営を狂わせる「紹介料ビジネス」と「早期離職」
人手を集めたい病院側と、過酷な労働から逃れたい看護師側の裏側では、医療の本質とは別の深刻な歪みが生まれています。
◆ 1人採用するだけで「100万円」の手数料
病院は、足りない看護師を「人材紹介会社」経由で高額な手数料を払って雇っています。その総額は全国で年間約600億円(ここ10年で2倍)にのぼります。
本来なら、最新の医療機器の購入や、古くなった病棟の建て替えに使うはずだった大切な資金が、看護師の採用費だけに消えていくという本末転倒な事態が起きています。
◆ 「割に合わない」と去っていく若者たち
「患者さんに寄り添いたい」と夢を持って就職しても、毎日の激務と命を預かる重い責任に対し、給料は30代以降あまり上がらない現実に絶望し、「自分たちは病院の使い捨てのコマなのではないか」と、20代で看護師を完全に辞めてしまう人が後を絶ちません。
3. 私たちの医療を守るために、何が必要か?
労働政策の専門家は、日本の病院の仕組みを根本から変える時期に来ていると指摘します。
◆ 「短時間でも正社員」として働ける仕組み
「子育て中だから1日4時間だけ」という働き方でも、正社員としての待遇をそのまま保証し、病院側も「1人」ではなく「働いた時間(労働力)」としてきちんと換算・評価してチームを組む仕組みへの転換が必要です。
◆ 看護師の給料を「別枠」で守る
今の日本の仕組みでは、国から病院に入るお金(診療報酬)をどう使うかは経営者の裁量次第。これを海外の成功例のように「看護師の給料・採用のための専用のお金」として独立させ、確実に処遇が良くなる仕組みにすることが求められています。
💡 まとめ:看護師を増やすことは、自分たちの命を守ること
看護師不足は、単に「なり手が少ない」のではなく、「過酷な働き方や安すぎる待遇のせいで、続けたくても続けられない」という社会の構造問題です。
「医療があって当たり前」と思える未来を次の世代に残せるかどうか。私たち一人ひとりがこの現実に目を向け、現場の声をサポートしていく意識改革が、いま迫られています。

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