2026年6月2日火曜日

記事紹介|日本の大学が変わる

NHK 時論公論 / 松井裕子 解説委員

大学「4割削減」と★★★評価——日本の大学が変わる

2026年6月2日 教育・政策 文部科学省 / 財務省
「2040年までに私立大学を4割減らす必要がある」と財務省が数値目標案を初めて提示。一方、文部科学省は大学の学部を「三つ星」で評価する新制度を打ち出した。少子化時代における日本の大学のあり方を問うNHK時論公論の要約です。
1 現状:相次ぐ私立大学の募集停止

京都ノートルダム女子大学や愛知工科大学など、ここ1〜2年で私立の小規模大学による募集停止の公表が各地で相次いでいる。背景にあるのは、急速な少子化による定員割れの常態化だ。

624校
2024年度時点の私立大学数
53%
定員割れの私立大学の割合
46万人
2040年の大学進学者数(推計)
現在比 約3割減
2 財務省の主張:2040年までに4割削減

2024年4月、財務省が財政制度等審議会の分科会で初めて数値目標案を提示。2040年までに私立大学を現在の624校から250校程度(約4割)削減すべきとした。

削減の根拠として、義務教育レベルの四則演算から始める大学の存在を挙げ、「学位の質確保のために適正規模にすべき」と主張している。

3 文科省のアプローチ:地域重視・機械的削減に反対

文科省は削減の大方向は同じだが、「定員割れの状況などで機械的に判断すべきではない」と表明。地方の私立大学には教員・保育士・看護師など地域人材育成に不可欠な役割があるためだ。

【事例】 福井県越前市の仁愛大学は卒業生の約9割が県内に就職し、保育士・小学校教諭の養成課程も持つ。定員割れは続いているが、福井県は授業料減免で連携支援し、今年度は入学者が増加した。

文科省は都道府県単位で大学・自治体・産業界が参加する「地域構想推進プラットフォーム」を整備。地域のニーズに沿った教育改革と大学間の役割重複の解消を進める。

また、経営リスクの高い約100法人を指導対象とし、改善が見られない場合は原則5年で学部廃止・大学閉鎖を勧告する方針も明らかにした。

4 新評価制度:学部ごとに★★★で「教育の質」を可視化

文科省は2030年度から、国公立・私立の大学を学部単位で4段階の星評価で公表する制度の開始を目指している。6年ごとに認定評価機関が審査し、学生の成長実感を含む「教育の質」を測る。

評価意味
★★★高い教育成果をあげている
★★今後、高い教育成果が期待される
最低限の水準に達している
要是正基準未達・ペナルティの検討対象

偏差値などの「入口」評価から、卒業時の「出口の質」評価への転換が狙い。有名大学でも「一つ星」学部が出たり、知名度の低い大学が全学部「三つ星」になるケースも想定されている。

5 まとめ:大学の存在意義が問われる時代に

AI進化・人口減少による就業構造の激変を背景に、国は高校・大学での理系転換・文理融合を推進。社会人の学び直しの必要性も増している。

社会情勢が大きく変わる中、生涯学び続け「学ぶ」と「働く」を行き来することが求められる時代に、各大学はどんな役割を担うのか明確に"旗"を立てることが重要だ。国は単に"数合わせ"ではない人材育成を考える必要がある。 ── リクルート進学総研 小林浩所長

財務省・文科省・地域・産業界がそれぞれの立場で大学の未来像を模索する中、学ぶ側も含めた社会全体で変化を共有していくことが鍵となる。

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