2012年2月27日月曜日

リーダーを育てる(ドラッカー)

人の育成にあたって最も有効な方法が、先生役をしてもらうことである。先生になることほど多くを学べることはない。先生役を頼むことは最高の評価である。営業マンであれ赤十字のボランティアであれ、「どうして成績がよいのか、話してください」と頼まれるほど、うれしいことはない。

有給のスタッフについては、内向きになることを防ぐために、意識的に外の風に当てなければならない。大学の社会人向けの講座にも出させるべきである。

企業では、脅威になるがゆえに部下を育てないとは、よく耳にする問題である。しかし一流の組織は仕事のできる人間を必要としている。ここにも非営利組織の強みがある。ボランティアは有給の役員のポストが欲しくて働いているわけではない。したがって脅威でも何でもない。

19世紀の終わりに大作曲家グスタフ・マーラーがウィーンに交響楽団を設立した。メンバーへの要求が厳しかったため、パトロンである皇帝が「やりすぎではないか」と下問したのに対し、彼はこう答えたという。「彼らの腕が上がって、彼らからの要求のほうが厳しいのです」

非営利組織のリーダーたる者、仕事のできる部下からのプレッシャーを歓迎しなければならない。「どうしてわれわれはもっとやれないのか。もっとよくやれないのか」といわれることを欲しなければならない。