記事紹介|「今のまま」から踏み出す
高大接続改革は相変わらず迷走しているように見える。大学入試に民間英語試験を導入する文科省のプランに対し、あの東京大学が9月、活用に扉を開く方針をホームページで公表したにもかかわらず、だ。 東大は、民間試験でA2レベル以上の成績を残すか、同等以上の力があることを「証明」する調査書などを高校が提出することを出願要件として求めるという。調査書の提出は一見、民間試験の形骸化を目論む抜け道とも見えるが、さにあらず。高校教員がA2レベル以上の「書く・話す・読む・聞く」力を証明するのは至難の業だからだ。「A2レベル以上」とはどの程度の力かを熟知したうえで、生徒のふだんの様子がそれに合致しているかどうかに目を凝らさなけれぱ書けない。それが可能か。詳細は、読売新聞公式サイト「異見交論56」の 五神真学長のインタビュー をご覧いただきたい。 ともあれ本質的な狙いは、「高校の教育現場で頑張っている先生たちの背中を押し、その成果を大学教育としっかり接続する」ことだという。 たとえば、「現場で頑張っている先生」の一人、東京都立両国高校の布村奈緒子教諭は、生徒のグループワークを重んじている。「読解」の授業の場合、次のような段取り進む。まず教科書の本文を四つに分け、教室の四隅に張る。次に4人で作る各グループのうち1番目の生徒が「1番の隅」に張られた英文を読み、頭に入れる。続いて2番目の生徒は「2番の隅」・・・と順次、分担して頭に入れた内容をそれぞれがグループに持ち帰り、英語で伝える。4人の話をつなげて初めて全容が分かる仕掛けだ。 さまざまなレベルの生徒がいるため、集まった時、英語の苦手な生徒はわからない箇所を隣り合わせた生徒に英語で必死に尋ねる。尋ねられた生徒は、相手が理解しやすいように言葉を砕いて伝える。教室内の至る所で「尋ねる」「教える」が展開されるのだ。それでも全容がつかめず、生徒たちに読んで理解したい気持ちが強まったときに「ではテキストを開いてみよう」となるわけだ。すると、海綿が水を吸い込むように教材の内容が生徒に染み渡っていく。 こうした授業の模様をサイトで紹介したところ、反論が上がった。大学関係者ではなく、親たちからだった。自身が同窓会長を務める高校に子どもを通わせる男性からは「こんな授業は間違っている。読売新聞はどうかしている」と厳しいメールが寄せられた。難解な...