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記事紹介|私立大学における学生納付金の意義と役割

学生納付金の要件とは 私立大学の学費は、文部科学省の省令である学校法人会計基準の中で「学生生徒等納付金(以下、「学納金」と言う。)」という勘定科目(大科目)で扱われる。この学生納付金の小科目として、授業料、入学金、実験実習料、施設設備資金(施設設備費)などが同会計基準の記載様式として例示される。これ以外に教育充実費などの小科目を追加している法人も多く見られる。かつて筆者が、日本私立学校振興・共済事業団で学校法人の会計基準の担当をしていた時に、全国の大学法人の計算書類の科目名称を調査した。先述の小科目のほか、課外活動費、学生生徒の個別指導費、教育充実費、補講費、図書費、教材費、厚生補導費、暖冷房費、維持費、校費、管理費、在籍料など100種以上の多様な小科目が見られた。様々な教育活動に対応する実費徴収的又は付加的な教育サービスの趣旨で設定されている(昭和62年私学事業団経営相談回答集)。 学生納付金は学校教育法施行規則第4条によると、授業料、入学料その他の費用徴収に関することとして、学則に記載すべき事項に指定されている。これらを変更しようとするときには、学則の変更届出を文部科学大臣に提出することが必要となっている。昭和52年の文部省通知では、学生納付金に関する措置として、第1に、徴収の必要性を明確にすること、第2に、その額の抑制に努めること、第3に、学生納付金のすべてを募集要項等にあらかじめ明記すること、第4に、学生の負担軽減を図るため分割納入、奨学事業や減免措置を積極的に講ずることが求められている。私立大学の学生納付金は所轄庁の認可制ではなく届出制とされているが、高額な納付金の抑制と保護者負担の軽減を図るために、通知や行政指導又は補助金配分等によって所轄庁からの一定の規制がなされている。 これらの点を踏まえると、学則等に学部学科等ごとに一律に定められた金額が記載されており、その学則が所轄庁に届けられているものが学生納付金と言える。この「学則記載性」と「学部学科等ごとの一律性」が学生納付金の形式的な要件とみなすことが出来る。 教育サービスの対価が学生納付金 私立大学の学生納付金の基本的な性格は、学生が入学して卒業するまでに受ける様々な教育活動に要する経費に充当すべき費用と考えることが出来る。これを「教育サービスの対価性」とも言う。大学が学生のために提供する教育活動の本来...

記事紹介|授業をオンラインで行うこと

オンライン授業への突貫的移行を経て 今年度前期は、世界的なCOVID-19の感染拡大が続く中、日本の大学の約9割が授業をオンラインで提供することを余儀なくされた。開講予定であった授業がどの程度をオンライン化できたかは、各大学や各授業科目によって異なったものの、オンライン授業への移行に要する対応や支援については、大学・教職員各々のレベルで、様々な努力や苦労があったに違いない。 筆者の所属する京都大学高等教育研究開発推進センターも、3月下旬からオンライン授業支援サイト「 Teaching Online@京大 」や、20回近く開催した各種の学内講習会・相談会を通じ、教育・研究に関連するICT環境の運用・支援を行っている情報環境機構と共に、全学の教職員や非常勤講師に対して、オンライン授業実施のための教育的・技術的な支援に尽力してきた。このように、教育面・技術面をサポートする2つの全学的支援組織が緊密に連携・協力を図り、車の両輪のようにバランス良く各部局・教員に必要とされる支援を継続的に提供できたことに加え、今回、学内の多くの学部・研究科等において、教育支援組織や教職員による支援グループが自助的に活動・機能したことにより、トップダウン・ボトムアップの双方向からの支援の相乗効果が図れたことは幸いであった。 約8年半前に日本に帰国するまで、筆者はアメリカに約20年間在住し、財団や大学で高等教育の進展・振興にかかわる研究開発や実践、特にテクノロジーを活用した高等教育のイノベーションに携わっていた。その経験を踏まえて、日本の大学におけるテクノロジーの利用やその浸透は、欧米に比べると約10年は遅れており、おそらくもう20年間以上、その差はほとんど縮まっていないという認識を持っているが、その中で、このような半ば強制的なオンライン授業への移行という事態を日本の多くの大学が受け入れざるを得なかったことについては、正直なところ、非常に複雑な心境である。 この半年間を振り返ってみれば、「オンライン授業によって、大学生・大学院生の学びを継続させられた」、「教職員や学生は、無理矢理ながらも、教えたり学んだりするためのICT利用のリテラシーを身に付けられた」、「工夫しながらオンラインで授業を行う中で、対面で行う授業に比べ、教授・学習の観点からより効果的な側面も見出せた」など、ポジティブなことも多々あっ...

記事紹介|学歴証明のデジタル化

加盟国では学習者がどこで何を学び、どんな資格や技能を持っているかを電子履歴の形で、大学や企業にオンラインで送ることができる。発行元や発信・送信記録も確認でき、私が25年前に経験したような紙の書類の真正性の確認はとうに不要になっている。 紙文化の日本は、こうした潮流から完全に取り残されている。海外赴任中、大学の卒業・成績証明書を取り寄せるのに苦労した経験がある方もいるだろう。コロナ禍によるキャンパス閉鎖や事務局のリモートワークで、卒業証明書の発行が遅れるなどの問題も起きた。 証明書類のデジタル化は、海外留学する日本人や来日する留学生だけでなく、就職や転職で学修歴の証明書を必要とする全ての学生や卒業生にメリットがある。特にこれからは終身雇用が崩れ、1つの職場に在籍する期間が短くなり、転職機会が増えることが予想される。デジタル化の必要性は一段と高まる。 実証実験は1年間の試行を経て21年秋から本格運用に移行する予定だ。主要国で使われているものの中から日本の大学の実情に合ったシステムを選んでおり、多くの大学の参加を期待したい。 新政権の誕生で各分野のデジタル化に弾みがつきそうだが、大学も遅れを挽回する必要がある。学修歴証明書のデジタル化は、優秀な外国人材や留学生の獲得に寄与すると確信している。 ◇ 大学でも脱・紙文化の動きが始まった。東北大は6月、「オンライン事務化」を宣言。学内の申請や決裁の手続きをデジタル化するとした。押印(ハンコ)の原則廃止により、年に約8万時間分の作業が減るという。 デジタル化は大学の国際化とも密に関わる。9月入学の拡大などをしても、海外からオンラインで直接出願できる仕組みが整わないと、外国の若者にとって日本の大学は身近な存在にならない。 学生の国際流動性を高めるには、事務手続きなども含めた総合的な改革が必要だ。(抜粋引用) 出典|学歴証明のデジタル化、5大学で実証実験へ|日本経済新聞  

記事紹介|成長に最大の責任を持つ者は、本人

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P・Fドラッカー氏の心に響く言葉より… 成長に最大の責任を持つ者は、本人であって組織ではない。 自らと組織を成長させるためには何に集中すべきかを、自ら問わなければならない。 《非営利組織の経営》 これは、「組織」という言葉を「学校」や「家庭」に置き換えてもそのまま通用する。 成長に責任を持つ者は、本人であって「学校(家庭)」ではない。 組織や学校や家庭は、本人が成長したくなったり、勉強しやすい環境を作る必要はあるが、あくまでも勉強し、成長するのは本人だ。 しかし、その環境にしても、万全なものを与えればよいというものでもない。 古今より、ひどい環境の中で成功した者は多くいる。 どんなに頼まれても、ダイエットを代わりにすることはできない。 つまり、ダイエットも勉強も、その結果は他の人にではなく、必ず本人に戻ってくる。 それを、ドラッカーはこう語る。 『私が13歳のとき、宗教の先生が生徒一人ひとりに「何によって人に憶えられたいかね」と聞いた。 誰も答えられなかった。 先生は笑いながらこう言った。 「いま答えられるとは思わない。 でも、50歳になって答えられないと問題だよ。 人生を無駄に過ごしたことになるからね。」 今日でも私は「何によって人に憶えられたいか」を自らに問い続ける。 これは自らの成長を促す問いである。 なぜならば、自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るよう仕向けてくれるからである。』《非営利組織の経営》 鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの墓碑銘にはこう書いてある。 「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」 墓碑銘や新聞の死亡記事には、「何によって人に憶えられたいか」が書いてある。 また、葬式や通夜での本人紹介でもそれはアナウンスされる。 人生100年時代、「何によって人に憶えられたいか」は、どれほど成長したか、という人生の通信簿だ。 あの世に逝く直前までいかに、倦(う)むことなく前のめりになって自らの魂を磨いたか。 「成長に最大の責任を持つ者は、本人」という言葉を心に深く刻みたい。 出典: 成長に最大の責任を持つ者は、本人 |人の心に灯をともす

記事紹介|安部教育改革の成果と課題

大学の側の課題も多い。外圧も時に必要だろう。しかし、財源を誘因にした改革ばかりで、本当に大学は強くなるのだろうか。 近年の大学界は、予算獲得で不利になることを恐れて政府に物言わぬ雰囲気が濃い。大学が知の府として自主的に改革を進める素地は、10年代に急速に弱くなったように思える。教育内容に実用性を求める風潮が強まり、学問の多様性の確保も危うくなっている。 大学と社会、地域と学校といった教育界の内と外との対話がもっと必要だ。次代を担う若者を育てる狙いの大学入試改革では、21年1月の大学入学共通テストへの英語民間試験の活用が土壇場で見送られ、多くの高校生らが振り回された。 国が専門家や高校現場の異論、懸念に耳を貸さず、理念先行で突き進んだ末に起きた失敗といえる。こうしたことを繰り返してはならない。(引用) 出典|強まった大学への関与 安倍教育改革の成果と課題|日本経済新聞  

記事紹介|弱くなった日本人

 豊かさと便利さとは、異なるものなのですが、それを今は混同していますよね。過ぎた便利さは、感性を鈍らせ、創造力を育てませんから。先人が築いてくれた便利な社会は、実は今日を生きる若者にとってはハンディキャップなのかもしれない。そして便利さのために管理され過ぎている分、問題を起こしにくい仕組みが出来上がってしまっている。失敗への許容度が低くなった社会では、挑戦心や冒険心は育たないし、創造も生まれないでしょう。(引用) 出典|安藤忠雄氏「日本の停滞は、インテリが闘わないから」|日本経済新聞 

記事紹介|教育に対する公財政支出

 「日本」は2.9%と比較可能な38か国中で最下位から2番目。OECD諸国平均は4.1%、EU23か国平均は3.9%だった。 OECDは「新型コロナウイルスのパンデミックが教育支出に及ぼしている影響の全貌はまだ明らかになっていないが、各国政府は経済の停滞、税収の減少、医療費と社会保障費の増大により公的資金の配分を巡って難しい決断を迫られることになる」と指摘。 アンヘル・グリアOECD事務総長は、パリで行われた発表会見で「教育制度の強化は、政府の危機回復計画の中心に据えるべきで、若者には成功するために必要な技能と能力を身に付けさせる必要がある。この危機によって、多くの国々ですでに明らかになっている教育の不平等を拡大させないように、できる限りの取り組みをしなければならない。我々は、現在の危機によって大規模な混乱に対処する能力があるかを試されている。今、この危機の遺産として危機対応能力が高い社会を構築できるか否かは、我々にかかっている」と述べた。(引用) 出典|教育への公的支出、日本は38か国中37位…OECD調査|リセマム  

記事紹介|大学の国際化

83年に始まった留学生10万人計画以来、なぜ東大を始め歴史のあるトップ大学では、留学生増など表面的な国際性を高められても、大学を本質的に転換させる国際化ができないのか。 『大学はもう死んでいる?』(苅谷剛彦・吉見俊哉著、集英社新書・20年)は、変化を避けるムラ社会としての大学の内実と、毅然とした態度をとれず中途半端な国の政策の問題を、現役の東大教員と元東大、現オックスフォード大学の教員が解説する。 限られた成功例として、専任教員に占める外国出身者の比率が高いAPU、国際教養大学、国際基督教大学などを挙げ、知的共同体では意図的に多様性を作り出すことが最も重要だと指摘する。 日本の高等教育のグローバル化対応には、学生、教職員双方で多様性を高めることが喫緊の課題だ。そして外国人を一時の助っ人や便利屋ではなく、共同体の一員として受け入れられるか、その覚悟と本気度が日本人に問われている。(引用) 出典|日本の大学は国際化するか 求められる多様性の確保|日本経済新聞 

記事紹介|コロナ禍と大学

コロナ禍の第2波は、経済社会に更なるインパクトを及ぼしており、首都圏の大規模大学は後期もオンライン授業を継続せざるを得ないと判断するところが多くなっている。直近の新規感染者数が急増したために、対面授業を可能な限り実施しようかと考えていた大学も、オンラインを原則とする方向に再度転換している。文科省は、こうした判断に介入することはないと思うが、かりに、後期も現状維持が続くとすれば、次に述べるような影響が負の遺産として長く社会に残っていくので、見過ごしにできないと考える。 第1に、学生の学習面への影響である。実施されているオンライン授業の学習効果に関して、学生自身の学習能力が高い大学は大きな問題にならないだろうが、個々の大学からデータに基づく質保証の実態が明らかにされていないため、極めて疑わしいと感じている。これに関する説明責任は個々の大学が負うべきである。オンライン授業自体の可能性については、否定的に見るべきではないが、現在行われている授業については、準備期間も短く、教員のスキルはピンキリで、単に間に合わせた程度のものに過ぎない。著作権をはじめとするコンプライアンスについても、きちんとチェックされていない。授業料に対する学習保証という意味では、機関としての大学が責任を持ちうるのか、極めて疑問である。この点について、私学助成を受けている大学は、実施状況、分析結果・データを積極的に公表してもらいたい。その際、授業料のコストパフォーマンスがどの程度下がったのかも、分析してほしい。アメリカの主要大学では、学生からの声に押されて、10%程度の学納金返還が行われつつある。我が国でも、オンライン授業への対応を支援するなどの理由で、一定額を学生(保護者)に支給した大学があるが、対価としての授業料をどの程度下げるべきなのかどうか、学問の府として、きちんと論理的に説明すべきであろう。 第2に、学生のメンタル面への影響である。特に、1年次の学生は、通常ならば、既に仲間もできて学生生活を楽しむフェーズに入っているはずだが、大学に入構する機会もほとんどなく、サークル活動も実質的に停止した状態で、図書館その他の大学施設さえも利用できないので、学生は一種の社会的孤立状態を余儀なくされている。例年なら、地方から上京して東京にも慣れてきたころだが、故郷に戻っている学生も多い。後期もその状態が続くなら、大...

経済財政運営と改革の基本方針2020 |大学関係

第3章 「新たな日常」の実現 3.「人」・イノベーションへの投資の強化 ― 「新たな日常」を支える生産性向上 (1)課題設定・解決力や創造力のある人材の育成 ②大学改革等   STEAM人材の育成に向けて、教育・研究環境のデジタル化・リモート化、研究施設の整備、国内外の大学や企業とも連携した遠隔・オンライン教育を推進するとともに、データサイエンス教育や統計学に関する専門教員の早期育成体制等を整備する。医工連携をはじめとする分野融合人材の育成、高等専門学校の高度化・国際化、専門職大学、専門学校、大学院等における企業等と連携・協働した社会のニーズに応える実践的な職業教育や博士課程教育をはじめとする高度人材教育の構築等を推進する。 優秀な人材を日本に惹きつける国際的な頭脳循環、トビタテ!留学JAPAN、大学間交流協定による単位互換や共同研究、教育プログラムの国際連携などを拡大する。 国立大学法人改革について、戦略的な大学経営を可能とする新たな法的枠組みを検討し、年内に結論を得る。国と新たな自律的契約関係を結ぶ国立大学法人は、グローバルな評価・処遇制度の下、人事の独立性を確保し、学生定員を自律的に管理、デジタル化を活かした質の高い教育を実践、リモート留学生・教員も含めたグローバルキャンパスを実現する。あわせて、戦略的経営を促す財務・会計の在り方等について具体的な検討を行う。国立大学法人運営費交付金の客観・共通指標による成果に基づく配分対象割合・再配分率を順次拡大しつつ、第4期中期目標期間の新たな配分ルールを検討する。大学の連携・統合の推進、地域に貢献する公立大学への地方財政措置を含めた支援の実施、私学助成のメリハリある配分の強化を図る。 感染症による影響を含め、高等教育無償化等の実施状況の検証を行い、中間所得層における大学等へのアクセス状況等を見極めつつ、その機会均等について検討する。 ③リカレント教育 遠隔・オンライン学習、働く個人向けの教育訓練給付や事業主向けの人材開発支援助成金の活用、大学等によるプログラムの拡充も進めながら、例えば40歳を視野にキャリアの棚卸しを行うことにも資するよう、いくつになっても再チャレンジできるリカレント教育を全国的に推進する。産業界との連携・接続を強化した幅広い分野の実践的プログラムやデジタル・デバイドを...