「留学生の受入れが厳しくなった」は高校にも当てはまる?日本の高校留学の現在地
外国人留学生をめぐる在留資格の運用は、2026年に入り、見直しが進んでいます。
もっとも、こうした議論で中心になるのは、大学や日本語教育機関で学ぶ留学生です。では、日本の高校で学ぶ留学生については、どのような変化が起きているのでしょうか。
実は、高校留学については注意が必要です。2026年に示された、日本語教育機関への入学者に対する日本語能力確認の見直しは、高校への留学には適用されません。高校留学には、今回の見直しとは別に、入国時に満たす必要がある基準(いわゆる上陸基準)があります。留学生全体では運用の見直しが進んでいますが、その中心は日本語教育機関です。
一方で、高校留学生には別の変化も起きています。2026年度の新入生から、在留資格「留学」の生徒は新しい高等学校等就学支援金の対象外となりました。さらに、文部科学省の2026年度予算資料では、新入生向けの「高校生等・新修学支援」についても「留学生を除く」とされています。在校生については経過措置があります。なお、通知本文と予算資料で表現が異なる部分もあるため、個別のケースについては学校や都道府県の案内を確認する必要があります。
また、海外から直接出願できる学校の少なさ、日本語能力、学費や寮費、未成年者の生活支援、卒業後の進路など、入国後も含めたさまざまな課題があります。
(3か月以上・令和5年度)
(1,489人)
(全体の約47%)
そこでこの記事では、公表資料をもとに、次の4点を順に整理します。
- 高校留学生は実際に増えているのか
- 2026年の在留資格をめぐる制度変更は、高校生にどう関係するのか
- 高校留学にはどのような壁があるのか
- 今後、高校留学はどう動くのか
なお、以下の数字や制度は、2026年9月時点で確認できた公表資料によります。
1. 前提:留学生をめぐる運用の「適正化」が進んでいます
出入国在留管理庁は、政府の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(2026年1月23日の関係閣僚会議決定)を踏まえ、在留資格「留学」に係る運用の一層の適正化を図るとして、2026年4月に見直しを示しました。主な内容は次の二つです。
日本語能力の確認の見直し:従来は、150時間以上の日本語学習歴によって、A1相当以上の日本語能力の立証が認められていました。見直し後は、試験の証明書または面接による確認が必須になります。適用は、変更・更新の申請が2026年7月1日以降の申請から、新規の在留資格認定証明書交付申請が2026年10月以降に入学を予定する学生に係る申請からです。
資格外活動(アルバイト)の把握と指導:留学生を受け入れる教育機関には、資格外活動の遵守状況を適正に管理する体制が求められています。日本語教育機関には、具体的な方法として、3か月に1度、資格外活動の許可の有無、勤務先、内容、時間などを確認することが示されました。
図解① 2026年の主な動き(時系列)
- 2025年11月16日中国教育部が日本への「留学警告」を公表
- 2026年1月23日関係閣僚会議が「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を決定
- 2026年4月出入国在留管理庁が在留資格「留学」の運用見直しを公表
日本語教育機関が中心 - 2026年4月(2026年度)新しい就学支援金がスタート。新入生の「留学」は原則対象外
高校生に固有の変化 - 2026年7月1日日本語能力確認の見直し:変更・更新申請から適用
日本語教育機関 - 2026年10月以降日本語能力確認の見直し:新規(認定証明書)は、この時期以降に入学予定の申請から適用
日本語教育機関
青いタグは日本語教育機関への見直し、赤茶のタグは高校生に固有の変化です。
2. 見直しの中心は日本語教育機関で、高校留学は別の枠組みです
上の日本語能力の確認の見直しは、日本語教育機関(日本語別科を含む)に入学する人が対象です。高校で教育を受ける留学生には、別の基準があります。
図解② 見直しの対象と、高校留学の位置関係
試験の証明書または面接で確認
見直しは直接の対象外
※学生交換計画等による例外あり
「留学生の制度が厳しくなった」という一つの説明だけでは、高校留学の扱いを正確に捉えられません。
| 項目 | 日本語教育機関に入学する人 | 高校で教育を受ける人 |
|---|---|---|
| 2026年の日本語能力確認の見直し | 対象 試験の証明書または面接が必要 | 対象外 各種確認書の提出は不要。ただし申請書の「日本語学習歴」欄は必須(在留資格「留学」) |
| 上陸基準(年齢・日本語) | ― | 原則、20歳以下で、1年以上の日本語教育または日本語による教育 ※学生交換計画などに基づく受入れは例外 |
高校留学の上陸基準(省令)では、高等学校で教育を受けようとする場合、原則として、年齢が20歳以下であり、かつ、教育機関において1年以上の日本語の教育または日本語による教育を受けていることが求められます。ただし、国・地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人、公益財団法人が策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づいて生徒として受け入れられる場合は、年齢・日本語の両方の要件が適用されません。なお、この基準でいう「高等学校」には定時制は含まれず、中等教育学校の後期課程は含まれます。
図解③ 高校留学の上陸基準(原則)
または日本語による教育
「高等学校」に定時制は含まれず、中等教育学校の後期課程は含まれます。
高校留学は今回の日本語能力確認の見直しの対象外ですが、申請時には日本語学習歴について、申請書への記載が求められます。高校に入学する場合で、かつ教育機関において1年以上の日本語学習歴を有している場合は、日本語学習歴を証明する資料の提出が必要です。
なお、資格外活動を適正に管理する体制の整備は、留学生を受け入れる教育機関一般に求められています。ただし、3か月に1度の確認という具体的な方法が示されたのは、日本語教育機関です。
「留学生の制度が厳しくなった」という話が、そのまま「高校留学生にも直接かかっている」わけではありません。日本語教育機関に対する見直しと、高校留学に適用される基準は分けて見る必要があります。
3. 高校留学生の現状:コロナ禍後の水準からは回復していますが、過去最多には戻っていません
文部科学省の調査では、高等学校等(高校のほか、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、専修学校高等課程を含む)が受け入れた「3か月以上の外国人留学生」の数は、令和5年度(2023年度)に1,864人でした。過去最多だった平成29年度(2017年度)の2,621人の約71%にとどまります。
図解④ 高校留学生(3か月以上)の受入れ数の推移
(2015)平成29年度
(2017)令和元年度
(2019)令和3年度
(2021)令和5年度
(2023)
コロナ禍で令和3年度に859人まで落ち込んだ後、1,864人まで回復。ただし過去最多の約71%の水準です。
※令和元年度は文部科学省が参考値として公表(令和3年度調査)。
コロナ禍による落ち込みからは回復していますが、最新の公表値だけを見る限り、過去最多の水準には戻っていません。この調査は隔年で、令和5年度分が最新です。令和6年度以降の数字はまだ公表されていません。
内訳の特徴は次のとおりです。
図解⑤ 受入れ校の設置者別・出身国別(令和5年度、計1,864人)
- 私立 1,489人(約80%)
- 公立 362人(約19%)
- 国立 13人(約1%)
出身国・地域(上位5つ)
私立が約8割(1,489人)、公立が約2割(362人)、国立が13人。中国だけで全体の約半数近くを占めます。
※構成比は、公表された人数から筆者が計算した参考値です。
この統計は、短期の交換留学と、3年間在籍して卒業を目指す留学を区別していません。そのため、国・地域別の人数だけから、留学目的の内訳まで判断することはできません。
「高校の外国人生徒」の増加と混同しないでください
令和7年度の調査では、高校(全日制・定時制)に在籍する外国人生徒は全体で20,864人で、平成28年度の13,893人から増えています。このうち公立高校は13,009人で、平成27年度の8,725人から約1.5倍に増えています(文部科学省の実践ガイド)。この統計には、日本で暮らす外国人家庭の子どもも含まれるため、海外から新たに来日する高校留学生の増加を示す統計とは区別して見る必要があります。
図解⑥ 「高校の外国人生徒」は増えている(ただし別の統計です)
日本国内で暮らす外国人家庭の子どもなども含む統計です。海外から来日する高校留学生の増加を示すものではありません。
図解⑦ 3つの統計は「母集団」が異なります
大学・専門学校・日本語学校などを含む(出入国在留管理庁)
日本で生活する外国人家庭の子どもを含む
この記事の主な指標
箱の大きさは概念的な表現で、縮尺は正確ではありません。
母集団や定義が異なるため、割合を計算して比べることはできません。
これらは母集団や統計の定義が異なるため、割合を計算して比べることはできません。ただし定性的には、留学生全体の中で見ると、高校段階はごく小さな領域です。
4. 高校生に固有の変化:制度上の扱いと、送り出し国の動き
就学支援金の対象から外れ、別の扱いへ
2026年度(令和8年度)から、高等学校等就学支援金の受給資格が見直され、在留資格「留学」の生徒は、新入生について原則として新しい就学支援金の対象外となりました。一方、2026年3月31日以前から引き続き在学する生徒には経過措置があります(3月31日付通知)。
ここは制度を理解するうえで注意が必要です。文部科学省の2026年度予算資料では、新入生向けの「高校生等・新修学支援」について「留学生を除く」と明記されています。したがって、新入生の在留資格「留学」の生徒については、国の資料上、新しい就学支援金と「高校生等・新修学支援」のいずれも対象外と整理するのが安全です。
一方、在校生については、2026年3月31日以前から引き続き高等学校等に在籍する生徒を対象とする経過措置が設けられており、文部科学省資料では「留学生を含む」とされています(支援リーフレット)。
図解⑧ 在留資格「留学」の高校生への支援:新入生と在校生の違い
・「高校生等・新修学支援」:予算資料では「留学生を除く」と明記
・文部科学省資料では留学生を含む
国の資料上の整理です。個別のケースは学校・都道府県の案内で確認してください。
中国政府の留学警告
中国政府(教育部)は2025年11月16日、日本への留学を慎重に計画するよう求める「留学警告」を公表しました。中国は高校留学生の最大の出身国・地域であるため、今後の人数に影響する可能性はありますが、現時点ではその影響を示す高校留学生の統計は確認できません。
5. 高校生が直面する課題:入口から出口まで5つの壁
高校留学の壁は、入国の可否だけではありません。出願から卒業後の進路まで、経路のあらゆる段階にあります。
参考として、日本語指導が必要な高校生などの中途退学率は8.5%で、高校生全体の1.1%を上回ります(令和5年度、文部科学省調査)。ただし、これは高校留学生に限った数字ではありません。
図解⑨ 中途退学率の比較(令和5年度)
目盛りは0〜10%。高校留学生に限った数字ではありません。
卒業後の出口:就職ルートは限られています
高校卒業後に「定住者」または「特定活動」へ変更して就職できる制度はあります。出入国在留管理庁によると、この取扱いは、日本の義務教育を修了し、日本の高校を卒業した人などが、入国時18歳未満、就職先が決定、公的義務を履行しているといった一定の要件を満たす場合が対象で、「父母に同伴して『家族滞在』で入国した者」を基本とする制度です(出入国在留管理庁の案内)。
そのため、海外から単身で「留学」の在留資格により高校に入学した生徒が、そのまま同じ要件で対象になるとは限りません。ただし、入管庁は、「家族滞在」以外の在留資格で在留していても「家族滞在」の在留資格該当性がある方(「留学」等)は対象となり得る旨を示しています。「家族滞在」の在留資格該当性があるかなど、個別の事情によって扱いが異なるため、卒業後の進路を考える場合は入管庁への確認が必要です。対象とならない場合の主な進路は、大学や専門学校への進学です。
図解⑩ 高校留学から日本での就職までの経路(例)
帯の長さは年数のおおよその比率を示す概念図です。経路によって異なります。
例えば次のような経路をたどる場合、高校留学から卒業後の日本での就職までは、6〜8年程度の長い道のりになります。
海外の中学校 → 日本語学習(1年以上)→ 日本の高校(3年)→ 大学・専門学校(2〜4年程度)→ 日本での就職
6. 今後、高校留学はどう動くのか:現時点では判断できません
今後の動向に関係し得る要素は、それぞれ次のとおりです。
図解⑪ 今後を左右し得る要素
▼ 減少につながる可能性(短期)
- 就学支援金の扱いの変更
- 中国政府の留学警告
- 海外から直接出願できる高校の少なさ
▲ 増加につながる可能性(中長期)
- コロナ禍後の交換留学の回復
- 政府の受入れ目標(第4期教育振興基本計画)
いずれも、実際の影響の大きさは統計では確認できていません。
この目標は、「高校段階の外国人留学生数」を2033年までに2万人とするものです。文部科学省の関連資料では、基準値0.6万人から2万人への増加が目標として示されています。
この目標の数え方には注意が必要です。文部科学省の令和5年度調査の概要は、目標に対応する数として、3か月未満の研修旅行生の受入れ(2,601人)と、3か月以上の留学生の受入れ(1,864人)の合計、約4,500人を示しています。コロナ禍前(平成29年度)は約6,000人でした。基準値の「0.6万人」は、この約6,000人(平成29年度は3,448人+2,621人=6,069人)と一致します。ただし、確認した資料では「0.6万人=平成29年度の6,069人」と明記されているわけではないため、ここでは同水準の数字と位置づけます。
図解⑫ 政府目標「2万人」と現状(数え方は「短期+3か月以上」の合計)
(2033年)
平成29年度
令和5年度
令和5年度=2,601人+1,864人=4,465人(文部科学省は「約4,500人」と表記)。
平成29年度=3,448人+2,621人。「目標の約○%」は筆者が計算した参考値です。
つまり、この2万人は、3年間在籍して卒業を目指す留学生だけを対象にした目標ではありません。本稿で主な指標にしている1,864人(3か月以上)だけを2万人と比べると、目標との差を過大に見せることになります。
令和5年度の1,864人は、過去最多だった平成29年度の2,621人を下回っています。現時点で確認できる最新の公式統計からは、過去最多を更新したとはいえません。次回の文部科学省の調査(令和7年度分)の公表が、今後の動向を判断する材料の一つになります。この調査は、留学警告の前後にまたがります。
まとめ
留学生をめぐる在留資格の運用は、2026年に入り、政府が「適正化」と位置づける見直しが進んでいます。ただし、今回の日本語能力確認の見直しの中心は日本語教育機関であり、高校留学には別の制度が適用されます。
高校留学生については、在留資格の運用そのものが直接厳しくなったというより、就学支援金の制度変更、海外から直接出願できる高校の少なさ、日本語能力、学費や寮費、未成年者の生活支援、卒業後の進路など、入口から出口までさまざまな課題があります。
高等学校等が受け入れた3か月以上の外国人留学生は、令和5年度に1,864人でした。過去最多だった平成29年度の2,621人にはまだ戻っていません。コロナ禍による落ち込みからは回復していますが、現時点で確認できる最新の公式統計からは、過去最多を更新したとはいえません。私立高校が約8割を占め、中国が最大の出身国・地域となっています。
また、高校の外国人生徒全体の増加と、海外から来日する「高校留学生」の増加は分けて考える必要があります。前者には、日本国内で暮らす外国人家庭の子どもも含まれるためです。
就学支援金の制度変更や中国政府による留学警告が、高校留学生の人数にどの程度影響したのかは、現時点では統計から確認できません。今後の動向を判断するには、次回以降の文部科学省の調査結果を待つ必要があります。
高校留学をめぐっては、「留学生の受入れが厳しくなった」という一言だけでは捉えきれません。在留資格、教育制度、費用、学校の受入れ体制、生活支援、卒業後の進路を分けて見ることが、現状を理解するうえで重要です。
交換留学と卒業目的の留学を分けた人数は公表されていません。令和6年度以降の高校留学生数も未公表で、制度改正や留学警告の影響は公式統計では検証できません。本文中の「考えられます」は推論であり、確定した事実ではありません。個別の在留資格の許否は、出入国在留管理庁が総合的に判断します。申請を考える方は、公的窓口や専門家に確認してください。
主な出典(2026年9月時点)
- 出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」
- 出入国在留管理庁「在留資格『留学』」
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」
- 出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」
- 出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格をもって在留し、高等学校卒業後に日本での就労を希望する方へ」
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
- 文部科学省「高校生の留学生交流・国際交流等に関する調査研究等」
- 文部科学省「令和5年度 高等学校等における国際交流等の状況」
- 文部科学省「令和3年度 高等学校等における国際交流等の状況」
- 文部科学省「平成29年度 高等学校等における国際交流等の状況」
- 文部科学省「高等学校における外国人生徒等へのキャリア支援等に関する実践ガイド」
- 文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査 令和5年度 結果の概要」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金の支給に関する法律の一部を改正する法律の施行等について(通知)」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度等及び高等教育の修学支援新制度の周知について(通知)」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の対象外となる生徒への支援リーフレット」
- 中国教育部「2025年第4号留学預警」(2025年11月16日)

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